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落合第六小学校での「ノート学」開講!実施レポート

グラグリッドでは、これまで新宿区立落合第六小学校と共に、ビジュアル思考の技術を応用して、小学生の創造性を育むための授業を実施してきました。

その一つの形が「ノート学」。ノート学とは学び方を変革するためのアプローチで、自分の学び方を工夫しながらノートを作り出し、工夫を発見し合う相互学習のプログラムです。

そんなノート学。

今年は「子どもたちの想像力・思考力を育んでいくために、ノート学を継続できる土壌を作る、子どもたちと先生が一緒になって使い方を発見していく」を目指し、9月28日に、3年生・4年生を対象とした授業を実施してきました。

ここでは、その時の様子をご紹介します。

担任の先生とファシリテーターがタッグを組んだ授業設計

授業実施の約1ヶ月前。

今回は、各担任の先生がクラスの課題だと感じていることに対して、ノート学のアプローチで子どもたちの意識を変えることをテーマに、授業内容を検討。

担任の先生と各ファシリテーターがタッグを組んで、クラスの課題の本質を探っていきます。

そして「解決するために何を子どもたちに学んでほしいのか?」を対話しあい、各クラスの授業計画を組み立てて当日を迎えました。

【クラスごとの課題】
3年1組:チャレンジすること、新しいこと、人前での発表に苦手意識がある
3年2組:自分の考えを出すことに躊躇し、みんなの意見も意識できない
4年1組:自分で深く考えるところまで行きつかない
4年2組:正解ありきという考えに固着してしまう

“ありがとう”を可視化する「Thanks Map」

3年2組は、自分の考えを出すことに躊躇し、みんなの意見も意識できない、という課題を持つクラス。ひとりで考え悩んでしまうことも多いこともあり、その解決に向け、今回のプログラムを考案。

みんなで考え、まわりの人を意識し感謝できることを目指した、
みんなで“ありがとう”を可視化する「Thanks Map」

自分の考えを書いたり発言したりして日常のあらゆるところにある感謝に、他者の意見を受容しながら、新しい発見をしていくプログラムです。

授業は、ファシリテーターからの挨拶からスタート!

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担任の先生からは、今回の授業のポイントである「ありがとう」の気持ちをどんな時に持つか、子どもたちに質問。その回答を書き出します。

「おごってもらうとき」
「教えてもらったとき」
「プレゼントをもらったとき」

この段階では、何かをもらった人への感謝が多くでました。

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そして、いよいよ「Thanks Map」の登場。
学校や家、地域ではたらく人々などを配置したシートを見ながら、付箋に誰に、どんな感謝を伝えたいか、一人ひとり書き出していきます。

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しらないおばあちゃんへは、バスの席をゆずってくれて、ありがとう!
おかあさん、しゅくだいを手伝ってくれてありがとう!
未来の自分に向けて、生きてくれてありがとう!

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一人ひとりが、誰に対しての感謝を伝えたいかをグループごとにマップに貼り出して、他者がどんな意見を持っていたのか、ここで共有していきます。

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その上で、貼り出された人たちに、日ごろ「ありがとう」を伝えられているか?みんなでふりかえって、伝えられている人たちに印をつけるグループでの協働作業に入ります。

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結果、グループの中で「この人に言えている」「言えていない」の熱い議論が展開され、みんなの意見を聞く、ということができていました。

そんな内容で、45分の授業があっという間に終了。

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みんなで考え、まわりの人を意識し感謝できることを目指したThanks Map。
日ごろ感謝したい人を、みんなと共有して、感謝できているかをふりかえる、こんな体験から子どもたちも、大切な気づきが得られたようです。

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(子どもたちの感想)これをやって、みんなに、ありがとうをつたえられたきがしました。かんたんで楽しかったです。

さて、ここからは、他のクラスもダイジェストとしてご紹介。


自ら調べて考える「ひっぱり出し解説/赤ペンよみとき」

3年1組では、チャレンジすること、新しいこと、人前での発表に苦手意識があることが課題でした。

そこで、この課題に対して、自ら調べたことを他者に伝えるために、伝えたいテーマやモノに対して引き出し線を引いて、伝えたいことを書き出す「ひっぱり出し解説」を実践!

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テーマは印刷工場。自分が調べたことを、他者に伝えるために、解説をひっぱり出しで書き出します。

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みんなが書いたノートを共有して、それぞれどんなことがポイントだったかを共有。

子どもたちは、ひっぱり出し解説を使いながら、思考を深めていきました。

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自分の気持ちを表現する「気持ちスタンプ」

4年1組は、自分で深く考えるところまで行きつかないことが課題。
このクラスでは、自分の力で考えを整理したり、考えたことを表現できるようなノートとして、「気持ちスタンプ」の授業を考案。

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道徳の授業で行われた気持ちスタンプ。
ストーリーの登場人物の気持ちになって、その時、その人物はどのような感情だったかの表情をイラストで表現します。

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感情をイラストで表現することで、より登場人物の気持ちに入り込める、そんな体験を通じて相手の立場を深く考えることができる時間となりました。


解釈の多様性を知る「脳内交換」

4年2組は、正解ありきという考えに固着してしまう課題がありました。

そこで、正解が無いことも考えてみようと踏み出せる、他者のアイデアに寛容になれることを目指した授業を考案。

普段のノートの約4倍の大きさにあたる、机ノート(模造紙を折りたたんだ大きな自作のノート)で、ノートの大きさの常識にとらわれない雰囲気づくりからスタート!

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その机ノートに、「自分にとって学校ってどんな時間?」という問いと、自分が考える答えを書き出します。

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子どもたちそれぞれが、自分なりに考えて書いた問いの答えを、みんなで共有。

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中には、学校とは「めんどくさい時間だけど、しょうらい役立つ時間」といった、ドキッ!とするような意見も。

その後、自分のノートと隣の人のノートを交換して、相手のノートに書かれていることに対して感じたことを、イラストや文章で書き込んで自分の考えを伝達。これが、「脳内交換」と呼んでいる授業のゆえんになっています。

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正解ありきという考えに固着してしまう課題があった子どもたちも、他者からの意見によって、多様な考え方があることを学べたことが、最後の感想からもうかがえました。

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子どもたちの創造性を育てる先生を育てる

そして、授業をやりきったファシリテーター、サポーターのメンバー。

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実は今回の授業設計から実施を通じて、グラフィックの技術を使って子どもたちの創造性を育てる先生を育てる、というミッションもありました。
その詳細については、別の機会にnoteでご紹介しますので、お楽しみに。

さいごに、このような機会を作っていただいた落合第六小学校の先生方、この活動に協力いただいているパートナーの皆様、本当にありがとうございました!
(尾形)




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