本:ワタが世界を変える
昔ながらの手仕事に興味を持った時、素材についても自分の近辺にあるものを使う事が自然の成り行きではないのか…そう考えることも多くなっていきました。
当初、編み物用の毛糸を紡ぐところから入ったので素材というと羊毛にこだわっていましたが、もともと羊は日本では飼育されていなかったという歴史もあり、現在でも国産羊毛はなかなか手に入りづらく海外輸入に頼ってしまいます。
そのため、もともと日本で扱われてきた素材として「綿」にはかなり興味を持っていました。
自分でも育てて紡げるという点も魅力的です。
そこで最近見つけた本が田畑健さん著の『ワタが世界を変える』でした。
こちらの内容がまさに私がずっと知りたい、気になっていた事が網羅されてまとめられていて、手に取ってみて本当に良かったです。
この著者の方はもう亡くなられているのですが、和綿の普及に尽力した方で、人生を通して語りたいことはこの本に記されているとご本人も言っていたそうです。
和綿の日本における歴史から、近代になって海外産の安く大量輸入できる綿糸に頼るようになった道筋。
自給率がほぼ0になった和綿をどのように普及させていったのか…。
イギリスの産業革命で植民地を開拓し、奴隷による綿糸が大量生産される背景は衝撃的なものがありました。
当たり前のように販売されている服には綿が使用されていますが、その現実を知らずに使用していていいのだろうか。それは考えざるをえませんでした。
ページ数はそこまで多くなく文章もとてもまとまっており、すぐに読めてしまいます。
そして本の半分は綿の育て方、紡ぎ方など実践的な内容が載っており、綿に関する知識がこの一冊で補完されることは間違いないと思います。
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