スクリーンショット_2018-08-20_22

考え方をデザインする ビジュアルテンプレートの作り方~EuViz2018レポート2~

こんにちは、三澤です。
デンマークで参加してきた、ビジュアルプラクティショナー※1 のための国際的なカンファレンスEuViz2018 ※2 レポート第2弾をお届けします。
今回は「考え方のデザイン」とも言える、ワークショップのデザインとビジュアルテンプレート作成について。カンファレンス前日「プレカンファレンス」で、まるまる1日のワークショップに参加し、学んだこと、感じたことをお伝えしていこうと思います。

ここまでのレポート
国際的なビジュアルファシリテーターの祭典 EuVizにやってきました
複雑さと向き合うことができるビジュアライズのパワー~EuViz2018レポート1~

参加したワークショップは「Using Templates and Other Visual Aids」というもの。ビジュアルシンキングの文脈でよく登場するビジュアルテンプレートについて学び、自ら創るワークショップです。

ビジュアルテンプレートとはなにか?

ビジュアルテンプレートとは、会議やワークショップにおいて、意見や考えたことを書き込んでいく記入フォーマットのことです。しかし、記入する紙という役割を超え、考え方の道筋を示し、合意形成を促すために、ファシリテーションを効果的に助ける役割を担っています。

グラグリッドでも、ファシリテーションのためにさまざまなビジュアルテンプレートを作成し、活用しています。(一部、公開しています。

このビジュアルテンプレートについての知識を深めるだけでなく、さまざまなビジュアルエイドのノウハウを学びました。

ワークショップでは考え方から学ぶ

ワークショップは9:30〜16:30までの6時間。さまざまな体験をしながら、都度、リフレクションを行い、学びを深めていきます。そもそも、創造性とはなにか?発想するにはどんなことが必要か?など、気づきを得て、最後の「テンプレートデザイン」に向かっていく構成です。

・自己紹介や参加者同士が打ち解け合うためのワーク
・クリエイティビティについて考えるワーク
・連想から発想をふくらませるワーク
・アンチ条件から発想するリバースブレインストーミングのワーク
・自分たちが好きなドローイングの練習方法のシェア
・カードを用いた強制発想をするワーク
・ビジュアルテンプレートに求められる条件についてのシェア
・ビジュアルテンプレートのデザインのワーク
・ギャラリーウォークとリフレクション

アイデア発想の方法やクリエイティビティに関する考え方は、単純でわかりやすいものばかりで複雑さを感じることはありませんでした。しかし、それぞれのワークがうまく編み込まれていて、最後にはクリエイティブな「考え方を考える方法」を発表する構成になっていました。気付いたらすごく高い山を登っているような、このワークショップの設計にも多くのことを学ぶことになりました。

そして、参加している人たちは、プロのファシリテーターばかり。持ちよる経験や知見が豊富。本当にレベルの高い会話ばかり。

「参加者を勇気づけ、みんなを受け入れるためのワークショップのあり方とは?」「一つ一つの瞬間的な発想だけでなく、時間を経過して総合的に発想されたアイデアを捉えるには?」などなど。そして、それらの疑問を通して生まれた気づきや、次のアイデアに紡いでいく、という具合。

効果的なテンプレートのあるべき姿とは?

そのナレッジの集積に心踊ったのが、テンプレートを創るためのティップスとトリックスをシェアし合うワークをした時です。普段ワークショップをデザインし、ビジュアルテンプレートを活用している人だからこその課題、意識、工夫がどんどんシェアされていきました。

「何をすべきか、わかりやすく書かれていること」一方で「解釈を広げる表現であること」。それから、ワクワクさせる工夫や、ストーリーラインへのマッチング、コピーなどの運用のしやすさなどにも及びます。

ワークショップをデザインし、ファシリテーションする上で、必要不可欠なビジュアルテンプレート。とてもノウハウが必要なのに、マニアックすぎて語り合うことがなかった内容です。経験に紐付いた知見をメタ視点で考え共有できる、という贅沢さを感じました。

考えること、考えかた、考える体験そのもののデザイン

最後には、二人組みに分かれ、自分たちでワークショップのデザインとビジュアルテンプレートの作成を行いました。

テーマ設定:
10人が3時間の中で「世界は何を求めているのか?そしてどのように貢献できるのか?」についてダイアログするために、ファシリテーションを助けてくれるビジュアルテンプレートをつくろう!

(スウェーデン人のサラとペアになりテンプレートをデザイン)

テンプレートをいきなりつくるのではなく、何を考える?どんな風に考える?どんなことを考えて、感じとってほしい?など、3時間の時間の使い方や、議論のポイントなるべき話題の話しやすさなども考え、最終的に、1枚のビジュアルテンプレートを完成させます。

テンプレートはつくる側になってこそ!

うまくできたビジュアルテンプレートがあれば、ファシリテーターは進行に心を乱されず、安心して場を見守ることができるようになります。大勢のワークショップをファシリテーションする時にもとても役立ちます。

しかし、今回のワークショップを経験して改めて思いましたが、ビジュアルテンプレートはつくる側になってこそ。

他の人のつくったメソッドを導入するだけでは、本当の目的に近づくことができないかもしれません。そして何より、「どう考えるべきか?」を考えることをやめてしまっては、クリエイティブな場をつくることができないのではないかと感じました。

進行や板書のやり方も、場をまとめリードする技法のひとつかもしれませんが、「考え方のデザイン」こそ、もっともっとリーダーやファシリテーターが取り組むべき!

グラグリッドでもビジュアルテンプレートを考えるワークショップをやってみたいと思います。組織を率いる立場の方、特にフィットすると思いますので、お気軽にお問い合わせください。

(三澤)

関連レポート
国際的なビジュアルファシリテーターの祭典 EuVizにやってきました
複雑さと向き合うことができるビジュアライズのパワー~EuViz2018レポート1~

注釈
※1 ビジュアルプラクティショナー
ビジュアルプラクティショナーとは、グラフィックファシリテーションやグラフィックレコーディングなど、さまざまな視覚化のメソッドを活用し、自分たちの活動の中で実践している人たち。コンサルタントや、デザイナー、組織開発、コーチング…、いろんな職業の人がいて、それぞれにこのビジュアルシンキングのメソッドを活用しています。

※2 EuViz 2018
( EuViz conference 2018 / IFVP conference 2018 )
「EuViz」は、EuVizはヨーロッパのビジュアルプラクティショナーのコミュニティ。そのカンファレンスがEuViz conferenceです。ビジュアライズのメソッド をファシリテーションやイノベーション創出や、組織開発などに活かしている人たちが、そのノウハウをシェアしたり高めいます。
通常EuVizはヨーロッパだけでカンファレンスをしているのですが、今年2018年は、世界的な組織であるIFVP(International Forum of Visual Practitoners https://www.ifvp.org/ )のカンファレンスと共同開催し、世界レベルのカンファレンスになりました!

EuViz conference 2018の情報はこちらからも見られます
www.euviz.com
Flickr (写真アルバム)
youtube
Facebook ページ
Hashtag: # euviz2018 # todawornottodraw

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?