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使えなくなった魔法

6月16日(火)

ぜんぜん仕事モードにならないけれど、なんとかかんとか仕事をする。昨日、仕事関係の資格取得のために書類をそろえて送付したのだけれど、不備があったらしく職場に電話がかかってきた。がんばってもちゃんとできないことに落ち込む。
夕方は顧客とかかわる仕事。顧客と話しているうちに気持ちが落ち着いてくる。

帰りに書店に立ち寄って、本を四冊購入。帰宅して、さっそく町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』を読み始める。来年、本屋大賞受賞作にはそれほど関心が湧かないのだけれど、これは顧客にすすめられたので。読みやすく面白く読みすすめていたのだけれど、中盤からしんどいものがてんこ盛りに盛りこまれて、しかしそれがどれもさらっさらっと流れていくので、気持ちがついていかなくなってしまう。グロい描写がある映画を薄目で眺めるときのように、心を殺したままさっと読了してしまった。

夕方友人から、「ぐりこさん大丈夫?」とLINEが来た。多分日記を読んで心配してくれたのだと思うけれど、その瞬間大丈夫になった。大丈夫な日の私だけを見つめてよ、という気持ちで遊ぶ約束をする。

父の日が近いのでcreemaで見つけた和牛ギフトを贈ることに。無趣味で身につけるものにもこだわりがない父へのプレゼントにはこれまでずっと悩んできた。昔からハンカチやネクタイを渡しては「いくらしたの?」と問われて傷つき、お菓子やコーヒーを送っては「俺はほとんど食べて(飲んで)ない」などと報告されて苛立ち、というのを繰り返していた。先日父にいらついたこともあって、ぶっちゃけ父の日も誕生日も何もしなくていいなら何もしたくない。けれど、還暦を過ぎた父に今もし何かあったら、孝行らしきことを何もしていなかったことを絶対後悔するだろうなと思うから、何もしないという選択肢はないのだった。そんな、悩み多き父へのプレゼントだが、ここにきてようやく最適解を見つけた、という気持ち。大食漢の父は小食の母の誕生日にもチェーンのしゃぶしゃぶ食べ放題に行こうとするような人だ。牛肉が送られてきて嫌なことはないだろう。A5ランクや国産と書かれたものを選べば、ブランドものの服飾品だと価値がわからず値段をきいてしまう父も、ぱっと見で満足してくれるはずだ。今後は誕生日も父の日も迷わず牛肉を贈り続けようと思う。牛肉を贈り続けられるよう、末永く健康でいてほしい。


6月17日(水)

目が覚めたら上司が燃えていた。(早乙女ぐりこ『上司、燃ゆ』)(言いたかっただけ)
仕事は粛々とやりつつ、時々ひそひそとその話をする。

退勤して、神楽坂に向かう。囲炉裏焼きの店でコース料理をいただく。前菜と薫製からしてテンションが上がる。ラブ燻製チーズ。

そのあとに焼き野菜。じっくり火を入れたアボカドが大きくて甘くてデザートのよう。メインの魚と肉ももちろんおいしくて最高of最高でした。焼かれる肉を見ながら、件の炎上について話した。

デザートは焼きバナナ。皮付きのまま囲炉裏であぶられるバナナはシュールだった。

焼き上がったバナナの皮をむいて、とろりととろけた実をスプーンですくってアイスと一緒に食べた。

神楽坂から歩いて帰るのが恒例になりつつある。


6月18日(木)

体がだるくて仕方ない。起きあがるも動き出せない。足裏のマッサージをやった。

出勤して仕事をする。17時過ぎに退勤してRAKU SPA1010へ。サウナで汗をかけばだるさは抜けていくけれど、ととのう感覚がない。何セットもサウナ水風呂を繰り返しても同じく。月に二・三度はサウナに来ているけれど、ここのところずっと、ととのう感覚を得られていない。特に気にしてはいなかったけれど、これまでなんでもなく使えていた魔法が急に使えなくなったような心許なさがある。「魔女の宅急便」でキキが飛べなくなったときもこんなかんじだったのだろうか?

水風呂後の休憩でととのいがやってきてガン決まりしているときには、自分が自然に抱かれているというか、地球の一部だと実感できていたような気がする。今の私は世界につなぎとめられていないから、それが得られなくなってしまったのだろうか。(単純に不摂生や体調不良が原因かもしれないけれど)

レターパックと柿の種を購入して帰宅。仕事中にお菓子をどか食いしたので、夕飯はキムチを和えたレタスを食べるだけで終わりにするつもりだったけれど、結局柿の種を三袋食べる(不摂生)。

先週くらいまで、人生を一緒に生きていくパートナーのような人がほしくてほしくて仕方なかったけれど、ここのところ、私のことを大切に思っていない人と一緒にいても仕方がない、という気持ちが強くなってきた。

OSAJIネイルを使ってニュアンスネイルを試みる。ベースに「ドレープ」を塗って、「それから」「12時」「寄り道」をランダムに塗り重ねる。薬指だけは「寄り道」を単色で二度塗りして、中央に「12時」をささっと載せる。爪ごとに仕上がりがまばらになってしまったけれど、遠目に見るとピンクと水色とシルバーのようなゴールドのようなラメがきらきらしてきれい。



6月19日(金)

仕事をして、退勤する。ロッキーと会うので新宿に向かう。遅くなったけれどお誕生日祝いをしたくて花束とチョコを買う。自宅用の花は選べないのにプレゼントの花束だと、イメージも明確に伝えられるし入れてほしい花も指定できる不思議。

待ち合わせまで少し時間があったのでロッテリアに入る。カフェインをとりたくなかったので黒烏龍茶を頼んだら、店員に「え、黒烏龍茶ですか?」と驚いたように繰り返され、店内で、と言うと「店内でお召し上がりで黒烏龍茶でよろしいんですか」とまた繰り返され、そんなにおかしな注文をしているかと心配になった。

たしかに紙パックのまま提供される黒烏龍茶ひとつに三百円近く払って店内にとどまる客は不思議かもしれないけれど。

ロッキーが迎えにきてくれて、予約した居酒屋に向かう。ビルのエレベーターがぼろぼろでどきどきする。二次会とかで大勢で入るようなふつうの居酒屋なのにお酒が飲めて深夜まで営業しているとのことで満席。すごい。花束とチョコを渡したらロッキーも可愛すぎるマカロンをくれた。めちゃくちゃうれしい。

好きな友人と居酒屋というシチュエーションが久々過ぎて、あれこれ話せてとても楽しかった。

おなかも心も満たされて帰宅したはずなのに、なぜか缶ビールとあんかけ焼きそばを買って帰ってしまって家で飲み直す。そしてあんかけ焼きそばと柿の種をもりもり食べた。さびしかったのか? 気づいたらベッドで気を失っていて、深夜2時頃起きて風呂に入った。



6月20日(土)

また、忙しい土曜日が来た。午前中は休みなしで働く。午後は無限にコーヒーが出てくる部屋に行って、昼食抜きで15時頃までてきとうに仕事をした。「居酒屋でまた飲めるようになりますね!」と話しかけてきた若い同僚に、ごめん私昨日も飲んだ、と伝える。東京都の飲酒が90分までらしいけど、90分までって飲み放題かよ、逆に張り切ってみんな飲み過ぎるのでは、などと話す。

T氏と神楽坂の餃子屋で昼食兼夕食。鯖餃子やジェノベーゼ餃子などの変わり種餃子が相変わらずおいしい。私は、昨日に引き続き、お腹いっぱいなのにひたすらに食べ過ぎてしまった。帰宅してから下痢をして、さらに胃がむかむかして盛大に吐いた。最近吐くほど飲まなく(飲めなく)なったので、この気持ち悪さも、鼻先まで苦くなる感じも久々。三十歳すぎて過食で嘔吐しているの、おろかすぎる。
いいかげんにしっかりしたい。あの手この手で、わざわざ自分をダメにする方向に向かいたくない。他人と関わりたがる前に、自分をちゃんと大事にしたい。


#日記 #エッセイ #酒 #炎上 #女友達













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