【Glocal Shift Programme】〜個人探究オープンセッション編〜
こんにちは、インターン生の「みぞ」こと溝川です🐶
3月11日(土)に高校生対象「グローカルシフトプログラム」の個人探究の最終成果報告会として「オープンセッション」が行われました。本記事では、初開催となった当日の様子をご紹介します!
▼当日の様子紹介動画(2分18秒)
グローカルシフトプログラムとは?
グローカルシフトプログラムとは、高校生対象のアクティブラーニングプログラムです。プログラムでは「心のエンジンを駆動する」ことを大きな目的に掲げ、社会課題を解決する提案づくりを通じ、高校を越えて集まった仲間と半年間一緒にワークに取り組み、自分と世界のつながりについて学びを深めてきました。(三菱みらい育成財団から助成を受け実施しています。)
▼今までの活動の様子はこちら▼
グローカルシフトプログラムでは、高校生が社会課題を解決する提案を①チームで行う「チーム探究」と②個人で行う「個人探究」の2段階があり、それぞれに成果報告会の機会が用意されています。今回のオープンセッションは、個人探究の成果報告会にあたります。
▼個人探究のプロセス▼
今回の「オープンセッション」は、いわゆる壇上で行う「報告会」ではなく、参加者一人ひとりの探求内容や報告を元に、一人ひとりが小さな場を開く取組みです。いわば「社会に開かれた分科会」のようなもので、過去3年間にプロジェクトの中でも初めて実施しました。
参加している高校生同士、またはグローカルセンターのスタッフからのフィードバックだけでなく、大学生や社会人からの多様な意見を取り入れて、気づきを深めたり、解決策をより具体的にしていくことを目的としています。
▼オープンセッションの目的▼
◯イントロダクション
まずはじめに、司会の三谷さんが、グローカルシフトプログラムについて、また、高校生が進めてきた個人探究についての説明を行い、その後、オープンセッションを行う目的の紹介、そしてグループに分かれて参加者全員でチェックイン(今回のテーマは「呼ばれたい名前」「今のすなおな気持ち」「最近の自分ニュース」)を行いました。
◯オープンセッションの様子
オープンセッションでは、5つの島(テーブル)に分かれて、それぞれの島で高校生が一人ずつ個人探究の発表・対話を行いました。一部ではありますが、各グループの発表・対話の様子をご紹介します。
★オープンセッションには21人もの多様な属性の方々にお申込みいただき、ご参加いただきました。
▼LQBTQについて〜多様性と教育の観点から〜
LGBTQについて取り組んだ理由は「学校にいる同性の推しを堂々と推したい!」という気持ちから。
日本におけるLGBTQを取り巻く問題について、職業や一人称に付随する性別についての思い込み___「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」の例を挙げて解説しました。
例:医者や院長職に就くのは男性、「私」という一人称を使うのは女性など。
そしてこのアンコンシャスバイアスの原因は、ヘテロセクシュアルやシスジェンダーが前提・普通となっている社会だ、という課題を設定しました。
「多様性」という言葉について「自分と全く違う人を受け入れるのは難しい」からこそ少し違った意見として受け止めると、言葉のニュアンスを変えて捉え直すことで、多様性に対して抵抗がある人も多様性を尊重できるようになるのではないか、と考えたそうです。
では、多様性を認め合える社会にするために、具体的にはどのようなアクションが必要だろうか、という視点で「学校教育で多様性について学ぶ授業・教材をつくる」という解決策を提示しました。
現在普及しつつある「LGBT基礎理解検定」などを参考に、実際にワークシートを作りました。
対話の時間ではこのワークシートの内容(親友が同性同士で恋人繋ぎをしている場面に遭遇したとき&では自分が当事者だったとしたら……?)について話し合いました。
そのほかにも「推しと好きの違いってなんだろう?」といった問いも投げかけられるなど、高校生や参加者の学生・社会人の持つ意見を交換し合い、深めることができました。
▼愛とフードロス
フードロスに興味を持ったきっかけは飲食店で破棄される食料・食品について現状を聞いて「もったいない!」と感じたこと。
まだ食べられる食品が捨てられることが「あたりまえ」になっているからフードロスが発生し、そのフードロスはただもったいないだけでなく、焼却される際に二酸化炭素を多く排出することが問題だ、という課題意識を持ったそう。そして二酸化炭素が増えることによって環境や気候に悪影響を及ぼし、私たちの日常生活も危うくなる。「家族や恋人と綺麗な砂浜に出掛けられなくなるかも!」と愛をテーマにしてフードロス問題に取り組む意義を訴えました。
では、実際にフードロスによってどのくらいの二酸化炭素が排出されているのだろう?と自分たちの住む京都市の生ごみの量から計算したところ、1秒間で10kgもの二酸化炭素が排出されている計算に!
その重さを体験するため、京都市の生ごみの焼却によって排出されている「約3秒 で発生する 30kgの二酸化炭素」を水入りペットボトルで再現し、実際に背負ってみるという体験を行いました。
このnoteを読んでいる皆さんも、10kgの米袋3つ分の重さを想像、もしくは実際に持ってみてください💭💪
余った農産物を直売所に輸送したり子ども食堂に寄付したりする取り組み、カメラ搭載で食品を腐らせることなく使える冷蔵庫、フードバンクの取り組みなどの先行前例を挙げるとともに、「なぜこんなにも様々な取り組みがあるのにフードロス問題は解決しないのだろう」という疑問が生まれたそうです。
そこで、どのようにすれば人々が意識的にフードロス問題に取り組めるのか考え、解決策を提示しました。
その解決策は「Loss Mileage」というスマホアプリの提案!特徴として、商品の賞味期限・消費期限をアラームするだけでなく、どれくらいの二酸化炭素削減に貢献したかがわかる仕組みや「マイル」システムを組み合わせた解決策を提示しました。
そのほかにも大根葉やぬか漬けのぬかなど、食べられるのに捨てちゃう食材に話が広がり、「もったいない」という言葉を大切にしたい、という声もありました。
学生、社会人がそれぞれの経験・視点からフードロスについて真剣に話し合い、対話を深めることができました。
◯ふりかえり
高校生の全発表・対話を行った後に、ふりかえりでは、
・今日1番印象に残っていること
・対話を通して気づいたこと、学んだこと
などを考え、円形になって全体で共有しました。
こんなに不確実な世界でも、
自分たちのいきたいところに向かって⭐
一緒に『オール』を漕いで進める仲間がいる
⛵外崎さんからのメッセージ(一部抜粋)
グローカルセンターのスタッフ「とにー」さんこと外崎さんからのメッセージを一部抜粋で紹介します。
運営スタッフを含め、今日、ここに、40~50人ほどの人たちが集まり、高校生が開いた「オープンセッション」で高校生のエネルギーに触れました。
このプログラムで社会課題解決をテーマに設定し、こうした活動をしている意図は、このプログラムで何かを「完成させる・成功させる」を目的として活動するのではなく、このプログラムから離れたとき、ずっと未来でも、いま高校生のみんなが自分の力で進んでいける、挫けそうになってもまた頑張れるような場やつながりを創ることです。
私は、今日この場にどんな意味があるのかを考えながら一日を過ごしました。今ここにいる方は、誰一人同じ人がいなく、また年齢や所属、地域も、更に興味関心もバラバラで、日常では専門分野や取り組んでいること、日々見ている世界が違います。普段はで合わない皆さんが今日4時間も一緒に過ごしました。
そして、今日ここで出会った多様な人たちは、全員で「今日何を達成したいのか」という共通のGOALをもって時間を過ごしました。高校生の皆は一人ひとりが自分の周りに場を作り「共通のGOAL」を示して実行する経験をしました。
ちょっと想像してほしいんですが、例えば、1人でこう(⇓写真)穴から抜け出そうとしたときにはかなりのエネルギーを使うと思います。
でも、この場にいるみんなでこう(⇓写真)一緒に抜け出そうとしたら…
何か逆に、すごく高く飛べると思いませんか?(笑)
世界はどうしていいかわからないくらい不確実ですが、今日やったみたいに一人ひとりが意図をもって「OARR」を示せば、こんな風にそれぞれのいる場所で場をつくることができ、大きな力で動くことができます。
同じ体験をして、こんな想像ができる場を、高校生の想いを中心につくれたことが、とてもありがたいです。
なので、今日を機会に年齢、所属、地域などそれぞれ違いますが、ここにいるみんなが仲間だということを知って、これからこの世界の色々な場所で、世界中で、一緒に何かするきっかけになればと思っているので、これからもまたよろしくお願いします。
(グローカルセンター チーフコーディネーター外崎)
🍎
オープンセッションを終えて
7月から始まったこのプログラムも、ついに個人探究最終報告の場であるオープンセッションを無事に終えることができました。7月から参加した高校生メンバーも、途中から参加した高校生メンバーも、本当にお疲れ様でした。
長いようで短かった8ヶ月と少しの間、高校生たちが新たな世界に触れ、たくさんのことを学び、成長していく姿を間近で見ることができ、またそれを支える立場となれたことを嬉しく思います。私(みぞ)が高校2年生でプログラム参加者だったとき、高校3年生になってもプログラムのお手伝いをさせてもらえたり、大学1年生になっても、こうしてインターン生としてプログラムやグローカルと関わったりするなんて想像すらしていませんでした。
そう考えると、私自身に大きな影響をもたらしたプログラムなんだなと、そしてそのプログラムに3年間も色々な立場で関わってこれたのだと、なんだか感慨深い気持ちでいっぱいです。きっと私だけでなく今までの参加高校生も、もちろん今年度参加者の高校生も、少なからずプログラムやグローカルの影響を受けていると思います。
そんなみんなが熱い思いを持って世界を変える日は、そう遠くない未来に訪れそうです。私も、たくさんのことを学んで、また、だれかの学びを支えられるようなひとになりたいと、決意を新たにすることができました。これからもグローカルや学校、その他様々な場所でたくさんのことを学んでいきたいと思います。
締めの言葉が私(みぞ)の個人的な思いの丈を述べる場となってしまい恐縮です。
最後になってしまいましたが、本プログラムにご協力いただいた皆さん、応援していただいた皆さん、noteを通して活動を見守ってくださった皆さん、そしてプログラムに参加した高校生の皆さんも、本当にありがとうございました✨またいつでもグローカルに遊びに来てください。
今年度プログラムは残すところ証書授与式と座談会のみとなりましたが、プログラムの修了は終わりではなく始まりだと思います。このプログラムで学んだことを学校の探究の学習や大学での学びに活かしたいという高校生の声もありました。これからの高校生の活躍にもぜひぜひご注目ください👀
▼座談会ゲスト紹介記事▼
▼当日の様子紹介動画(2分18秒)