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2023年浦和レッズGK陣全プレー集を作ってみて



1素材集め


2021年の12月。GKの失点を分析すればGKの育成の役に立つのではないか、と突如思い立ってJ1リーグの全ゴール分析を行いました。
それから1年後、2022年の12月。「去年もやったから今年もやるでしょ」という一部の指導者仲間からの強烈なプレッシャーに負け、同じく全ゴール分析をし、過年度比較をすることでサッカーの大まかなゴールの入り方はわかりました。それと同時に、ジョアンメソッドの基準でになにをGKたちができてないのか、何をしてしまっているのか、どんなエラーやミスが起きてるのか、正しくプレーしたらどうなったのか、などすごく良い勉強になりました。そして迎えた2023年2月某日。もはや何をみていたのかすら忘れたレベルでDAZNの番組を見てる時、不意に画面録画をしたくなって、「command+shift+5」を同時押しすると画面録画に成功。その時に「今シーズンは浦和レッズの全試合、すなわち全プレーを画面録画して12月にまとめ動画を作ろう」という年末の過ごし方が決まりました。そこから、時間を見つけてはレッズの試合をDAZNで画面録画し、それをiMovieで微調整して、「せっかくやるならルヴァンカップも」とスカパーも契約し、気づけばCWCも含めて58本(58試合分)の切り抜き動画、総時間にして8時間50分超分の録画の山が出来上がってました。
ただ、最初は「浦和のGKが画角に入ったら全部切り取ってやる」というところから始まりましたがシーズンが進むにつれて「ここにいるんでしょどうせ」がわかってきたので何事も起きなかった時の録画はサボっていました。それがあったら10時間は確実に超えたと思います。

2素材のまとめ


さて、その9時間弱の動画を「プレーごとに分類するぞ!」と意気揚々一本のタイムラインに載せたところで気づきました。
「あれ、、、これ試合ごとに映像固まってるからもう一度カットわけしないとダメじゃね?」
「いや、気づくの遅い!wアホなんか?w」
と自分でツッコミを入れざるを得ず、9時間分を再生して、カットに合わせて分割処理を行い、ついでに余分な部分を切り落とし、なんとか8時間まで縮めることができました。
さて、ここで準備が整ったので計画性を持ってやればよかったんですけど、そんなことせずに猪突無心した結果、この8時間のタイムラインを20回以上も通しで見ることになってしまいました。本来、ここからの作業は少しずつ階層を下げながら動画を作成しつつ素材を減らしていくことで効率的に進めることができたはずなんですよ。例えるなら、何かをこしたり振るったりする時にザルや網の目を大きいところから少しずつ小さくしていくみたいな感じですね。それをアホな自分は「今シーズンの浦和のGKといえば西川も彩艶も牲川もクロスボールの処理が素晴らしかったからまずクロスを集めよう」となってしまったんですわ。やりながら「やっぱこっち先にすればよかった」とか「この分類のほうがいいわ」とか思いながら幾度となくタイムラインを行ったり来たりしてました。
全てを終えての正解手順はこんな感じかなと思います。
・ 全ての試合の動画を1つのタイムライン(以下TL)にのせ原本を作る
・原本をワンカットずつに切り分ける
・原本を攻撃と守備に分けそれぞれの原本TLを作る

・攻撃原本を流れとセットプレーに分けるそれぞれのTLを作る
・セットプレーTLをFKとGKに並べ換える=①
・流れのTLからパントキックだけを抜き出す=②
・パントキックがなくなった流れのTLをキックの距離(長中短)に並べ換える=③
( 攻撃タイムライン処理完了)

・守備原本を複製してセットプレイ以外を消す
・セットプレイTLをFK、CK、PK、スローインに並べ換える=④
・守備原本を複製してからシュートを打たれたシーンだけを抜き出す
・被シュートTLを複製して正面キャッチ(と正面の弾くプレー)以外のカットを消す
・正面キャッチTLをzone1、zone2、zone3、弾くプレーに並べ換える=⑤
・被シュートを1v1A、B、C、セービング、それ以外に並べ換える=⑥
・守備原本を複製し1v1Bとマイナスクロス以外のカットを消す
・1v1B、マイナスクロスTLを並び替える=⑦
・守備原本を複製しクロスボールが上がった以外のシーンを消す
・クロスTLをキャッチ、パンチング両手に並べ換える=⑧
・守備原本を複製しアクションが単発なものだけを抜き出す
・WアクションTLを1stアクションごと(シュートストップ同方向シュートストップ逆方向、クロスボール、その他)に並べ換える=⑨
(守備タイムライン処理完了)

これで攻守合計9本の動画ができます。もう少し細かく分けたければ①〜⑨のビデオを書き出す前にさらに複製していらんところを消せばいいと思います。
今年の自分はあと何本かマニアックな動画を作りましたが、今後大いに活用することが予想されます。
注意事項
・複数の項目に関わるものは当然あります
・結局攻撃原本と守備原本には何度も戻ってきます。
・でもその非効率(何度も同じプレイを見返すこと)が自分の中の理解度を高めることは間違いないす。
・何のために分けるかが大事。自分は選手と自分が見たい時にすぐ見れるように整理しました。

3 まとめてみて気づいたこと


テレビのスイッチャーがいかにGKのことを軽視しているか、というよりも視聴者がボールがない時のGKに興味を持っていないのかが映像を作っててすごくよくわかりました。「あと0.5秒待ってくれよ」「あとちょっとだけ画角広げてくれよ」と思ったのは数知れず。まぁ、マイノリティだから仕方ないんすけど。。。
 さて、おそらく2023シーズンは多くの日本人が浦和レッズのGKの切り抜き動画やまとめ動画作成をしたことだと思います。自分も浦和の試合をたくさんみましたが実は別のチームのサポーターでして、ジョアンメソッドで取り組んでるGKを見るというのが今シーズン浦和、というかもはや浦和GK陣を追いかけた理由です。(正直今だに顔と背番号と名前は一致してないし、大原の練習見学行っても酒井と興梠とショルツくらいしかわからん、、、)だからこそ、敵として戦うと浦和のGKがどれほど素晴らしいのかがよくわかります。西川が埼スタのホーム側のゴール前でヤンマテウスのクロスを遮断したやつとか、マジで一瞬何が起きたのか理解ができなかったすからね。「なんでそんなところにGKが出てこれるんだ!」って。

3−1 西川周作の凄さ(ポジショニング=off the boal)


 そうやって1年間追っかけるとやっぱ西川の異次元さに気づくわけですよ。単発でみても何も思わないけど、継続してみてると明らかに他のチームのGKと違う。もちろん、メソッドが違うから違うのは当たり前なんだけど。あからさまに立ち位置が違う。もっというと、彩艶や牲川とも違うんですよ。いや、彩艶も牲川もおそらく大原で仕込まれている吉田もとても良いGKなんですけど、彼は明らかに未来が見えているというか、次にどうなるかがわかってなければ立てない場所に立ってるんですよ。これはハイライトでは絶対にわからない。2023年の西川周作といえばクロスボールの処理の範囲と質が爆上がりしたというのは世界中の人が知っていると思います。もちろんクロスボールそのものに対するプレーの改善向上もありますが、一番大きかったのは一番広くスペースを閉じれる場所に立てていることだと自分は思います。
 というか、生で見るとよりすごさを感じるのは、立ってるだけでスペース支配してるんすよあの人。「そこ立たれたらボール入れられない」って思わせるところにいるんすよ。「いいGKはスーパーセーブをしない」と言いますが、「いいGKは立ってるだけ」と思うレベルです。
 で、何よりも周作さんの一番すごい点は「バランス失った状態でボールを受けることがほぼ皆無」ということですね。リポジションしてから止まる能力、タイミング、構えを作るまでの質が異様に高い。間に合わなければずらす。(「ポジショニングの基準はボールと両ポストの二等分線」と本気で言っている人には絶対にわからないやつ🎣。)「off the boal」でいい準備ができているからこそ「on the boal」で高い質の技術を発揮することができるんだと確信させられました。いつか奇跡的にでも話せる機会があれば直接聞いてみたいですね。

3−2(FC東京時代の)林彰洋との比較


 (前提として、年齢も違えば前を守っている守備陣も違いますので、安易に比較してどっちが上ということはないです。何より2人とも最高のGKです。)
 ジョアンが浦和に行く前、自分のプレーモデルはFC東京時代の林彰洋でした。もちろん、彼も日本で3本の指に入るGKだと思ってますし、仙台に移籍してからもめちゃ応援してます。ただ、当時は自分が試合を画面録画するすべを持ってなく、というよりもそもそもジョアンと出会ったのがジョアンがFC東京を退団した後だったので、YouTubeに残っているハイライトを切り抜きするのが限界でした。なので正直自分は、「ハイライトに残らない素晴らしいプレー」という点で彼の素晴らしさを語ることはできません。その中で自分が林彰洋の強みを考えると「セービングの姿勢」「リカバリー(=起き上がり)のスムーズさ」「1v1Bのパワー」の3つです。特に起き上がりのスムーズさは195cm/91kgある人間の動きじゃないんですよ。マジでボール触った次の瞬間には立ち上がったり、もはや立ち上がることなく次のアクションに移行するあの速さはそれだけでご飯3杯いける素晴らしさです。林彰洋の「前腕力」は本当に素晴らしいんですよ。「いや、なんでそれで次行けるの?」というシーンもたくさんあります。です。 

 で、林彰洋と西川を比較した時、あからさまに西川がシュートを止めた後素早く起きなければいけないシーンが少ないんですよね。弾く技術が高いというのもありますし、そもそも浦和のDFが素晴らしく「そんなん無理やん」という状況で打たれたシュートが少ないというのもあると思います。当然西川の起き上がりが遅いわけではないです。間違いなく日本、いや、世界でもトップクラスにスムーズです。でもそれを発揮しなければならないシーンがとても少ない。もちろん弾いたボールを詰められた失点も少ない(ACL決勝Aアルヒラル、H広島、A浦項、Aハノイ、CWCマンチェスターシティ、CWCアルヒラルの6点のみ:ろこ調べ)

4まとめ


 とは言いつつ、西川はじめ浦和のGK陣は終わりのないGK道を歩んでいます、まだまだ発展途上。もちろん移籍した鈴木彩艶も同じく発展途上です。で、キャンプで番記者のくせにGK練習しか見てないと一部界隈から疑いをかけられているジェイさんこと沖永さんの言葉は以下の通りです。

2024シーズンも(天皇杯がないのが残念で仕方ないのだが、)3人のGKたちが素晴らしいプレーを見せてくれると思います!そして、それを追いかけてくれるGK関係者、サッカー指導者が1人でも増えてくれることを願っています!

5余談(画面録画の秘密)


で、今回、本当に色々な人から「DAZN画面録画なんでできるんですか?」という質問をラインやらメッセンジャーやらDMやらでたくさん頂いたんですが、本当にわからないんですよね。パソコン機器やプログラミングに明るいわけでもなく本当にただの一般人なので自分でもなぜできるのか本当に謎です。強いて言えば、数年前に深夜にレポート作成をしている時にしじみの味噌汁をこぼしたことくらいですかね笑 本当にそれくらいしか思い当たることがないです。奇跡のMacBookを与えてくださったapple社に感謝?です。

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