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NYビジネス・スタイル -女性編-:『QUA』寄稿

※本記事は『QUA』に掲載された日野江都子の寄稿記事からの転載です。

グローバル社会で活躍する上で、「見た目」が共通言語であり、また教養であるということを前回書きましたが、それは男性でも女性でも同様です。ただスーツとシャツという基本言語が確立している男性のビジネススタイルとは違い、女性ビジネスプロフェッショナルの装いの場合は、「基本言語があるようでない」というのが現状です。そんな状況の中で、ビジネスプレゼンスをアップする女性の装いを考えるには、何を基準にしたらいいのでしょうか。

「似合う」ではなく
「ふさわしい」を念頭に

まず、何が自分に「似合う」かではなく、何が自分に「ふさわしい」かを考えることです。業種や職種、いわゆる「仕事の文脈」によってふさわしいスタイルは変わってきます。同じエグゼクティブでも銀行にお勤めの方とゲーム会社の方では、期待される装いが違いますし、また同じ業種でも営業職と内勤には違いがあります。どこに軸を置いて装いを決めたらよいのか迷ったら、まず自分の「仕事の文脈」に沿っているか否かを第一に考えます。自分が好きな服を着ていると、モチベーションが上がることは確かですが、それよりも自分の役職・役割・目的が何であるかをふまえることの方が大切です。

常に85点をキープする装い
ジャケットは必須

男性ビジネスマンの基本スタイルはスーツですが、女性の場合、上下そろいのスーツスタイルは少なくなってきています。その中で女性の仕事のツールとして必須なのはジャケット。仮にジーンズを履いていたとしても、ジャケットを着た瞬間に心地良い緊張感と共に収まりがつくのです。

形として正式なのはテーラードの襟のジャケット。下に合わせるものがスカートかパンツかにもよりますが、着丈はあまり短くない方が望ましいです。世界的カジュアル化のため、傾向的には短め丈ジャケットが多いのですが、短か過ぎると落ち着きが足りずプロフェッショナルらしさに欠けるので注意が必要です。

男性と違い、女性にはテーラード以外の選択肢としてカラーレスのジャケットもあります。これは、女性らしいエレガントさを演出できる点で、男性にはない武器ですが、どういう場面でどう取り入れるかが、「知性」の見せどころです。

色は男性と同様、ベーシックな紺、グレーが基準。女性の場合、特にNYではそこに黒も必須です。この3色のダークカラーをベースに、ライトなベーシックカラーやスパイスとなるさし色を全体の3割ぐらい加えるのが個有のバリエーションを広げる目安です。例えば黒のジャケットの下にさし色のワンピースを合わせると、オフィスにも適した華やかさで、ジャケットを脱げばディナーにも対応。

このようにワードローブを構築しておくと、朝、服選びに時間をかけずとも、85点以上のビジネスプレゼンスをかなえることができます。100点満点になるかはさておき、常に高い平均点を安定して連打できる、迷わないクローゼットを作っておくことで、忙しい朝の時短につながります。ビジネスは時間との勝負。タイムマネジメントも成功するビジネスウーマンの必須条件ですね。

靴やジュエリーのパワーで
気持ちをアップ

男性がネクタイをきゅっと締めて気持ちのスイッチがビジネスモードに入るように、女性もジャケットを羽織ったり、パンプスを履いたりすることで、気が引き締まります。そんな靴選びにも知っておきたいルールがあります。
 
ストッキングにパンプスというのが正式な足元ですが、バックストラップもストッキングを履いていればよほど公式ではない限り「可」です。ただ、オープントウは、「指先が見えること=ストッキングを履いていないことが前提」になるため、正式な場や堅めの職種には望ましくありません。ヒールの高さは7~8センチのパンプスが立ち姿をきれいに見せますね。
 
またビジネスジュエリーとしてイヤリングが有効です。なぜならイヤリングには会話をする相手の視線をそこに逃がしてあげる効果があるのです。男性はたとえ仕事上の相手だとしても、女性の目をじっと見ながら話すことに居心地の悪さを感じてしまいます。そこでイヤリングに視線を向けさせることで「逃げ場」を作ってあげることができるのです。

仕事場面で付けるのにふさわしいのは、耳たぶに収まるサイズか、耳たぶからの下がりが1センチぐらいのもの。揺れるタイプだと、動きが出るごとに会話相手の注意力を散漫にさせてしまったり、ビジネスには過度な女っぽさが出ますので気をつけましょう。マテリアルは、自分の顔を照らすライトのような役割を果たしてくれる地金にダイヤのタイプがシンプルかつ格がありおすすめです。

そして最後にもう一つ。どんなに高価で素敵な洋服を着ていても、正しい下着を付けていないと、土台が整っていないことが外からも一目瞭然。せっかくの装いも台無しです。女性は男性と違い軟らかい脂肪で体がつつまれていますから、下着でサポートすることで洋服をよりきれいに見せるのです。

きちんとした下着を付けると、高いヒールのパンプスを履いた時と同じく、姿勢も良くなり、気持ちのスイッチも入ります。背筋が伸び、自信に満ちてさっそうとしたビジネスウーマンこそNYの街にはふさわしいですね。

ビジネスプレゼンスをアップする基本アイテム

ダークカラーのテーラードカラー・ジャケットは、NYの女性ビジネスプロフェッショナルの必須アイテム。高級感があり、着回しが利く、あまり着丈の短くないものを選択するのがポイント。写真は若干着丈短め、スカートとのバランスが良いタイプ。

‘Jaru’ Stretch Virgin Wool Blazer by BOSS
www.hugoboss.com


相手の「視線の逃げ場」を作るとともに、自分の顔の回りに光をもたらしてくれるダイヤのイヤリング。耳たぶに収まるスタッドタイプ(左下)か、耳たぶからの下がりが1センチ程度の、あまり動きが出ないフープ(右上)が理想的。

EXRoyal Co., Inc
www.exroyal.com


女性のビジネススタイルにはハイヒールのパンプスも欠かせない。高いヒールの靴をはくと「仕事のスイッチ」が入り、気が引き締まるという効果も。7~8センチぐらいの高さのものが立ち姿がきれいに見える。ヒールは細過ぎないものが良い。

Jimmy Choo
www.jimmychoo.com


適切な下着を付けることで、アウターのラインがきれいに見え、姿勢も良くなる。ブラデリスNYの「マリリン」(右上)と「ヒラリー」(左下)は、脇をしっかりサポートし、プッシュアップ効果のある補整下着。素材やデザインにも高級感が。見えないところを美しく整えることこそ大人の女性のたしなみ。

Bradelis Malyrin Bra, Bradelis Hilary Bra
www.bradelisnewyork.com


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