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カスタマーの価値観は、演じることで見えてくる! 〜ペルソナお面の効果〜

「カスタマーにとって嬉しいサービスをつくろう!」

この人間中心デザインの考え方は、良いサービスをつくっていく上でも、持続するビジネスを作っていく上でも、いまや、“当たり前”になりつつあります。業界や業態によって「人」を表す表現はさまざまですが、カスタマー、ユーザー、消費者、生活者、受益者など、言葉こそ変わっても、「人」にとっての幸せを考え「人」に響く商品をつくることは、新しいサービスを生み出すシチュエーションで、共通の大きな目標と言えるでしょう。

2012年にサービスデザインの概論を示し出版された「This Is Service Design Thinking (翻訳版)」では、サービスデザインの5原則のうち、一番最初に「ユーザ中心(User-centered)」を掲げています。人を中心に据え、その人の価値観を満たす体験を考えよう!という原則です。さまざまな分野を越境し、さまざまななタッチポイントをつなぐサービスデザインにおいては、「人の価値観」こそが、唯一の拠り所になることもあります。何を創るべきかを見失わないためにも、カスタマーの価値観をしっかりと把握しておくことはとても重要なのです。

そんな時に使えるメソッドとして有名なのは、「ペルソナ」や「エンパシーマップ」でしょうか。調査等によって明確になったカスタマー像を、誰にとってもわかりやすい状態に可視化することを目的とし、企画や開発の現場で非常に役に立っています。

ペルソナの例(福島県浪江町のプロジェクトで作られたもの)

エンパシーマップの例(グラグリッドで活用しているフォーマット)

私達グラグリッドでも、ペルソナやエンパシーマップはよく活用しています。ペルソナは見えてきたカスタマー像を精緻化して多くの人に伝える時に利用します。一方、エンパシーマップはカスタマー像を咀嚼し価値観を探索する際に使います。

今回は、エンパシーマップのように「カスタマー像の探索」時に活用できる、手法をひとつご紹介したいと思います。それは、顧客像のお面をかぶる「ペルソナお面」です。

利用方法1:カスタマー像になりきって、即興で会話してみることで、カスタマーが「どんな反応をするのか」「何を喋るのか」、最も自然な姿を模索することができます。

利用方法2:カスタマー像になりきって、ブレストの場に参加。新しいアイデアが出てきた時、カスタマーの立場からそのアイデアの特性がどのように感じているのかをフィードバックします。

この方法は、サービスデザインのアイディエーションワークショップで活用しています。実際に、カスタマー像がはっきり見えていた時は、お面をかぶった参加メンバーが活き活きとアイデアをブラッシュアップしていくのに役立ちました。一方で、カスタマー像を曖昧に定義していた時には、お面をかぶった参加メンバーは、何も喋れなくなってしまったんです。「カスタマーのこと、あんまり見えていなかった…」ということが明確になり、より効果的な調査ステップへ進むことができました。

演じるという行為には、頭で理解するよりも多くの情報が必要です。まさに、「顧客に深いレベルで共感」することが求められます。また、お面を物理的にかぶることで、自分以外の人格になるという心構えができ、外からみても違う人格として扱いやすくなります。顧客のことをしっかりと把握するためにも、定義するためにも、ペルソナお面をつくって、被ってみませんか?

(ただし、写真でお面を作ることはオススメできません。ちょっとリアルで怖いです。ぜひ、イラストでお面をつくってみてください。)

(三澤)

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