見出し画像

なぜデザイナーはキャリア迷子になるのか?

これは「GLOBIS Advent Calendar 2022」20日目の記事です

はじめに

デザイナーの前嶋です。

デザイナーのみなさん。 キャリアに悩んでいませんか?

「このままデザイナーやり続けるべきか?」
「PMなど前工程にシフトしたほうがいいのか?」
「マネージメントをやるべきか?」
などなど

今日はデザイナーがキャリアに悩む理由と、
1つの解決策について記事を書きます。

デザイナーのキャリアには分岐点がある

デザイナーがキャリアを積むと分岐点が訪れます。
「マネジメントをやるのか?もしくは専門性を高めていくのか?」
インハウスのデザイナーの方の多くが、この選択を迫られるはずです。

ロールモデルが少ないから難しい

いきなり結論ですが、デザイナーがキャリア迷子になる理由。
それはお手本が圧倒的に少ないからです。

みなさんの会社に、デザイナーはたくさんいますか?

きっと少ないですよね。
→制作会社など、デザインに特化した会社を除いて。

わたしは20年間デザインチームでリーダーやってます。
メンバーからの相談もたくさん受けてきました。

多くのデザイナーが悩むのがお手本の少なさです。

「どんなキャリアパスを進めばいいかわからない」
「憧れる人がいないから、働き方が見つけられない」

だから、どうやって自分が働いていけば良いか、わからないんです。
→わたしも悩みながら仕事をしてきたのでわかります。

これはヤフーのようにデザイナーが多く所属する組織でもそうでした。

部門が違うと別会社のような巨大組織でした。
身近にいるデザイナーは10名前後。

また、一定以上のレイヤーにデザイナーがいないため、役職が上がるほどキャリア迷子になる。

始めた頃はデザインだけ作っていればよかったのに、
キャリアを積むと、自己完結ではだめです。

他社に貢献することを求められます。

ある日上司に「将来どうしていきたいか?」と聞かれる。
でも困りません?
デザインがやりたいだけなのに。

「マネジメント」or「専門性」を選択すればOKなのか?

これも結論から言えば違います。

わたしは20代のときに「マネージメント」を選択をしました。

結果的にリーダーとしてチームを任せられます。
教育や採用など色々な仕事を経験ができました。

制作会社では制作本部長になり、
100名規模のデザイナーのトップになりました。

ヤフーでは、デザイン部長として働き、
O2Oの領域でデザイン責任者になりました。

でもマネージメントに特化しても、キャリアの限界はそこまでです。

さらに上を目指そうとすると、経営への参画が求められます。
ビジネスの理解が求められるわけです。

ただ、その話はデザイナーに限らない話なので、今日は割愛します。
→どの職種でも一定レイヤー以上になれば、経営への参画は求められる。

話をもどすと・・
つまり、スキルは複数持つことがとても大切です。

例えば、
マネージメント+経営=経営幹部
デザイン+UX=UXデザイナー
といった具合です。

かけ合わせれば掛け合わせるほど、オンリーワンになります。

デザイナーでキャリアにお悩みの方。

そんなあなたに「プロダクトのグロース」をしてみては?という提案です。

デザイナーのキャリアとして「グロース」が良い理由

このnoteにおける「グロース」を定義しておきます。

グロース=プロダクトをローンチ後に「改善」していくこと。

やり方は2つ

  1. ABテストを実施して、勝ちパターンでリリースをする。

  2. ABテストができない場合。プロダクトを改善をして成長させる

ユーザーのことを一番考えているのはデザイナー

デザイナーはいつもユーザーのことを考えて仕事をしますよね。
また、UXの知見がある方も多いです。

プロダクトの「調査」→「課題だし」→「施策検討」→「デザイン」
すべて自分でやることができます。

仮に自分で手を動かさないとしても、
プロダクトマネージャーとして全体を見て施策を実施することもできます。
→わたしはこの役割

マネージメントと違い、プロダクトに直接関われるので楽しいです。
それが一番のオススメ理由です。

数値アレルギー・・でも大丈夫

数字苦手な人もいますよね?

特にデザイナーはそんな人が多いかもしれません。

でも大丈夫です。

足し算・引き算・掛け算・割り算が分かれば問題ありません。

あとはちょっとした統計の知識があるとなお良いですが、
あとで勉強すれば大丈夫です!
→小学生レベルの知識があればいけるはず

デザインやUXは数字で答えが出ない。
でもグロースなら数値でハッキリ結果が出ます。

どんなにいいデザインを作っても、
好みや個人の感覚で評価されることも多い。

数値は今からでも見ることができます。
数値を見れるツールが入っていれば、まずは眺めてみましょう。

まずは眺めるだけでも大丈夫です。少しずつ色々なものが見えてきます。

1人で見るのがしんどいなら、仲間を集めて一緒に見ても
自分では考えつかない発見やアイデアが面白いですよ。

どうやってグロースするの?

いきなりグロースって言われても戸惑いますよね?
そこでわたしが実践してる方法を2つ紹介します。

  1. 定性調査

  2. 定量調査

定性調査

定性調査とは、数値で表現できない「要素」のことです。

  • なんか使いづらい

  • サクサク使えて気持ちいい

  • かっこいいサイトだな 他

調査のやり方は簡単です。
競合と自社のプロダクトを使ってみましょう。

その際「ペルソナ」と「シナリオ」と「ゴール」を設定しましょう。
これも簡単で構いません。

実際グロービス社内でやったときの例を記載しておきます。

ペルソナ

  • なんとなく不安だが、能力を上げるために何をどう学ぶべきかを判断できない真面目系ビジネスマン

シナリオ

会社の先輩に相談していたところ、
「何を言ってるか、何を判断してほしいかわからない」と怒られた。

先輩から「クリティカルシンキング」を勉強したほうが良いと
アドバイスをもらった。

動画でカンタンに学べるよと言われたので、
先日会員登録したグロービス学び放題のTOPページから探してみる。

ゴール

  • クリティカルシンキングのことが理解できる。

  • 実際に先輩に話をわかりやすく伝えるイメージがつく

あとはペルソナになりきってプロダクトを使うだけです。
→課題はメモしてリストアップしておきましょう。

自社も競合も使ってみると、良いところと悪いところがわかってきます。
競合は複数見てみましょう。

使っていくと「これがわかりやすいな」「この表現は避けたほうがいいな」などがわかってきます。

定量調査

定量調査とは、数値で表現できる「要素」のことです。

一例ですが、下記のようなものです。

  • ユーザー数

  • 離脱率

  • 購入数(CV)他

これは自社のみでよいです。
→他社の数値を調べられるツールもあります。

社内ツールと比べると、深堀りができないケースがほとんど。
※わたしは他社の数値はほぼ見ません。
→サービスの規模感などサマリーとしては認識しておく。

具体的にどう考えていくのか?

例えば、A→B・A→Cと2つの遷移を比較するとします。

仮にどちらか一方の離脱率が低い場合。

その原因はなんだろうと考えてみる。
ちょっと実際にページを触ってみようか?

そんな具合です。

数値を見続けると、気になるポイントがある。
それを次のアクションへつなげていく感じです。

数値で違和感を感じたら、定性調査で確認。それを繰り返します。
先にやるのはどちらでも構いません。

数値が苦手なら、まずはプロダクトを触ってみましょう。(定性調査)

まずは、実際に触ってみて課題を洗い出してみます。
→この段階ではとにかく洗い出してみる。

アイデアは真似から始まる

色々なサービスをみて、良いところは遠慮なく真似てみましょう。

天才でない限り、ゼロからアイデアを出すのは至難の業です。

「これは!」と唸るアイデアでも、必ず先人が思いついています。
もしくはうまく行かなかったアイデアです。

だからゼロから考えるより、まずは競合調査です。
失敗の確率を圧倒的に減らせます。

でも1つだけ注意事項があります。
本質を汲み取らなければなりません。

表層的な要素を真似ても何も生まれません。

抽象化して、本質を見極めた上でプロダクトに落とし込みましょう。

「競合がやってるから」ではなく、
自分の言葉で理由を説明できるくらいには咀嚼します。

そうすれば、実装時に迷った時も立ち返り適切なカタチで実装できます。

真似ることは悪いことではないです。
むしろ、成功事例として実証済みのものなので、
失敗する確率を大きく減らすことができます。

ABテスト

グロースはABテストで検証するのがベストです。
→ABテストなしでは、本当に優位か判定ができない。

ABテストをやれば「統計的」に優位かどうかがわかります。

毎回テストを100万回やれればいいですが、
そんな時間もユーザー数もいない場合。

100回でもたまたま勝ち負けがついたか、
100万回やっても同じ結果かがわかります。

詳しくは割愛しますが、ABテストなら勝ち負けがちゃんと判定できます。
→施策の想定効果も計算ができる

一方で、マイナスな影響がないなら
サービスの意思としてリリースすることもあります。

これはよしなに判断で良いです。

ABテストができる環境の場合

すぐに数値を見始めましょう。
前述したとおり、課題をリストアップしてみてください。

数値はとれるが、ABテストはできない

ABテストができなくても大丈夫です。
数値をみて、課題をリストアップ。
まとめた課題をPOに相談してみましょう。
→POは提案されたら絶対に嬉しいはず。

冷たくされたら転職を考えましょうw

数値もとれず、ABテストもできない

Google Analytics(GA)なら無料で使えます。

まずは数値の把握の必要性をPOに訴えましょう。
→伝えて、仮に実装断られた場合。すぐ転職考えたほうがいいです。

施策の優先順位の決め方

わたしは課題を3つの軸で考えています。

  1. インパクト

  2. 工数

  3. 影響範囲

「これをやったらすごくインパクトがある!」
そんな施策を思いついたとします。

それはそれで素晴らしいことです。

でも、工数が1年かかるとしたらどうでしょうか?
グロースはリリースしてナンボ。

リリースしなければ、ユーザーにメリットを
感じてもらうことができません。

開発してるだけでは、売上は1ミリも上がりません。
数値が200%アップしたけど、
ユーザーのうち1%しか見ないページの改善。 どうでしょうか?

このように、優先順位は1つの要素では決められません。

でも軸さえ間違えなければ、優先順位を決めるのは
そんなに難しい作業ではありません。

紹介した3つの軸を使って、優先順位をつけてみてください。

グロースやりたくなってきましたか?

まずはやってみることが大事です。

やってみると、全然アイデアが思いつかなかったり、
優先順位が決められないかもしれません。

アイデアが思いつかない場合

大丈夫です。みんなが通る道です。

アイデアが思いつかないなら、1人で考える必要はありません。

興味を持ってくれる人を募ってみましょう。

グロービスの社内でも、先日プロダクトを触る会を実施しました。
改善のアイデアが多く出ました。

1人で考えて無理なら、仲間の頭を借りてみましょう。

優先順位が決められない場合

これも大丈夫です。

優先順位が決められない場合。「えいや!」と決めてしまえばいいんです。
間違えてても構いません。

間違いだとわかった時点で謝れば良いんです。
→朝令暮改でいいんです。

間違いをそのまますすめたら無駄になってしまう。
途中で気づけたら儲けモンです。
完全に正しい選択なんて誰もできません。

でも、決めなきゃ進まないんです。
その時点である情報の中で最善と思われる選択をすればいいんです。

それでも不安な方、わたしと一緒にグロービスで働きませんか?
わたしがPOとして働いてますので、全力でサポートします。

まとめ

私自身、ヤフー時代にマネージメントやデザインだけでは
限界を感じました。

その時に出会ったのがグロースです。

最初はメンバーとして、アイデアをだしたり
エクセルの使い方を勉強して必死に改善をしました。

あるタイミングでグロースの責任者になり、
メンバーの方たちのおかげで大きな成果を出すことができました。

その時に、グロースは「サービスのデザイン」であると感じました。
一方で、デザイナーでキャリアに悩む方は多いです。

わたしはグロースのスキルを身に着けたことで救われた。
だからこそ、同じように悩む人に知ってほしい。

だからこの記事を書きました。
これを読んだみなさんのキャリアが、更に充実することを祈ってます。

応援しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?