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改めてPinterestにおけるUXについて考察してみる

現在、UXやUXデザインに多くの企業が注目しているといっても過言ではありません。

自社のプロダクトやサービスを通じて、お客様が成功体験や良好な体験を経験することで、お客様はそれらに好感を抱き、その体験の積み重ねによってお客様がファン化していくと考えられます。

そのような体験を経てファンとなったお客様とは『エモーショナルタイ(感情的な結びつき)*』とでもいうべき関係性を構築することが可能となり、このような関係性はプロダクトやサービスの提供サイドにとっては理想的な状態であるといえるでしょう。

*私が以前、在籍していたスポーツメーカーのナイキ社の創業者であるフィル・ナイトが30年以上も前にスポーツマーケティングにおける重要な要素として掲げた言葉。

これらのことから、業種を問わずUXレベルの高いプロダクトやサービスを提供することが極めて重要であり、それらを具現化するために、現在、多くの企業がUXデザインに注目しているものと考えられます。

そこで、先日、下記のウェビナーに参加させて頂き、改めてUXとUXデザインに関して学ばさせて頂きました。

非常に中身の濃いウェビナーでしたので、エアークローゼット社様の了承を頂き、その一部の内容(概要)を記述させて頂きます。

ウェビナー「全社でUXデザインに向き合う ファッションテック企業の裏側」の概要(一部)について

●エアークローゼット社の取り組み:UXに結びつく行動指針を明示する

UXレベルの高いプロダクトやサービスを提供していくためには、全ての社員が常にUXを意識しながら業務を遂行することが重要となる。

そこで、社員全員が常にUXを意識した業務が遂行できるよう行動指針を明示するとともに社内表彰制度を設けるなどによって社員全員が常にUXを意識するような体制を構築している。

https://peatix.com/event/3274712

●エアークローゼット社の取り組み:サービス設計段階でUXを意識する

単なるサービスを提供するのではなく、そのサービスを通じたUXを提供するという視点に立ちサービスを設計、構築する。

そのサービスによる体験価値を如何に最大化するかに基づくサービス設計、構築をすることが重要である。

https://peatix.com/event/3274712

●エアークローゼット社の取り組み:デザイナーもサービス全体のデザインに関わる

基本的な組織におけるデザイナーの役割は表層のデザインだけを担い、ディレクターとエンジニアとしかコミュニケーションを図らないケースが多いが、海外の事例ではデザイナーがアイデア出しや構成まで担当するケースも少なくない。

社内における立場や役割によって、UXに対してさまざまな視点でさまざまなアイデアを有していることも多く、それらのアイデアをプロダクトやサービスという形のあるものに具象化、翻訳していくことがデザイナーの役割となる。

以上のことから、エアークローゼット社のデザイナーは表層デザインだけではなくサービス全体のデザインにも関与し、社内のさまざまな立場や役割を持つ社員と連携しプロジェクト発足時点からデザイナーが参加している。

https://peatix.com/event/3274712

【関連記事】

●結論:UXデザインやUX改善に必要なのはテクニックではなく「人」である

現在、UXを生み出すためのUXデザインやUXを改善するためのさまざまなテクニックや手法が存在しているが、最終的に重要なのは小手先のテクニックなどではなく「自社のプロダクトやサービスをお客様がどう感じるか」「自社のプロダクトやサービスを通じて、お客様にどのような体験をして欲しいか」を考えるマインドや考え方である。

したがって、そのプロダクトやサービスに関わる全員がUXについて考え抜き、それらを全て洗い出し、取捨選択しながら収束し、具現化していくことでUXレベルの高いプロダクトやサービスが生まれていく。

https://peatix.com/event/3274712

UXデザインと聞くとテクニックや技術、手法が重要であると考えがちですが、上述の通りUXを生み出す、あるいは、改善していくのはテクニックや技術、手法ではなく「人」であり、単にテクニックや手法だけでUXレベルの高いデザインが構築できる訳ではありませんし、その先に繋がるUXレベルの高いプロダクトやサービスが提供できるとはいえません。

すなわち、UXを生み出したり、改善する上では、計算されたデザインなどが云々ということではなく、そこに関わる全ての人が「お客様にどう感じて欲しいのか」「お客様にどのような経験をして欲しいのか」を徹底的に考え抜く人の力が何より不可欠であるといえるでしょう。

東京ディズニーリゾートから学ぶUXの真髄

Pexels

そのことを理解するための1つの例として挙げられるのが、究極のUXレベルのプロダクト、サービスといえる東京ディズニーリゾート(TDR)の各種サービスではないでしょうか。

TDRでゲストが経験するさまざまな非日常的体験は末永くゲストの心に残りリピーターとしてファン化していくといっても過言ではありません。

しかしながら、TDRを訪れたゲストをファン化させるのは、TDRの非日常的な空間デザインやアトラクションデザインそのものというよりは、キャストのオペレーションであり、ある意味でキャストのオペレーションがゲストをファン化させているのではないかと考えます。

実は、私は 東京ディズニーランド(TDL)でキャストとして勤務した経験があるのですが、実際、TDRにおいてはキャストの行動基準が明示されており、その行動基準は全てUXに結びつくものです。

さらにいえば、その行動基準には優先順位まで設定されており、そのような明確な行動基準があるからこそ、各キャストは現場で自ら考え判断しながらUXレベルの高いサービスを提供しているのです。

既述の通り、エアークローゼット社の取り組みにおいても、全社員がUXを常に意識しながら業務が遂行できるよう行動基準が明示され、それに則り全社員が業務を遂行しているとのことですが、こうしたTDRと同様の取り組みがあるからこそ、UXレベルの高いプロダクトやサービスが提供できているのだと考えられます。

これらのことから、業種やプロダクト、サービスの内容に関わらず、UXレベルの高いプロダクトやサービスを提供するためには常に全社員がUXを意識できるような組織作り、体制作りが不可欠であることを理解できるでしょう。

まさに、デザインやシステム、テクニック、技術や手法の前に「人」こそが重要なのです。

改めてPinterestにおけるUXについて考える

Pixabay

次に、現在、Pinterestの運用に関わる仕事をしている身として、PinterestにおけるUXについて改めて考察してみたいと思います。

まず、Pinterestは『新しいアイデアとの出会い』を提供するという点で、そもそもUXレベルの高いツールであるといえるため、自社プロダクトやサービスのUXレベルを高める、あるいは、改善する上でPinterestを有効活用することは極めて重要であると私は考えます。

実際、Pinterestのユーザーは何か新しいアクションを起こす時、そのアイデアやヒントを得るためにPinterestを活用することが多いといわれています。

したがって、そのような新しいアクションやチャレンジを後押しするアイデアやヒントとして自社プロダクトやサービスをユーザーに届けるという視点に立ち運用することがPinterestをビジネスで活用する上で重要になるのではないでしょうか。

Pinterestでアイデアやヒントと出会ったユーザーが、それを足がかりに実行動に移り成功体験や良好な体験を経験する・・・

それにより、そのアイデアやヒントの元となる(あるいは、そのアイデアやヒントの先にある)プロダクトやサービス、企業に対して好感を抱き、ファンとなるのではないかと考えられます。

Pinterestを自社プロダクトやサービス、自社サイトへと誘導する入り口として捉えるのではなく、ユーザーとの「エモーショナルタイ」を築きあげるためのツールとして活用することこそが、Pinterestの効果的な活用方法であるといえるかもしれません。

具体的にいえば、Pinterestの「アイデアピン」はユーザーの新しいアクションやチャレンジを後押しするUXレベルの高い「ピン」として機能するであるといえるため、ユーザーの求める内容を網羅することで有効に機能するといえるでしょう。

また、「リッチピン」を含む通常の「ピン」においても、自社プロダクトやサービス、サイトへの単なる導線として使うのではなく、ユーザーが満足できるアイデアやヒントを網羅した内容の「ピン」を作成することでUXレベルの高い「ピン」として機能するものといえるでしょう。

こうした運用の積み重ねが自社プロダクトやサービスのファン獲得に結びつくのではないかと私は考えています。

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