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新しい試みこそ軌跡を残したい!大切なワークショップレコーディングフォトの話

こんにちは、名古屋です。何度も色んなワークショップをやっていますが、常々ワークショップとは生物(なまもの)だな、ライブだなと感じています。参加者の方々の反応や、その反応を受けての私たちの動きなど、常に一定では無いものです。

特に、後から当日の写真を見ると、最中には気付いていなかったシーンに気付くことも。今回はワークショップ中の写真を私たちがどう捉えているのか?についてお伝えします。

ワークショップの計画・実行中は全員が「渦中の人」

前提として、私たちは”生物”であるワークショップを記録するために写真を撮り、振り返り時やレポート、また営業資料などに活用しています。写真は「そのままを残す」特性があるため、ベーシックで大切な記録になっています。

しかし……ワークショップ中はいろんなことが同時多発的に発生するものです。ファシリテーターは共に考え、創る場を維持しながら、常にその瞬間を受け止めています。ビジュアルファシリテーターであれば、その時起こったことを逃さないように刈り取り、描いています。こういったファシリテーションへの集中があるため、自分たちだけではどうにも撮影が難しいときもあります。

こういった状況では、ワークショップの最中に出来あがったグラフィックを残すのが関の山ということにもなり、なんとも歯痒いところです。

写真だからこそ納められる記録

「ワークショップ以降にも活用できる写真を撮影したいものの、撮影が難しい……。」そんな葛藤を抱えていたある日。私たちが外部パートナーとして携わったプロジェクトで、専任のフォトグラファーさんが付いている場面に出会いました。

撮影されたものを見せていただくと、当たり前ですが素人である私たちが撮るものとは全くクオリティが違います。しかも、ワークショップの記録として欲しいシーンが切り取られている印象を受けました。

例えば、テーマについて考えている間の表情。まだ全体像を掴んでいない時と、全体が把握できた後の表情の差。疑問を対象者に投げかけながら、徐々に理解を深めていく経緯。これらを見ながら、だんだん私たちの中で「写真での記録」の重要さが増していきました。

ワークショップレコーディングフォトの存在

特に私たちが「写真での記録」を重要視しているのは、革新的な取り組みを実施し、広げていく段階にあるプロジェクトです。

例えば、落合第六小学校のグラレコを用いた創造的人材育成授業の取り組み。特に、初回の授業は体育館で全校児童が一堂に会して絵を描くというダイナミックなもの。記録したい!と思っていたものの。自分たちではマンパワー的にもスキル的にも難しいのが悩みでした。
しかも、事前に体育館を下見してみると。広さもあり、3面に広く窓があることから時間経過によって採光も大幅に変わる、非常に撮影難易度が高い環境だということがわかりました。

この授業は他に例を見ないものになる!だからこそ良い形で記録しよう!」と社内でも相談し、上記の現場でコミュニケーションをとっていたフォトグラファーの逢坂憲吾さんに撮影をお願いしました。

← グラグリッド小野 / 逢坂さん →

私たちからは「この日の様子を撮って下さい」と記録のお願いするのではなく、フォトグラファーとしてワークショップに関わりながら撮影してもらいたいこと、私たちが期待していることなどをお伝えしました。言うなれば、ワークショップの撮影もファシリテーションの一種であり、役割としてはその場の出来事を収穫していくハーベストの位置付けだと考えています。

どんな視点を持って貰えそうか? 自分たちが写真として欲しいのはどんな光景か? 話を繰り返し、共に授業に臨みました。

圧倒的なリアリティが持つ力

初回の落六の授業は全校生徒を集めて体育館で開催しました。全ファシリテーターの体力知力を絞るような非常に濃い時間、もちろん各自で撮影するような余裕はゼロでした。

後から写真を見せてもらったとき「体育館という巨大な規模で、全員で紙に面して描いている」ことが圧倒的な迫力で伝わりました。文字にするとこんなものですが、写真はその迫力を明らかに伝えてくれます。

準備に走りまわっているところ。子どもたちが紙に向き合い、「何をするんだろう?」となっているところ。ペンを持つ楽しさが爆発するシーン。
一人一人の表情や、全体像として熱を帯びてくるところなど、引きも寄りも納められていて、何度も繰り返し見ていました。

こういったその場で起きている光景の写真は、全く別の場に際しても、リアリティを持って伝わる側面があります。例えば、お声掛けいただいた案件での提案の場など、取り組みをお伝えするときにも「これはどんな状況なの?」「こんなにも(参加者が)集中して取り組むのか」と一気に目を引く力があります。

ハーベストを担うワークショップレコーディングフォト

ワークショップというある種の予測不可能さがある場においては、撮影に臨んでいただく際にプロジェクト全体への理解をしてもらうことがとても重要だと感じています。

それぞれに役割を担い、共にワークショップというライブの中に入ると、お互いを細かくケアし合うことは難しくなります。そこで活きてくるのが「このプロジェクトが目指すところはどこだ?」という観点。この観点を持ってシーンを切り取ってもらうことで、変化の過程や、出来事の様々な側面を残すことができます。この観点を持つには、スポットで撮影者として入るだけではなく、プロジェクト全体像を理解した上での参加が不可欠です。

入念な準備と計画をしてはいるものの、その場では何が起きるかわかりません。この何が起きるかわからないことを理解した上で、その場でのBefore / Afterを切り取ることで、参加者自身が導き出した成果を振り返ることにも繋がります。

そして撮影者として授業の様子を撮るだけではなく、校長先生や担任の先生方を含めたふりかえりの場にも、撮影と共に議論をする仲間として参加してもいます。それぞれの視点からの意見を交わしながら、全体で関係性を育む。そんなチームの一員として欠かせない存在となっています。

グラグリッドのメンバーも逢坂さんも、クラスのみんなと一緒に給食を食べて話しをして。合間で一緒に遊んだりもしています。こういったことで、短い時間ながらも全員でクラスの様子を観察し、「この先どんなことをやっていけるだろう?」と考える材料を集めています。

これから創り出す道だからこそ残したい

小学校の取り組みに限らず、例えば旧来からの在り方を問い直し、組織を変化させる大掛かりなプロジェクトや、未来を創造していくプロジェクトなど、これから初めて生み出されることに関わることが多くあります。

今生み出している過程を経ているときこそ記録を残し、生み出した後に振り返りを行うことで、自分たちが歩んだ道を自ら俯瞰することができます。この過程は、後から歩む人にも大いに役立っていくものです。

これからのプロジェクトではどんな過程が撮影されていくのか? 私たち自身もとても楽しみです。先々振り返ったときに、きっと宝になると信じています。

(名古屋)

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