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おお牧場はみどり

今日、派遣先で追加の通訳業務対応してほしい
という依頼があって、担当者の話を聞きました。

現在のプロジェクトでは、派遣先のお客様である
外国の方たちとのコミュニケーションを図っています。
その際に、日本側(派遣先)の方たちの言葉を紐解きながら
通訳しています。

外国側に話が伝わっていない場合は、たいていの場合、
日本側の話し手が自分の前提を言語化していない
(察してほしいと言外に匂わす)、あるいは話し手が
話す目的や意図を明確にしていない、はたまた、
相手の反応を無駄に先取りしていて、その場の話ができて
いない。

そのいずれかであることがほとんどです。

1つ誤解をしたり誤解を受けたまま話を先に進めると、
あとで取り返しのつかない大きなすれ違いになります。

そのため、毎回その場で問題解決できるように
日本側にツッコミを入れ、話の趣旨をまとめて、
必要に応じて外国側にもそうしています。

事実、通訳の仕事の8割は日本語の解釈と言い換え
なのです。英語として伝えるには、まず、
話し手とその仲間しか理解できない日本語を
「他者が理解可能な内容に言語化する」必要があり、
そこが通訳として一番苦労するところなのです。

そんな様子を毎回見てらっしゃる
お客様の日本人担当者の方がいます。

この方は通訳者ではないものの、
ご自身も私に似たような経験をされていて、
私の通訳ぶりを聞いていて、別案件もぜひ
通訳担当してほしいと指名してくださったようです。

「全幅の信頼を置いています」とまで
おっしゃったとか。恐縮至極です。

実は、日本側の発言を紐解いたり、
外国側の発言をわかりやすく通訳する
ということは、ここ10年来ずっと行ってきたことです。

でも、以前の勤務先では、そんな当方の対応が
「お節介で出しゃばり」と解釈されて、結果的に
契約を切られてしまいました。7年もいた職場では、
「誰も通訳の意見など求めていない。」とまで
言われていました。

通訳の本義として、確かに通訳個人の意見は
求められていません、それでも、会議の場で
双方が真意を交わせる架け橋になろうと努めて
いたため、外国側からは感謝を受けていました。
しかし、当時いた場所の日本側はそう見なさなかったのです。

それが今回は、日本側、ましてお客様から
「とても助かってます」と言っていただけて、
追加オーダー(追加料金は発生しませんが 笑)と
なったのです。

同じことをしていても、どの場でするかによって、
これほどまでに他者の評価というのは異なるものです。

今回の学びは
「うまくいくかどうかは、やり方以上にどこでやるか」
だと思いました。

日本においては、1か所で職を全うするという考え方が
いまだに根強いのですが、端的に言えば

「合うところは合う、合わないところは合わない」

なのです。10を超える職場を経験してきて、それだけは
確かに言えることです。

合わないところにしがみついても、収入が安定したとて
惨めになるだけ。だったら合うところへ行けばいい。

こういう考え方、親(1940年代生まれ)の世代には
本当に理解してもらえず、私はいまだに
「なんで日雇いみたいな仕事しているんだ」と
親にも親戚にも言われます。

終身雇用最後の世代なので、致し方ない考え方なのですが、
今はもはやそういう時代ではない。枯草に囲まれているのなら、
緑の牧場を求めて出ていけばいい。

その結果が今なのだとしたら、結果オーライなのです。

それに、他人が用意した緑の牧場以外にも
自分でも牧場を作ることができるというのも
知っています。

その牧場を大きいものにしたいか、それとも
コンパクトにまとめたいのかどちらも
選べるということも知っています。

だから、合わない環境に長らく耐えていた
昔の自分に今の自分はこう言いたいです。

「じっと耐えないで動け」と

わがままを悪者扱いするきらいはあるにしても、
より良い環境のために我を張ることは、
なにも悪いことではないのです。

*タイトルは、英語の慣用句
greener pastures から来ています。
(直訳すると「より緑の多い牧場」)

これは「今よりも良い場所(環境)、
今よりも良い状態」の意味で、
「新天地」を求める文脈で
使われることが多いようです。

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