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高校生プログラム「熟議③」塩瀬隆之さんから学ぶ”問いをデザインする方法”

こんにちは、とにーです。今回は社会人プロボノとして参加してくれている、みさみさこと、横町さんが当日のレポートをしてくれています!

今回の記事は、7月31日から始まったプログラム「熟議・ワークショップ」の第3回目。Zoom開催で2名の魅力的な講師に来ていただき、これからのプログラムで生かせる考え方や行動を学びました。では早速当日の様子を見ていきましょう!!

熟議③:『問いの立て方』本当の課題は何かを考え、仲間を集めてあらゆる視点で考える

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◆塩瀬 隆之先生 京都大学総合博物館/研究部情報発信係/准教授

熟議③では『問いのデザイン』の著者、塩瀬先生に来ていただきました。塩瀬先生には、今後のプログラムで社会課題解決について考える際に大切な『問いの立て方』について教えていただきます。

今年のプログラムでは初めての完全オンライン講義…スタート時は高校生たちの期待と緊張が入り混じった複雑な空気でしたが、塩瀬先生の「では、ミュートを外してみんなで挨拶しましょう!」という言葉で一気に場の空気に一体感が生まれました。

「問い」とは???

まずは「問い」を考える前に、「質問」と「問い」の違いについて学びます。

問いかけ① 「今日、朝ご飯に何食べた?」
問いかけ② 「アフターコロナで大きく変わるものは?」
この2つの問いかけの違いはなんでしょうか?

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著書『問いのデザイン』ではこの2つの問いかけを「問われる側」と「問う側」で分けます。

【質問】「今日、朝ご飯に何食べた?」
  問われる側:答えを知っている
  問う側:答えを知らない
  機能:情報を引き出すトリガー
【問い】「アフターコロナで大きく変わるものは?」
  問われる側:答えを知らない
  問う側:答えを知らない
  機能:創造的対話を促すトリガー

テストに出るような答えがある「質問」とは違って、「問い」の答えは誰も知りません。社会課題のような答えが無い課題について考える際は、「問い」を立てて対話することが大切なんですね!

仲間が増える問いの立て方

誰も答えを知らない「問い」は出来るだけ多くの仲間を集めることがポイントです。
ではどのような問いが「仲間が増える問い」で「仲間が減る問い」なのでしょうか?という問いに、グループで話し合ってもらいました。

【仲間が増える問い】
 ・情に訴えかけるような問い
 ・はい・いいえで答えられない問い
 ・自分が所属する集団に対しての問い  等
【仲間が減りそうな問い】
 ・個人的な問い
 ・嫌われる問い
 ・自分に関係ない問い    等

仲間と考えることでいろんな意見が出てきますね!!
また「「問い」を通じて仲間との関係性が深めることが出来る」と塩瀬先生。

問い→仲間との関係性が変わる→新しい問い→関係性が変わる→新しい問い→・・・

これから仲間と一緒に社会課題に向き合う高校生たち。このプロジェクトを成功させる為には仲間とのコミュニケーションもとても大切だということを改めて実感したのではないでしょうか?

問題と課題を区別する

社会課題について対話をする際によく陥るのが問題と課題をごっちゃにしてしまうことだそうです。そこで次は「問題」と「課題」の違いについて教えていただきました。

■課題を問題にするには?を「牛乳問題」で考える
牛乳をこぼしてしまったA君にお母さんはこう言います。

母:「なんで牛乳をこぼすの!?もう二度と飲まないで!」
   →母の問題解決:牛乳を二度と飲ませない
A君:「えーーー飲みたい。飲めないのは困る」
   →A君の新しい問題が発生:A君が牛乳が飲めなくなる

このように、問題が起きた時に解決策として無くすことを選択すると、無くなると困る人が出てきます。無くすことは本当により良い解決策なのでしょうか?この牛乳問題の本当の課題は「こぼさずに牛乳を飲む」又は「こぼしても被害が最小限にする」ことです。課題がわかれば「ストローで飲む」「トレーの上で飲む」という解決方法を提案することができます。このように社会課題を考える際は課題解決が問題解決にならないように、本当の課題は何かを見抜くことがとても重要です。

捉え方の視点を増やすと、解決策の選択肢が増える

「『すてない』以外の、『すてる』の反対語を考えてみましょう!」
講義もいよいよ終盤です。最後に塩瀬先生が伝えたいのは、解決策の選択肢を増やす為にたくさんの視点をもつこと。
例えば、「すてる」の反対語を「ゆずる」とした場合、誰かにあげることも解決策になります。このようにいろんな視点から課題を捉えれば、解決策の選択肢を増やすことができます。

これを踏まえて次のワークでは、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士の「貧困とは機会の否定である」という言葉の「機会の否定」とは何かについてグループで話し合いました。

ユヌス博士のように「貧困問題」を「機会の否定」とすると、また考える選択肢が変わってきます。このようにいきなり解決策を考えるのでなく「貧困問題の捉え方が各々違う」という認識をし、仲間と対話をして他人事でなく自分の世界の課題に落としていく。自分だけでは出せない視点をもらう為に、たくさん仲間がいることがとても重要なんですね!

高校生プログラムは新しい視点を手に入れるチャンス

最後に塩瀬先生よりこれから活動する高校生の皆さんに、とても熱いメッセージをいただきました。

「アインシュタインが『常識とは18歳までに身に着けた偏見のコレクションのこと』という言葉を残しています。ということは、いろんな視点をコレクションすれば常識はすごく広がります。この高校生プログラムに参加することは新しい視点を手に入れるチャンス。そして、この場にいる勇気とエネルギーを大切にしてほいと思います!」

塩瀬先生の講義には何度も「仲間」という言葉が出てきました。これからの人生で答えのない問いに挑戦する際、より多くの視点が必要になります。自分一人で考えずに、仲間との対話を通じて課題解決に取り組んでいく。一人では不安なことも誰かと一緒なら一歩ふみ出せることもありますよね!塩瀬先生からは「To Do」の為の学び、そして勇気をいただくことが出来ました!

メンバーと一緒に大切にして行きたいコト

塩瀬先生から講義の中で高校生のみんなに持ち帰ってほしいことを3つまとめてみました。

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①「問い」に対して仲間と対話し、仲間との関係性を深めてほしい
②「本当の課題」を見抜く力を手に入れてほしい
③様々な人に会い、価値観にふれ、自分の中の「ミカタ」を増やしてほしい

一人で出来ることは限られています。だからこそ、この高校生プログラムで出会った仲間との対話を通じて、「ミカタ」を増やし世界を広げていってほしいと思います!

(横町美沙)

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横町さん、ありがとうございます!グローカルセンターも、横町さんのような仲間が集まってくれているおかげで出来ることや新しい世界が広がっています♪

当日は「問い」について、大学の講義のようなぎゅっと濃縮した時間でした。これからの世界を作る高校生が学んでいる場を、彼らの持っている「問い」とともに開き、問いに集まってくる仲間・応援する一員になっていただければと思います。

次回のレポートもお楽しみに!


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