学ぶ過程をひらいたことで、学びかたが進化した小学生の「ノート学」
「6年生のノートすごいなぁ…。矢印や記号をつかって、流れがわかりやすいようにまとめてるんだ!」
「結局、ノートって余白があるものが一番だと思うんだよね。」
「このノートは、シンプル派だね。余白の使い方がすごいよなあ。」
教室のあちこちから、子どもたちの「このノートはなぜ良いのか?」を議論している声が聞こえてきた土曜日。新宿区落合第六小学校の特別授業です。
子どもたちが、これまで実際に取り組んできたノートを、展覧会のように展示した、「ノートグランプリ」が開催されました!
学び方をデザインする「ノート学」
2020年度の新宿区立落合第六小学校は、4〜6年生を対象に「ノートの在り方」を自身で考えることにチャレンジしてきました。
チャレンジの集大成である「ノートグランプリ」では、自慢のページを互いに見せあい、互いに良いところを見つけあう学びの場です。
子どもたちは9月からグランプリに向けて、創意工夫しながら取り組んできました。
■■ノートグランプリの実施内容■■
・自分の学年以外を周遊しながら、良いところを探し合う「ギャラリーポスティング」の実施
・注目されたノートや特徴的なノートの紹介
・自分だけのグラフィックレコーディングに挑戦!
4〜6年生が一斉に実施するため、周遊は時間制で入れ替え、教室の入退出を一方通行にしました。
さあ、みんなのノートを見にいこう!!
見てもらいたいとっておきのページを広げて、みんなのノートを見に行こう!!
早く見に行きたくてうずうず
「4年生のノート、ふせんや写真をたくさん使っててわかりやすい。
色もたくさんつかってるけど見やすいのもいいね!」
6年生のノートを見てコメントする4年生!
「何に対してどうなっているのかが書かれている」ことの良さを分析する4年生
ノートの上で、ノートの良さを議論しだす子供たち
「4年はなんでA4のノートを使ってるの?自分たちは、B5だから小さいなあ。ずるいな。」
あちこちで活発に話し合いが始まり、教室が興奮に包まれました。
もらったコメントに対して、自分の良いところ、悪いところを反省しだす
自分はもっとできたはずと悔しがっている子や、学びの工夫に気づいてもらえた嬉しさにあふれている子。感情をむきだしにしている子であふれていました。
これまでの自分にはなかった学びの発想を得ることができました。
子どもたちが発明した、楽しく学ぶための工夫とは?
一部をご紹介!
ノートグランプリでは、たくさんの工夫が詰まったノートが展示されました。
そのなかでも「これは工夫が詰まっているぞ」というノートの一部をご紹介します。
例えば5年生の理科の実験ノート。3枚のふせんを重ねてめくれるようになっています。
「めくって見るのだー」と書かれていて、思わずめくりたくなっちゃいますよね!
このノートをまとめた子に話を聞いてみると「難しい内容もあとから見て楽しい気持ちになって、勉強しようという気持ちになれたらいい」
と語ってくれました。
6年生の歴史のノートには、長篠の戦いで用いられた戦法が絵で説明されています。
なんと、このノートをみた他学年の子が、周りにいた子どもたちに戦法を説明をしていたとのこと!
授業を受けていなくても、思わず説明したくなる工夫がつまっています。
ノート学の授業で学んだことに挑戦しながら、ノートをデザインし、学び方を深めているように感じました。
学んだことを吐き出すために、全員でグラレコに挑戦!
他学年のノートからたくさんの刺激を受けてきた子供たち。
他人の良いところや、学んだことを吐き出すために5分間のスピーチをグラレコします。
感染症対策のためプロジェクトを支えてくれた
ノート学研究所のメンバーは動画で参加
事前に収録した小野のスピーチをグラレコする子どもたち
いろんな色やペンを使ってわかりやすくまとめることに挑戦
使うペンが変わってきた!
ノート学を通して、子どもたちに起きた変化とは?
「学力が上がった子が増えたんです。」
先生方からみらい科の授業が始まってから、こどもたちの学力が上がったという話を聞いていましたが、子どもたちからも実感のこもったコメントが増えたのです!
学力が上がった裏側には、なにがあったのでしょうか?
子どもたちから話を聞いていると、こんなコメントが飛び出しました。
・友達同士でノートを見せ合い、どんなノートがわかりやすいのか議論する事が増えた
・自分の疑問や考え、授業を受けていたときの気持ちをふりかえり、ノートに書き残すようになった
・いいなと思ったことをマネしたり、自分なりの工夫を加えて、楽しみながら取り組むようになった
ノート学で学んだことを土台に、思考の進化が起きていたのです!
さらに学年を横断してノートを見合ったことで、工夫をする楽しさを手に入れたことが読み取れます。
グラレコに終わりなんてない
授業の興奮があふれる
またギャラリーポスティングを通して、お互いの違いや良いところを見つけ合い、発見する新しい学び方を学びました。
・他人の学びかたに興味を持つ機会を得た
・ノートが、書き写す対象から、考える道具に変わった
・考えを表現することの楽しさに気づいてしまった
ノートグランプリに込めた思い
子どもたちにノートグランプリを通して伝えたかったことが3つあります。
1.自分なりの楽しい学び方を発見する
2.一人ひとりが工夫し、考えてきた過程を見つける
3.同じ内容でも受け取り方、考え方は人それぞれだ。ということに気づく
大切なことはきれいにまとまっているノートを探して、感動することではありません。ノートに込められた一人ひとりの学びの工夫や、考えてきた過程を発見することです。
ギャラリーポスティングでふせんをたくさんもらって喜ぶ子、少なくてがっかりしている子と反応はさまざまでした。「もらったふせんの量が多い=すごい」のではなく、「他の人が発見した気づきや、良いところ」に注目してほしいのです。
授業を通して自分なりの学び方、考え方をデザインできることに気づいてくれたのではないかと思います。
ノートで学びは進化する。
今後の子どもたちの学びはどのように進化するのでしょうか?
ノート学研究所一同、楽しみにしています!
(小野)
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