山崎豊子『二つの祖国』

山崎豊子さんの小説『二つの祖国』を読みました。


第二次世界大戦とその戦後間もない時期を生き、日系アメリカ人2世の人生を描いた作品です。



主人公は、アメリカ本土での強制収容所での生活、日本語で書かれた日本軍の文書を分析する米軍の語学将校としての本部および前線での勤務、そして、戦前日本の指導者を裁いた極東軍事裁判の通訳チェックを経験していきます。

↓強制収容所のひとつ、マンザナールの写真はこちら

https://m.huffingtonpost.jp/becca-maclaren/photos-japanese-internment-in-japanese_b_8735718.html



フィクションとは言うものの、あとがきで、「主人公の原点ともいうべき人物をお教え下さったのは、元陸軍大佐町田敬二氏である」と作者が述べているように、実在した日系2世の人生が物語のベースになっています。


また、作者が日系2世社会のリーダー格の人物と交流をもち、その人脈をもとに300人以上の人の体験談を積み重ね、アメリカで英語や専門用語に悪戦苦闘しながら公文書で裏付けをとっていったものなので、物語にあらわれる事象一つ一つは、この期間日系人たちが実際に通過した苦労の一部分を明かすものと言ってよいでしょう。

作者が本作を手がけた熱い動機はあとがきの冒頭に書かれていますが、これを読みながら、偶然とはいえ、作者が足かけ5年をかけて書いたこの作品に出会えてよかったと思いました。

トルーマン大統領をして「諸君は敵兵だけでなく、偏見とも戦い、勝利した」と言わしめた日系人部隊442連隊の兵士たち。

映画にも取り上げられています。

日系二世部隊の活躍についてはコチラ↓

Go for broke!~日系二世部隊が見せた民族の意地|松川行雄(ストラテジスト/小説家) @wvHAgf2KN0nZwai
https://note.com/yukiomatukawa/n/n180beb65b7e0


そして、極東軍事裁判で、A級戦犯で起訴された日本の指導者たちを、かつての敵国の人間であろうと全力で弁護し、アメリカにも責任がなかったのかを問いかけ、何がこの大戦を引き起こしたのかを裁判の場で明らかにしようとした、アメリカ人弁護士たち。

↓法廷に立つブレイクニー弁護士の映像



こういった人たちが過去に生きていたことを教えられました。

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