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ふりかえり、薄っぺらくなってない? 自分のことを自分の外から見つめるリフレクションのススメ

創造的な事業を生み出す現場や、教育現場等で注目を集めている「リフレクション」。今では、自分を「ふりかえる」という概念を越え、自分と社会の「新しいつながり」をつくるための方法として、活用されはじめています。

しかし、さまざまなメソッドやフレームワークがある一方で、「毎回やっているのに、行動が変わらない」「問題点の列挙ばかりで根本的な課題を見つけられない」という声を聴くことも。

さて。それでは、どうしたら、根本的で行動を変えるようなリフレクションができるのでしょうか?

いろいろあるリフレクションのフレームワーク

ふりかえりの方法をWebで検索してみると、実にたくさんのアルファベットが見つかります。PDCAにKPT、YWTにLAMDA。
これらは、より良いプロジェクトにするため、より良いチームにしていくための「考えていくためのフレームワーク」。

うまくいかなかったこと、工夫すべきだったことなど、目に見える課題があぶり出され、チームで共有しやすいという点で、効果が出やすいフレームワークです。

しかし、その課題に気付いていない時は、どうでしょう?
この考えるフレームワークを知っているだけでは、効果的なリフレクションができません。

あなたは大丈夫? 失敗するリフレクション

気付いていない課題を見つけるには、やり方に工夫が必要です。
うまくいかないリフレクションについて、よくあるケースをチェックしてみましょう。

  終わってすぐに「気づいたことを教えて!」とふりかえってしまう
自分の行為について、自分の思考について考える時間がないままふりかえると印象に強かったことだけを思い出してしまい、小さな違和感や、事実の関係性に目が行きにくくなってしまう。
  人と行為を切り離さずに、「この人は」「自分は」こうだったとふりかえってしまう
・特定の人だけの課題だと勘違いしてしまい、チームの知見にならない。
・特定の人だけの課題だと勘違いしてしまい思考停止。その中にある課題の本質に気付きにくい。
  フレームワークを埋めて、分析しないまま終わってしまう
・挙げられた内容の関係性に気づかず個別対処。結果的に無駄が多くなってしまう。
・挙げられた内容の奥に潜む本質的な課題に気づかない

忙しい時や、コミュニケーションが取りにくい状況だと、こんなケースもありますよね。

効果的なリフレクションってどんなもの?

そこで、効果的なリフレクションを考える上で、どんな工夫の仕方が必要なのか考えるために、世界的な研究にちょこっとだけ目を向けてみましょう。

○経験学習モデル(デイビッド・A・コルグ)
経験を次に活かすためのプロセスを理論化したものが,組織行動学者デイビッド・コルブによって提唱された「経験学習モデル」。これは、まさに、行為を学びに変えていくためのリフレクションのモデルとして捉えることもできます。

このモデルで特徴的なのは、「抽象的概念化」のプロセスが入っていること。抽象化することで、複数の個別の問題を統合し、より本質的で大事なことを捉えらるようになります。まるでデザインプロセスのようです。

○省察的実践(ドナルド・A・ショーン)
もうひとつは、ショーンによって提唱された、「行為の中のリフレクション(reflection in action)」と「行為の後のリフレクション(reflection on action)」。

実践知の中には、実証主義に基づく検証ができないものがあるということに注目し、リフレクションをこの2つに分けて考えるべきと言っています。また、複雑なもの、不確実なもの、不安なもの、独特なもの、価値が曖昧なものを実践する時には、多くの専門家が「Reflection-in-Action(行為の中の省察)」を行い、実践知を生み出していることを明らかにしています。

▼これらの内容について解説されている本


**「気づかなかった自分に気付く」

リフレクションに必要な5つの要素**

それでは、実際どのようなことをすると、「気づかなかった自分に気付く」ことができるのでしょうか?5つのポイントで解説していきます。

1.  自分と向き合う
2. 自分の状態を、外から見る
3. 気づきの中にある本質に目を向ける
4. 気付いている自分を、さらに外から俯瞰する
5. 最終的には、自分視点で収穫する

1.  自分と向き合う

自分自身と向き合う時間をつくります。
ぼーっとするのではなく、丁寧に思い出すという作業が必要になります。
信頼する人と「対話」をする。または、思いつくままに文章や絵として書き出すことで、過去の自分の姿を認識します。

2. 自分の状態を、外から見る

「対話」や「思考の書き出し」や「絵の描きだし」をして、出てきたものを、もうひとりの自分という感覚で捉えます。
別の人を見るように、自分と切り離すことで、内容を直視できるようになります。

3. 気づきの中にある本質に目を向ける

「対話」や「思考の書き出し」や「絵の描きだし」として、見えてきたものが、「どんな状態なのか」「どんな意味を指し示しているのか」読み解いていきます。「なぜそう考えたのか?」理由を考えたり、それぞれの関係性について目を向けることで、根元となる要素に気付けます。

4. 気付いている自分を、さらに外から俯瞰する

見えてきたものを、「誰かに話してみる」、「貼り出して眺めて見る」などして、俯瞰します。気付いたと思っていたことが、「自分にとってどんな価値があったのか?」「他の人とどんな違いがあったのか」が見えてきます。

5. 最終的には、自分視点で収穫する

ここまでくるとたくさんの気づきがあるはずです。ここで、「自分自身として何を思ったのか?」一人称で気付いたことを書き留めます。自分にとっての価値を、自分の手で明確にすることで、自分にとって必要な価値を掴み取り、腹落ちすることができます。

効果的なリフレクションは、人生を変える可能性がある

効果的なリフレクションは、「たくさんの気軽な気づき」ではなく「それまで気付いていなかった本質的な気づき」をもたらします。

それは、仕事のやり方を変えることもあれば、人生の新しい出発を決意させてくれることもあるのです。

私たちは、リフレクションを、『自分を観察し、自分の新しい意味を見つけることで、自分と社会の「新しいつながり」をつくる行動を考えること』と考えています。

効果的なリフレクションをサポートするツール

「気づかなかった自分に気付く」リフレクションに必要な5つの要素を組み入れたリフレクションツールとして、「えがっきー」をご紹介します。

▲えがっきーのリフレクションプロセス

描いて気付くリフレクションツール「えがっきー」は、自分の考えや自分の状態について考えることができる、ツールキット。「気づかなかった自分に気付く」ことができる5つの要素を、楽しく行うことができます。

1.  自分と向き合う [問いで自分と対話する]
2. 自分の状態を、外から見る [モノに喩えて状態を捉える]
3. 気づきの中にある本質に目を向ける [要約して本質を見つける、読み解いきサポートで大事なことに気付く]
4. 気付いている自分を、さらに外から俯瞰する [説明して俯瞰する]
5. 最終的には、自分視点で収穫する [自分で気づきを書き入れる]

シンプルな問いから始まり、事実を書きだしていくうちに、「喩える」「要約する」などの思考プロセスを経て、隠れた自分の姿に気づかせてくれるツールです。

12月20日までに、クラウドファンディングからご支援いただいた方に、順次お届けしていく予定です。まだ一般的に販売してはいないので、ぜひ、この機会にお申し込み、お問い合わせください。

(三澤)



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