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ジェンダーの枠を飛び越える 男モノ探し: 『verita』インタビュー記事 (2009年3月)

※本記事は『verita』(2009年3月)に掲載された日野江都子のインタビュー記事の転載です。

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2020年9月23日現在の所感

「ジェンダーの枠を飛び越える」11年以上前に受けたこのインタビュー記事が大好きだ。

今まで数多くのメディア記事として自己を登場させる機会があり、それぞれ大事で、それぞれ思い出がある。その中でも、後になってからも時々とても特別な感覚と共に思い出し、その度に蘇る「そう、コレだ」の感情を抱くのは、この記事。

2020年の現在、ジェンダーフリーが語られ、この数年で服、化粧品などなど、ユニセックスな商品も非常に多くなった。コロナ禍によるWFH/リモートワークがきっかけで、生活の快適さを重要視すると同時に、個人の生き方の快適さ、その中にジェンダーの縛りからの開放傾向がますます加速していると思う。当然それに付随する具体的商品がさらに注目されている。

そのようなことを考えながら、このような状況になる11年以上前に、このようなインタビューを受けて回答した内容に、11年後の自分が「そうだ、そうだ」と思えていることを、筆者は相当幸せだと自画自賛している。

11年という時間は多くのものを変える。時代の背景も変われば、自分自身の中でも知らず知らずの間に多くの変わってしまったモノもコトもある。だけど、このインタビューで答えている内容の中心に存在する軸は、ブランディングだとかファッション云々という話ではなく、小さい頃から筆者が持ち続けていて、そして未だに大事にしている素の部分なのだろうと、今日改めて再認識出来た。ここ数年、そしてコロナ禍で、頭の片隅でずっと考えていながら、うすぼんやりとしてしまっていたコトの一つがこれだったことに気付かされ、ハッと我にかえった思いだ。

そして、インタビューでも答えているペンハリガン(Penhaligon's)のマラバーを久々に使ってみた。11年前も今も変わらず好きだけれど、あの当時はエキゾチックで官能的なこの香りに、つける時少し気合を入れていたけれど、今は肩の力が抜けた状態でしっくり自然に纏えるようになっていることに驚いた。大事なコトを携えたまま、少しは大人になれたようだ。

veritaも様変わりし、当時の記事が消えてしまっているので、スクリーンショットしたページと、文面を記録としてこちらに転載しよう。

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国際イメージコンサルタントとして、クライアントの社会的な立場、内面的な個性や好み、外見的な特徴を活かし、TPOを踏まえた、ふさわしいイメージ・ブランディングとマネジメントなど、その演出方法をアドバイスしている日野江都子さん。NYと東京での忙しい日々の中、アラミスラボシリーズを始め、いくつかのメンズアイテムを目的や必要に応じて使い分けているという。

そんな自身の経験も踏まえ、シャンプーやコスメなどのグルーミングアイテムと、時計や服など身につけて楽しむアイテムとでは、使う側の女性たちに心理的背景の違いがあるのではと話す。
「服やアクセサリー、靴などファッションアイテムは、趣味、嗜好、価値観(アイディア)とその方向性が反映されるもの。細い腕に大きいフェイスのメンズウォッチをするのは、コントラストでより女性らしさを強調するテクニックのひとつですよね。でも、完全に女性的な演出をしたいときやそのような気分になりたいときはまず選ばない。精神的にもパワーがある時や、甘さを全面に出すべきでない時、気分を切り替えて元気になりたいときなどに、メンズアイテムを選ぶのではないでしょうか」

一方、グルーミング製品は、身体に直接つけるものなので、その商品が好きか嫌いかだけではなく、より感覚的な価値基準において男性用商品を使うことが受け入れられるかどうかがカギになるのではないかと話す。
「女性と男性では、根本的な香りの好みも違います。女性ものに使われるアロマはロマンティックさや甘い気分による高揚感をもたらしてくれるものが多いですよね。女性性を高めることを意識すれば、よりグラマラスでゴージャスな要素のあるものや、美しいパッケージのものを選ぶと思うんです。女性には、機能だけでなく、そういった付帯的要素が必要なときもありますから。ただ一方、無駄なデザインを排除して機能を重視、価格も比較的手頃なメンズコスメを、“機能性が高いのだから問題ない”と愛用する女性が増えているのも事実。合理的に考えれば、男性用だからというだけで、選択肢から外すのはナンセンスですね」

社会進出を果たし、ストレスフルな環境で働く現代女性は、男性ホルモンが多く分泌される傾向にあるという。そんな背景を考えれば、メンズコスメがお助けアイテムになってくれるシーンは多いと日野さん。
「例えば、大人の女性でも悩んでいる人が多いアダルトニキビ。ヒゲの生えるラインに出ることからも男性ホルモンと関係していることがわかります。さらに、生理の時期も男性ホルモンが活発になるとき。その影響による、いつもとは違う肌のバランスをとるためにもメンズコスメは役立ってくれます。同時にメンタル面においても、生理中は通常よりもすっきり感を求めますよね。そのようなとき、香りも使い心地もさっぱり爽やかなメンズコスメで、重たくなりがちな気分をすっきりさせるのも1つのソリューション。私は、そのような時期以外に、皮脂分泌が活発になる気になる夏にも、男性用のさっぱりしたローションやシャンプーをデイリーケア・アイテムの中に上手く取り入れるのがお勧めです。より快適に過ごすための選択肢のひとつとして、メンズコスメを賢く取り入れることは、この時代を生きる女性である自分とスマートに付き合うためのソリューションですね」

このように、あえてメンズを使うという選択は“あり”だと話す日野さん。
「私が素敵だなと思う女性たちはみな、ご自分なりの価値基準とスタイルがはっきりしており、だからこそ許容範囲も広い方々ばかり。好みははっきりしているけれど、いいと思ったら柔軟にそれを受け入れる余裕を持っています。つまり、固定観念や既存のイメージのみにとらわれず、必要なもの、良いものは積極的に取り入れていく。スタイルがあるのと、思い込みにとらわれているのとは違いますからね」

快適に毎日を過ごすため、選択肢のひとつになりつつあるメンズアイテム。現代女性の賢い知恵のひとつとして活用してみては。

(写真左)日野さんがシチュエーション毎に使い分けている、男性も使用できるフレグランスの1つ、ペンハリガン(Penhaligon's)のマラバー。「キリリとしたメンズライクなジャケットを素肌に着用するような際、エキゾチックで官能的な雰囲気を知的に漂わせたい時のスパイスです」

text / june makiguchi

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