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ストレスと現代社会とエンターテインメント【日記:2023/4/25】

現代社会では、エンターテインメントから極力ストレスを減らすことを求められていると聞きます。主人公が苦しむシーンは抑え目に、動物が殺されたりピエロが出てくるシーンもない方が良い。人によっては映画を見る前にデータベースを使って、そういったシーンがないか調べたりするそう。
エンタメしに来てまで、嫌な気持ちになりたくないという気持ちは理解できますが、適度なストレスこそが緊張感やカタルシスを生むと個人的には思う、なんでもかんでも優しくしようという風潮には賛同しかねます。

ただ私にも、エンタメにおいて一つだけ許せないストレスがあります。
それはUIの悪さです。
面白さに関わらない部分でのストレスは、ただ不快でやる気をなくします。
サムネにも使わせて頂いた通り、話題になっていた「ポートピア連続殺人事件」のリメイク版をプレイしてみて、そのことを改めて実感しました。

本作は1980年代にPCとFCで発売され、「犯人はヤス」という盛大なネタバレ文言がネットミームにもなった有名なゲームをリメイクした作品。
昨今流行りのAIが搭載、プレイヤーは自由に言葉を入力し、それによって相棒刑事のヤス(犯人)に指示を飛ばして捜査を進めるという流れなのですが、これが非常に使いにくい。

例えばこの場面、階段前に何か光るものがあるので拾おうとしているのですが、中々ヤスが拾ってくれない。
結局「屋敷の周辺を調べろ」と入力するのが正解だったようですが、判定が有効な言葉がかなり少なく、しょっちゅう「え?」とか「うーん……。」などと言われるので非常にイライラする。
FCや旧PC版では、コマンド選択など一定の選択肢の中で行動を選べたので、こういったことは起こらなかったらしいですが、今作では言葉選びという面倒なだけの工程が発生し、できの悪いロボを相手にしているよう。(実際できの悪いロボなのかもしれないが……)

そんな事情もあって、Steamでのレビューは非常に悪いし、各種評論サイトやまとめサイトでも批判の声が目立つ状態です。
レビューなどで言われている通り、ChatGPTのような自然言語生成機能がないためにAIを使っている意味がないという意見はもっともですし、しょうがないですね。
個人的にはその前に、この劣悪なUIを何とかして欲しいところですが……

この機会に往年の名作をプレイしてみようと思った人間にとっては、この出来はIPそのものの印象が悪くなるだけ。いっそ言語入力機能はオミットして、ゲームはゲーム、AIヤスとの会話を楽しむミニモードは別にするとか方がいいかもしれませんね。

まあ無料のゲームに注文をつけるのもどうなのか、というところですが、それだけUIは大事ということですよね。
エンタメの表現の大抵は、100%良い悪いで決められないものですが、UIに関しては明確に悪い時に悪いと言えてしまう、土台みたいなものですから。
寿司ネタだって好き嫌い以前に、前提としてのシャリが腐ってたらどうしようもありませんしね。
逆にしっかりと作られている物なら、それが邪道寿司でもウェルカム、そういう社会でありたいものです。(寿司屋でハンバーグ、生ハム、チキン南蛮、そういうの食べたことはないけど……)



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