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第29回文フリ東京の忘れたくない思い出たち

11月24日(日)

文学フリマ当日を迎えた。

普段は天気予報をいっさい見ず、行き当たりばったりで寒暖差やお天気雨の攻撃をもろに食らっている私が、今朝ばかりは穴の空くほど気象庁のHPを見た。

昼には雨がやむという天気予報を信じ、折りたたみ傘で出かけることにする。ロングワンピースをウエストのベルトでたくしあげ、キャリーケースには雨除けのゴミ袋をかぶせて出発した。

浜松町でメイコと待ち合わせ、流通センターに向かう。

雨だし並ぶのいやだからゆっくり行こうぜと言いながら、結局開場3分前に行列の最後尾につくまじめな私たち。

会場入りして、お隣のブースにいらした僕のマリさんにご挨拶できて感無量。しかし「私もスピッツ好きです」と言いそびれる。

設営は、慣れたもので無事に終わった。ブースはこんな感じに。

午前中はあまりお客さんが多くなかったのでめちゃめちゃ不安だったのだけれど、午後になると人通りが多くなった。

新刊『だらしない』表紙の真っ黄色と、だらしない部屋の写真はとにかく目立つようで、看板を見て一瞬立ち止まってくれる人が多かった。

今回の新刊はどこにも内容を公開していない完全な書き下ろしだ。どの章もネットで公開するのが怖くて、序文を文フリのwebカタログに載せた以外、宣伝にも内容サンプルを使わなかった。テーマも「一人酒」や「三十歳」に比べたら興味をひきやすいものではない気がしていて、とにかく表紙で関心を持ってもらわなくちゃと思っていたので、それが成功したのはよかった。

ブースに来た人から「女のくせにこんなにだらしない部屋に住んでいるなんて」的な説教をされたらどうしよう、と思っていたがそれも杞憂に終わった。

「女のくせにだらしない」的な社会の圧力と、それを内面化してしまっていた自分を可視化しようとする本なので、同じような苦しみを感じている人に届いていたら嬉しい(文フリ終わってから作品の宣伝してどうする!→→通販するのでちょっと待っていてください)。

あとは、私の単著を置いている【テー41早乙女ぐりこ(元早稲女同盟)】ブースと、メイコとの合同サークル【テー42ChambreBlanche】ブースに同じ布を敷いて地続きにしたので、両サークル間の誘導がスムーズだったのもよかったかなあと思う。二人のうちどちらかが中座してもう片方が一人で二つのブースを見ていても不自然じゃないし。
「単著は実録系、共著はおしゃれ系です!」と言ってご案内していたけれど、よくよく考えたら私、別に共著の方にもそんなにおしゃれな文章書いてなかったわ。デザインとコンセプトとメイコの文章がおしゃれなだけだったわ。

以下、主に単著のブースにいた私が、来てくださった方とやりとりした中で印象に残っていること。

・一冊ずつ試し読みして、一冊置くごとに「おもしろい」と低くつぶやいて三冊ともお求めくださった方。思わず口をついて出た言葉というかんじで、それを三回聞けたのがとても嬉しかったです。

・絶対買う気ない冷やかしのじいちゃんに、「いよ!名門早稲田!」とか「女の一人酒なんかグチばっかりだろ」と野次られたので、めんどくさくなって「別に」「そんなことないです」とエリカ様化した。私はそういうのに愛想良くするのはもう卒業したのだ。

・ブースにいらした後で、「オーラのある美人さんです」とリプしてくださった方がいて、テンションが爆上がりした。三十二年生きてきてそんなこと言われたこと一度もねー!!!!
昨日のマンダラ・スパのおかげだろうか。誉め言葉はお世辞でも真に受けるマンなので、そのリプを心にスクショして永遠にご機嫌に生きていこうと思う。

・「丸ノ内酒スティック編」というサブタイを見て「私も椎名林檎好きなんです」と言ってくれた女の子が、好きになったのが東京事変が解散した後と言っていて衝撃を受ける。もしや林檎のデビュー時とかまだ生まれてない???

・もうすぐ三十歳になるという早稲女が「早稲女×三十歳」を手に取ってくれた。私は、自分がもうすぐ三十歳になるというときに超不安でしんどくて、そんな真っ最中に書いた文だから、きっと同じ気持ちの人に寄り添える本になっていると思う。同じ気持ちの人に届けたいから、私が四十歳になるまでこの本は売り続けます。(今読むとうぎゃーってなるところもあるけれど)

・私のnoteの日記(これ)を読んでいるという三人組の方が、わざわざ文フリに足を運んで三人で三冊ずつ(+共著も)買ってくださった。よく日記に登場するT氏やメイコのことも知っていて、読み込んでくださっていることにとてもびっくり。noteはPVはわかるけれど、本当に読んでもらえているかわからないし読者の顔が見えないので、面識のない方がおもしろく読んでくれていることがわかって感無量だった。この日記も読んでくれているかな。これから先、もし日記書くのがしんどくなったら心優しく明るいあのお三方の顔を思い浮かべます。
「握手してください!」って言ってもらったときに驚きすぎて「え、なんで怖い」って言って本当にすみませんでした。

・酒日記を見て、「くっだらない本作りましたねー! 買うけど!」って言って買ってくれたお兄さん。ツンデレかよありがとな!

・机の前面に単著三冊のポスターを貼っていたのだけれど、『だらしない』のポスターだけがはがれ落ちまくってまじでだらしなかった。たくさんの方に拾っていただき、ありがとうございました。だらしないやつは優しいひとのおかげで生きてる。

・今回は予定あるから絶対文フリ行けないと言っていたロッキーが、風のようにブースに現れて新刊二冊をがっと掴んでさっと帰って行った。会いたすぎて幻影を見たのかと思ったけれど本物だった。ありがとう大好き。

・昼からビールの本を作っている方を、なぜか自分の後輩と見間違えてタメ口で話しました調子に乗って自分の本全部薦めました。本当にすみません。職業聞かれて初めて気づきました。この場をお借りしてお詫びします届きますように。

過去二回の文フリを通して出会えた方、読書会など本屋さん主催のイベントを通して知り合えた方、大学や早稲女同盟つながりの友人知人たちとまたお会いすることができて本当に嬉しかった。

連れて帰ることができた品々はこんなかんじ。

自分のブースをなかなか離れられず、ご挨拶したかったのに行けなかったブースやほしかったのに手に入れられなかった本がたくさんあってすごく残念。こだまさんの日記読みたかった。

東京駅でメイコとプレ打ち上げをしてから帰宅。まずは元夫の生存報告を読む。

最近日記ブームが来ている気がするので、次回5月文フリは私も便乗して日記本を出すつもりでいます。早稲女同盟でやっている交換日記も、いつか形にできたらいいな。

たくさんの人に会って話せた一日で、楽しくて忙しくてスマホの電池がまったく減らなかった。普段の仕事のときのほうが断然スマホ見ていた。
今回文フリでお会いした方々、本当にありがとうございました。次回文フリでもたくさんの出会いがありますように。

#日記 #エッセイ #文学フリマ

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