【実施報告】滋賀県立信楽高等学校で進路の授業を実施しました。
NPO法人glolabは今年の6月より、高等学校を中心に「進路支援プログラム」の提供を行っています。 進路支援プログラムのプレスリリースはこちら。
7月14日と15日に、滋賀県立信楽高等学校で1、2年生(19名)には自己理解のワークショップ、3年生(4名)には就職活動に向けての準備ワークショップの場を提供しました。
【概要】
■ 日 時 : 2022年7月14日(木)15日(金)
■ 形 式 : 対面
■ 参加人数: 信楽高等学校(1・2年生 19名、3年生 4名)
■ 内 容 : 1・2年生 自己理解ワークショップ
3年生 就職活動準備ワークショップ
甲賀市と滋賀県立信楽高等学校について
信楽高等学校がある甲賀市は、滋賀県の南東部に位置し、信楽焼や甲賀忍者で有名な町で、人口の約3%が外国籍のいわゆる外国人集住地域です。信楽高校は、総合学科として「セラミック」「デザイン」「普通」の3つの系列があり、「アート留学」と名づけた全国募集も行っています。また、外国ルーツ、外国籍生徒も多く学んでいます。
今回、進路の授業については、甲賀市役所市民活動推進課からお声がけいただき、甲賀市役所、信楽高等学校、glolab3者連携のもと実施しました。
1日目 1・2年生の授業
1、2年生は今後進路を考えるための基礎となる「自己理解を深める」ワークに取り組みました。
1時間目は、LINE診断を使って、奨学金受給の資格や今の在留資格で就職できるか自分の状況を確認しました。このLINE診断は、生徒自身が自分の状況を簡単に把握するためのもので、7カ国語で、診断結果が表示されます。この日もそれぞれの母語でLINE診断を行いました。次に「自己理解」の必要性を確認した後、「自己理解」を深めるためにさまざまな側面から自分を振り返るワークシートに取り組みました。甲賀市役所の方や当団体事業の助成団体である日本国際交流センターさんのスタッフが生徒の内省をサポートしました。その後、ワークシートをやってみて気づいたこと・感想をチームで話し合い、全体で共有しました。まとめとなる3時間目のテーマは「チャレンジ」です。チャレンジと自己理解の関係性に触れた後、中学2年で来日した当団体理事の上村カルロスとオンラインでつなぎ、彼の高校時代のチャレンジについて話をしてもらいました。最後に、生徒一人一人が夏休み・二学期に向けてどんなことにチャレンジしたいかをグループで分かち合いました。
卒業後の進路や夢の具体性はそれぞれでしたが、やりたいことや好きなことがはっきりある生徒さんが多かったようです。授業後、信楽高校の先生からは、「普段の授業では見せない姿を見ることができた」という感想をいただきました。
2日目 3年生の授業および個別相談
就職活動を目前に控える3年生には、就職準備のためのワークショップを実施しました。
まず、1時間目には、事前にヒアリングした「就職活動」に対する疑問や不安について全員で話し合いしました。「履歴書や面接の日本語が心配」「どうやって仕事を探すのか」「今の在留資格で就職活動できるか」などさまざまな心配や疑問を抱えていることがわかりました。就職活動は誰もが初めての経験なので、不安になるのは当然です。特に日本語が母語ではない生徒にとって在留資格や面接の日本語への心配は大きいと思います。そこで、この時間は、アンケートから出た疑問や不安に対し、一つ一つどうしたらいいのかglolabからヒントを提示し、みんなで考えてもらいました。
2時間目は当団体の理事上村カルロスとオンラインでつなぎ、彼がどのように進路選択をしてきたか話を聞きました。その時々で何を重視して仕事を選んできたか(高卒後一社目は経済面→二社目は日本社会をよく知ること→三社目は母語を活かす)という話は、進路に悩む生徒へのヒントになったのではないでしょうか。また母語を活かす仕事は通訳だけではないことを発見したと言う生徒もいました。
その後、実際に求人票をみながら「したいこと、好きなこと」に加え、「なにが譲れないポイントか、なにがしたくないか」という視点もいれて大人とペアになってじっくり求人票を読み解きました。求人票を読み解くことで、自分の就職活動にとって何が大切か整理することができたようです。最後に就職活動へむけてどんなアクションをとるのか一人一人考える時間をとりました。
午後は1年生から3年生の希望者へ、glolabスタッフが個別進路相談を行いました。glolabのブースでは、将来の夢の実現にむけてやるべきことの整理をおこなったり、進路選択にむけて日本語力を向上させるための学習方法などのアドバイスを行いました。出会ったばかりの私たちがどこまで話を引き出せるか、私たちも不安な気持ちもありましたが、生徒一人一人抱えている「もやもや」を素直に話してくれたおかげで、微力ながらも、進路を考えるためのヒントを提供できたのではないかと思います。
また、大阪出入国在留管理局の職員の方が在留資格の個別相談も行いました。在留資格に不安を抱えていても生徒自身が入管に足を運ぶことは簡単なことではありません。入管職員の方が高校に出張して相談を行う取り組みはすばらしいと感じました。
まとめ
今回のプログラムは甲賀市役所、大阪出入国在留管理局など行政の方々との連携で実施しました。行政、学校現場、NPO等多様なセクターが協働して外国にルーツを持つ高校生の進路をサポートする新しい取り組みになったのではないでしょうか。
進路支援プログラムは高等学校、中学校、支援団体等で実施可能です。ご興味のある方はこちらよりお問い合わせください。
報告:柴山
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