ワークショップで挑戦!サービスデザインインターンシップ2018(後編)
こんにちは、ビジュアルファシリテーターの小野です。
先週、グラグリッドのサービスデザインプロジェクトのインターンシップ前編の記事を公開しました。後編では学生たちのポートフォリオのプレゼンの様子から、サービスコンセプトの立案に取り組んだワークショップの模様をお伝えしていきます!
▼前編はこちら!
プロジェクトに参戦!サービスデザインインターンシップ2018(前編)
大学での授業での取り組みを、プレゼンテーション
インターン3日目、最終日はそれぞれが主体的にサービスデザインにチャレンジ。最も重要で難しいコンセプトメイキングを体験します。
その課題に取り組むにあたり、まずは、これまで大学で作り出してきた、サービスデザインの事例をプレゼンしてもらいました。(金沢美術工芸大学 では、2年次に弊社三澤が講師としてサービスデザインの授業を行っています。)そのコンセプトの良さはどこにあるのか、プロのサービスデザイナーやファシリテーターから意見をもらう貴重な時間です。
プレゼンテーションの内容
・サービスコンセプト(ターゲットや価値、特徴など)
・サービスのコンセプト動画
・カスタマージャーニーマップ
・ステークホルダーマップ
まずは津野さんから。
和菓子の贈答品としての特徴を人生の終活に活用したサービス「ことのか」
人生の最期の時を計画する「終活」の一環として、お世話になった人に手紙をしたため、和菓子を贈る計画を練ることができ、亡くなった後に和菓子を通して想いを届けるというサービスです。和菓子を贈られた人は、連絡の取り合うことが叶わない故人と、和菓子を通じてつながりを感じることができます。
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次に寺山さん。
きんつばの豆を育てる体験をエンターテインメントにした「MY豆きんつば」
金沢に来訪したカスタマーがアプリを通して、きんつばに使用する豆を育てながら、実際に豆を栽培している農家さんや、和菓子屋の中田屋さんとの接点をつくるというもの。ゲーム感覚のアプリが、新しいタッチポイントとなり長期的にインタラクティブな関係性を保てているという点が面白いですね。カスタマーの生の声や嗜好パターンなど、さまざまなデータを集めることで、商品の改善や新作の企画に活かすことができます。
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最後に山本さん。
和菓子をつかったマインドフルネスのプログラムを提供するサービス「UZEN」
このサービスは、和菓子を食べる空間、食べる時間を、「マインドフルネス」と呼ばれる、禅のアプローチで、パッケージしたプログラムを提供しています。どんな場所で、どんな風にすごすのか?和菓子をとおして自分と向き合う時間が商品です。禅寺だけではなく美術館や茶室、海など金沢の豊かなロケーションの中で自分自身と向き合える、拡がりもひとつの魅力です。
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そして、サービスデザインの先生でもある三澤からメッセージが贈られました。
「社会人になると論理的な考え方や、わかりやすい数字を目標に掲げられることが多くなります。仕事の中で、感性的な機微をとらえたり、人間的な尊厳に目を向けることが難しくなっていきます。だからこそ、感性的にものを捉え、カスタマーの感情を揺り動かすモノをつくれるというのは、デザイナーの武器になる。そして、その力は、社会にとってとても尊いことです。
これからも学び実践してきたことに自信を持って取り組んでほしい。」
学生さんたちに向けられたメッセージを聞きながら、私も胸が熱くなりました。
コンセプト立案のワークショップ!
午後からはグラグリッドメンバーと一緒にコンセプト立案のワークショップを行いました。
テーマは「これからの働く女性のメイクアップサービス」。
30代以上のバリバリ働く女性のメイクアップ事情を知り、インサイトを見つけ出し、コンセプトを考えよう!というものです。
そして提案するものは、プロダクトを考えるだけではありません。買い方(商品の提示方法、ブランディング)、使い方(機能性)、関わり方(タッチポイント、システム)を統合的に考えていきます。
そして、グラグリッドのメンバーである30〜40代の働く女性とペアになり、取り組みます。それは、20代の若い女性がが30〜40代の働く女性と向き合い、びっくりしたこと、違和感を感じたこと、を心でしっかりと感じて欲しかったから。論理的に課題を見つけるのではなく、小さな発見をもとに、コンセプトをつくるという一連の流れを体験してもらうのが大きな目的でもありました。自分の直感を信じてコンセプトを提案してほしい!ワークショップにはこのような想いが込められていました。
あみだくじでチーム分け!どんな組み合わせになるのでしょうか…ドキドキ。
じゃーん。
チーム分けは「津野さん×小野ペア」「山本さん×和田ペア」「寺山さん×名古屋ペア」に決定!
まずはインタビューから!
インターン生たちは、「30代以上のバリバリ働く女性のメイクアップ事情」について、グラグリッドのメンバーへインタビューを行います。普段どんなことを考えているのか?抱えている課題は何か?なぜそんなことを考えているのか?つぎつぎと質問しながら、背景を探ります。
絵を交えながらインタビューをしたり。
一緒に描いたり。
じっくりと話を引き出したりと、各チーム大盛り上がり!
そして、インタビューから引き出したさまざまな発見の中から、一つの「インサイト」に注目。そのインサイトをもとにしながら、コンセプトをつくっていきます。
和気あいあいと進んでいきます。みんな楽しそう!
対話を繰り返しながら、生活の背景や、考え方に注目しているからこそ、インサイトが見えやすくなっているようです。
グラグリッドのメンバーはインターン生が考えることを聞き出したり、一緒に話す相手として対話の相手となり、発想を促していきます。
相談しながらコンセプトを固めていきます。
寺山さん、名古屋チームは和気あいあいと楽しそう!
コンセプトイメージを描き出していきます。あっという間に各チームのプレゼンテーションの時間です。
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「働く女性は変化とともにある!もっと自分を好きになる自分歴名刺」
(津野さん、小野チーム)
「自分歴」を通して、もっと自分を好きになるというコンセプト。
女性は心とともに顔も変化します。
自信がなくなった時に過去の顔を見ることで歩んできた歴史を思い出したり、変化している自分を再認識することで元気をもらうというもの。自己肯定感が弱い人、コンプレックスを持っている人にむけたサービスです。
ライフイベント(転職や恋人ができた、いいことがあったなど)や、自分自身のなかで変化が起きたなど、何かきっかけになる出来事が起きた時に、自分の”今”の顔写真と、使用しているメイクのカラーパレットが印刷された名刺が作成されます。
サービスを利用するまでのストーリーをもとにプレゼンテーション。
自分歴名刺のプロトタイプもつくってくれました。名刺にはアイカラーやアイブロー、リップカラーなど、普段使用しているコスメのカラーパレットが印刷できます。名刺を渡した際に会話のきっかけになったり、カスタマーの人柄を感じることができるコミュニケーションツールとしても機能する名刺です。
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「狂!クレイジービューティー!クリエイティビティと私を拡張する!」
(山本さん、和田チーム)
コスメというとキラキラのパッケージや、素敵なデザインのアイテムが溢れています。しかし、ネコかぶりな化粧品ばかりじゃないか?もっと自己イメージにあったものを選び取れて、もっとワクワクするクレイジーなアイテムがあっても良いじゃないか!というコンセプトのサービス。
絵の具のように複数の色を混ぜながら、自分の理想と思う色をつくったり、ダイナミックなチューブから色を出したり、スプレーでメイクができる遊び心のあるアイデアです。従来のメイクアップとは違いダイナミックに、もっと私らしくなれるというサービス。
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「己を知り、己を活かす。コンプレックスは生まれ持った自分だけの武器!」
(寺山さん、名古屋チーム)
寺山さん、名古屋チームはなんと、アクティングアウト(寸劇での体験プロトタイピング)から始まりました!
自分の顔にコンプレックスをもつ主人公が、同じようなコンプレックスをもちながらも、キラキラと輝く女性と出会います。なぜ今キラキラ輝いているのか、どのようにコンプレックスを乗り越え、自分を好きなれたのかストーリーを聞くことで主人公は自信をつけていきます。
「大丈夫、もっと自分の顔を好きになろう!コンプレックスは生まれ持った自分の武器だよ!」と、自信につながるアドバイスをくれるというサービス。
緊張しながらも、イキイキと演じきった寺山さん。
アクティングアウトをすることで、リアリティのあるシーンや考えてきたコンセプトが明確に伝わってきました。
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三者三様のプレゼンテーションが終わりました。
この間、インタビューからプレゼンテーションまでなんと2時間!!みんな短時間で走りきりました!
普通は、2時間でインタビュー、インサイト発見、コンセプト立案までは、とてもできません。本当に集中しながらも、直感を信じて走りきってくれたインターン生、自信を持ってもらいたいと思います。
各チームへのフィードバックはこちら。
「コンプレックスと向き合うというコンセプトが似ていた津野さん×小野チーム、寺山さん×名古屋チーム。
この2チームはコンプレックスに向き合うというコンテクストは似ていたけど、それぞれ、どういう体験を提供したいのかを明確にしたことで、違いが明らかになった。この「体験の違い」が意識できるかどうかが、サービスデザインで大事な感覚。しっかりとした背景の分析と、具体的な体験のイメージができたからこその違い。これからコンセプトとして広がりがありそう!」
「もっと私らしくなれるというコンセプトを考えた山本さん×和田チーム。今回はサービスの体験までは提案できなかったが、結婚式やイベント、スポーツ観戦など、特別な場面で使えそうな新しいコンセプトを生み出した。利用するカスタマーのコミュニティーを大切に育てることで、新しい使い方や、アイテム自体も発展しそう、可能性を感じる!」
あっという間に1日が終わってしまいました…最後にワークショップを感想をシェアして終了です。
▼津野さん
▼山本さん
▼寺山さん
みんなで集合写真をパチリ!
思うように提案できなかった悔しさや、面白いと思ったことをわかりやすく伝える難しさを感じながらも、短時間でコンセプト立案まで走りきったことは大きな自信になったのではないかと思います。
インターンシップに参加してくれた津野さん、山本さん、寺山さんありがとうございました!!!これからの活動を応援しています!
(小野)
▼前編はこちら!
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