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世界中の誰よりも、あなたに好きになってもらえるわたしでいたい

初めての社会人生活は、
初めての一人ぐらしと同時に始まった。
勤務地は超がつくほどの田舎。
同じ場所で働く同期はいない。
車通勤する先輩たちに追い抜かれながら自転車通勤をして、
部屋を頻繁に訪れる虫との戦いに明け暮れていた。
木造社宅の湿気に怯えたから初任給は除湿機になったし、
色気があるどころか、生きるのに精一杯。
新参者のわたしは期待されるどころか信用がゼロで、
その孤立ぶりに疲れて部屋でよく泣いて、
他にすることがなくて人生で初めてモノマネの練習をしたりしていた。
職場ではいつしか、閉鎖された場所で人が同じ話を繰り返す姿を眺めるだけになっていた。
なんだかわからないけれど全部わたしがいけないらしい。
反論はしなかった。
そう見えるならそうなんだろう。
信用はゼロの今から作り上げていくものだとわかっていても、
どうやったら積み上がるのかがわからなかった。

そんな真っ暗な日々でも、
周りに反論することなく、
「わたしらしさ」を守ろうとしていたわたしのことを、
両腕を使って、しっかりと抱きしめてあげたい。
わたしは誰に好かれたいのか。
社長でも上司でもない。
「わたし」だ。

会社の人は、その会社を辞めてしまえば二度と会わない人がほとんど。
だけど「わたし」は会社を辞めても、
部屋にいても、
ずっとついている。
どんな「わたし」のことも知っている。
嘘をつけない相手・「わたし」に好かれるわたしでありたい。
そのことに社会に放り出された1年目で気付いた「わたし」はえらいよ。すごいよ。大好きだよ。
世界中の誰よりも、
わたしは「わたし」が好きだし、
「わたし」に好かれるわたしでありたいと思っているよ。

ねえ、今のわたしのことも、
きっと「わたし」なら好きになると思うんだ。
どうかな?

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