「サービスデザインシンポジウム2020」をグラレコで見てみよう!
2020年2月21日(金)に、経済産業省主催のサービスデザインシンポジウム2020「サービス視点によるビジネスの(再)構築に向けて」が開催されました。
本シンポジウムは、経済産業省の委託事業「我が国におけるサービスデザインの効果的な導入及び実践の在り方に関する調査研究」(受託者:株式会社コンセント)の一環として、国内の民間領域におけるサービスデザインの導入・実践に向けた学びの場とすることを目的として開催するものです。
※イベント参加申込みページからの引用
サービスデザインを実践していくための本質的な議論が展開されたシンポジウム。グラグリッドは運営協力として、ファシリテーションとグラフィックレコーディングを担当しました。
ここでは、その概要を当日作成したグラフィックレコーディングでご紹介します!
4つのサービスデザイン実践例
はじめは、4つのサービスデザイン実践例。これらの事例は、今回のシンポジウムでのサービスデザイン原則「顧客中心」「共創」「包括的な視点」を踏まえた取り組みとして紹介されました。
サービスデザイン実践例紹介1「やさいバス」(博報堂)
地域の生産者と消費者を「バス」というタッチポイントで結ぶ、新しい流通のデザインが紹介されました。社長の思いに、賛同し集まってきた人々との開発ストーリーや試行錯誤の様子を紹介いただきました。
サービスデザイン実践例紹介2「Craftal」(Culture Generation Japan)
伝統工芸品の器を、定額制で利用できる飲食店向けサービスについて、サービスを立ち上げのストーリーから、現在の取組までをご紹介いただきました。
サービスデザイン実践例紹介3「陣屋コネクト」(東芝)
旅館スタッフ全体で、オペレーションを可視化しながら、最適なシステム要件を特定し、新しいサービスとしてアプリケーション開発から導入までのストーリーをご紹介いただきました。
サービスデザイン実践例紹介4「ダスキンラボ」(ダスキン)
ダスキンさんが、消費者とのネットワークでどのように声を拾い、新しいサービスに活かしているのか?研究活動の様子をベースに、新商品のコンセプトをご紹介いただきました。
また、これら4つの実践例に先立ち、現在事例調査が進められている進捗の報告もありました。
Tesco Bank、Lloyds Banking group、Weltmeister、in house records、WANIC、インアウトバウンド仙台・松島、セントラルユニ、セブン銀行といった事例が紹介。現在、他にも調査中で、これらの結果をまとめた資料が、経産省から後日公開されるとのことです。楽しみですね。
サービスデザイン実践に向けたパネルディスカッション
今回着目している
「地域振興(ローカルビジネスの振興)」
「製造業とサービスビジネスの融合」
「サービス産業の生産性向上」
という観点から、サービスデザイン実践に向けたディスカッションが、この研究会の座長である武山先生(慶應義塾大学)の進行で行われました。
パネルディスカッションのグラフィックレコーディング
パネルディスカッションでは、サービスデザイン実践に向けての伝え方やはじめ方のポイントが議論になりました。
サービスデザインを事業開発と捉える、関わるステークホルダーと共に創り上げていくプロセスを通じてチームやコミュニティとしての凝集性を高めていく、サービスデザインのアプローチをとらないことの影響を伝える、などが有効ではないかと議論が展開されました。
これから、サービスデザインを実践していくフェーズに入っていくにあたり、それをどう伝え、どう踏み出して、持続的な顧客との関係性をいかに設計していくか、具体的な実践知が求められるようになってきました。
テーマ別セッションで見えてきた参加者の皆さんの課題感とは?
このパネルディスカッションの前に行われたのは、テーマ別セッション。参加者は3つのテーマごとに分かれたテーブルに着いて、そのテーマに対する自身の悩みや質問をテーブル内で共有するというプログラムがありました。
テーマ別セッション:1ラウンド目
テーブル1「もっと知りたい!初めてのサービスデザイン」
テーブル2「紹介された事例について語り合おう」
テーブル3「サービスデザインをやるためのハードルとは?」
テーマ別セッション:2ラウンド目
テーブル1「地域資源を活用してサービスビジネスをするためには?」
テーブル2「製造業でサービスビジネスをするためには?」
テーブル3「サービス産業の生産性向上のために何からできる?」
テーマは異なるにしても共通して言えたのは、多くの多様なステークホルダーが関わるサービスデザインの実践において、そのマネジメント、予算、売上、評価制度、組織設計、運用プロセス、といった既存組織においては事業としていかに進めていくかの壁をどう乗り越えていくかが皆さまの関心事として大きかったようです。
パネルディスカッションでは、まさにこれらに焦点が当てられ、参加者の皆さんそれぞれ刺激や気づきが得られたのではないでしょうか。
おわりに
13時からあっという間の5時間でした。今回のシンポジウムが日本でのサービスデザイン実践知の共有という意味から、実践に向けた着実な一歩につながったものと思います。
なお、研究会の討議資料等は、下記の研究会のページから見られます。
ご興味ある方はぜひご覧になってはいかがでしょうか。
経済産業省サービスデザイン研究会
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