人は誰だって認められたい。
僕は印刷会社の2代目です。
アトツギは自ら事業を興したわけでもなければ、育ててきたわけでもありません。なんの実績もない中で家業を継ぎ経営をしていく存在です。なので、親の七光りなんていわれるのも当然といえば当然です。その過程で有形無形な言葉となって「覚悟が足りない」なんてメッセージをもらうことがあります。
覚悟が足りない。
ほとんどは無言のメッセージなのですが、相手の顔に書いてあるんですよね。「君、覚悟が足りないよ」って。
というか、お客様にしろ、協力会社にしろ、金融関係にしろ、社員にしろ、なんの実績もない若造の経営者を前に「覚悟が足りない」前提でジロジロとみられるのがアトツギです。もう、そういう生き物なんだと思います。そんな場面を多く経験しながら「このヤロー、いつか見てろよ(キリッ!)」なんて思いながら、それでも認めてもらいたくて必死に頑張るのがアトツギです。
そうやってアトツギは育っていくのだと思います。
僕もそうでした。
覚悟ってなんだよ。
覚悟ってなんですかね?
割と都合のいい言葉だなと思っていて、定量化できないから簡単に「おまえ覚悟がないよ」って言えるし、言われたこちらも覚悟があることを定量的に証明できない。いつも泣き寝入りです。
いつ覚悟が定まるのか?
それは僕にはわかりません。(答えがなくてすみません。。)
人それぞれだと思います。ただ、僕にもありました。振り返ってみて覚悟が定まった瞬間というものが。そのことはまた別で書いてみようかと思います。
覚悟は定量化できないのですが、周りの人に「あいつは覚悟がある」と定性的にでも思ってもらうためには何が必要なのでしょうか。
自分でコントロールできないから気になるし迷う
僕も覚悟が定まっていない時は惑いの連続でした。(まぁ、今も惑っているんですけどね)経営がどういうものかもわからないから、そもそも何をしていいか分からないのです。当然ですが軸もないのでぶれます。
経営をしていれば景気の先行きは気になります。しかし「景気が悪い。」と嘆いたところで僕一人の力ではどうすることもできません。商売への影響が大きいがゆえに関心がいきがちです。ただ自分でコントロールできないことに時間を割くことは得策ではありません。
確かに景気は悪いかもしれないけど、自社でできることを探してみる。既存の技術を活かして、今伸びてるマーケットに進出できないか。これまでのやり方を変えることで製造ラインの歩留まりを改善することはできないか。自社でコントロールできることに集中するのが重要です。
覚悟とはつまり手放すこと
僕は元ヤンキースの松井秀喜氏のファンです。松井氏の著書「不動心」の中にこんな記述があります。
自分がコントロールできないものには反応しない事が一番なんです。出来ないものを理想はこうだ…といっても、結局はストレスをためるだけ。そういう、自分がコントロールできないものに対しては、反応しないことが一番なんです。
松井氏ほどのプレイヤーでさえ、自分でコントロールできないものを手放しているのです。ぼくのような凡人であれば尚更なこと、あれこれと関心が散って成果を出せるはずかありません。
自分でコントロールできることだけに集中し、それ以外の要因によって上手くいかなければしょうがないと潔くあきらめることも大事な考え方かもしれないと思うようになりました。
覚悟とは結果として身につくもの
また尊敬する多摩大学大学院 名誉教授の田坂広志さんは「ぶれない生き方」や「軸」という言葉を使い、覚悟とは何かについて教えてくれています。
人間の持つ資質には2つある。「目的」として身に付けるべきものと、「結果」として身に付くものです。今の世の中で錯誤がおこるのは、「結果」として身に付くものを「目的」にしてしまうことなんですね。つまり、ぶれないという生き方は目的ではない。よって、ぶれない軸をどうやったら身につけられるかという問いの立て方そのものが残念ながら違っているような気がする。1回かぎりの一瞬の人生をどのように生きたいのか、そのことを本当に心に刻めば、気が付いてみれば「あの人はぶれない」「軸が定まっている」といわれるような生き方になるだけなんです。
もうそのままこれが答えのような気がしてきました。(良いと思ったらすぐに乗っかる性格です)
アトツギはどうしても周りの目を気にしてしまいます。
「自分には覚悟ある」
「家業にしっかりと向き合っている」
ことを、きちんと認めてほしいと思っているものです。でも、これは目的でもなんでもないんですよね。他人からの評価は自分ではコントロールできません。
大事なことは、家業をどうしていきたいか。
そして、自分自身がどう生きたいのか。
そういうことなのだと思います。
ありのままの「自分」で生きていく。
そこさえ決まればあとはやるだけです。
周りの評価など関係ありません。(気になるけど)
そうすると、2つの変化が起こります。
1つ目は言葉。
話す言葉、選択する言葉が変わる。もっというと話しぶりが変わるのだと思います。お付き合いのある編者者さんの言葉を借りれば「体重の乗った言葉」です。その人でないと発することのできない言葉が必ずあります。そういう言葉は人を惹きつけます。
2つ目は行動です。
覚悟を具現化したものは行動に現れます。完全に私心を無くしたとはいいませんが、会社を良くしたいと思って始めた行動は少しずつ社員の賛同を集めます。そして、みんなの協力を得ながら仕事を進めていく過程で、独りよがりに「認めてもらいたい」と空回りしていた自分自身に気づきます。
仕事は一人ではできません。
自分自身の力など微々たるものです。
多くの仲間から力を借りることの謙虚さと責任を纏ったときに、覚悟をもったリーダーへと成長をとげるのかもしれません。
こんにちは。最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは僕のつたない経営や、インナーブランディングを行う中でのつまづきや失敗からの学びです。少しでも何か皆様のお役に立てたら嬉しいです。サポートはより良い会社づくりのための社員に配るお菓子代に使わせていただきます!