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#18 リクエストフォームへのご回答 #2

皆さんこんにちは。
この記事では、前回に引き続きリクエストフォームにていただいていたご質問に対するご回答をまとめて行っていきます。

今回をもって、現時点でいただいているご質問には一通りご回答した形となります(おすすめのツールに関してもご質問いただいていますが、いつか記事を書ければと思っていた内容なので次回改めてご紹介します)。また何かお聞きしたいことがありましたら、引き続きリクエストフォームをご活用ください。


国内大学医学部 バカロレア入試 vs 一般入試

国内大学医学部志望の場合、バカロレア入試は若干名の募集で、スコアも高得点が要求されています。一般入試と比べて競争率は下がる気もしますが、バカロレア入試と一般入試ではどちらがより受かりやすいと感じますか?

結論から申し上げると、個人的な見解ではバカロレア入試は「ハイリスク・ハイリターン」です。以下に私の考えを色々な側面から書いていきますが、話が行き来してしまいやや読みづらいかもしれないので、何か追加で質問等がありましたら遠慮なく聞いてください

国内大学医学部のバカロレア入試に関しては、刻一刻と状況が変化しているため既に私が受験した頃とは異なっている点も少なくないです。そのため、お子さんの学年によっては受験する頃の状況が今と全く異なることも考えられます。このような背景から、バカロレア入試は情報戦の側面も大きいと考えられるので、一つ言えるのは受験を検討し始めた時から出願時まで情報収集を継続しておくべきだということです。特にバカロレア入試と一般入試との間で迷われている場合、高校進学時点では方針を固めていなければ厳しいので、中学生の間から動向を把握する必要があります。

私が中学生だった頃は今以上にバカロレア入試の定員が少なく、多くの大学での募集人数は「若干名」でした。これはつまり「毎年バカロレア入試では〇人とる」のではなく、「合格させたい人が来ればとる」という意味なので、そもそも合格者を出してくれる確証を持てない状況です。医学部の定員はあらかじめ大学ごとに決まっているため、バカロレア入試で合格をつかむためには他の入試形態(一般・推薦入試など)の合格者数を1人削ってでも合格させたい、と思われる必要があるので、「若干名」のハードルはかなり高いです。通常、受験は志願者の中で評価が高い人から順に合格を手にしていくため、戦う相手は周りの受験生ということになりますが、バカロレア入試の場合は各志願者が大学から与えられた試練に挑み、それを突破できた人のみが合格を手にする、というイメージです。そのため、単純に倍率ではバカロレア入試の受かりやすさを判断できないという点にはご注意ください。

今まで定員を「若干名」としていた大学が「〇人」という形で募集枠を設けたり、新たにバカロレア入試を導入する大学が増えたりすることで、バカロレア入試の枠自体は年々増えていっています。その一方で、日本国内のバカロレア校も増えているため、バカロレア入試の志願者数も年々増えていっています。定員が設けられている大学でも毎年その人数ぴったりの合格者を出すとは限りませんが、ここ数年は倍率で考えると他の入試形態と大きな乖離はないことが多く、「若干名」の頃に比べると確かに「競争」という要素が強くなっています。大学ごとに入試の内容は異なりますが、書類と面接によって選抜が行われる場合は高いIBスコアを持っている人に有利(なはず)です。私たちの代はコロナ禍の影響でIBスコアの相場が高くなっていたのですが、通常であれば40点以上というスコアを持っている人なら比較的有利にバカロレア入試を戦えるのでは、という印象です。

IBスコアに関しては、出願時の条件として「〇〇点以上」という足切りを設けている大学も多いです。私立大学の場合は30点台半ばでチャンスをつかめたりするのですが、国公立大学の場合は基本的に30点台後半~40点台を要求されるため、まずこれを突破することが関門となります。高得点が要求される大学に出願できている時点でその志願者らは高いIBスコア(見込みの場合もありますが)を持っているので、人数は少なくても周りにいるのが強者ばかりということになります。この点も考慮すると、志願者が少ないからと言って、競争率の低さには結びつかないことが分かります。

ここまで書いてきた内容だと「バカロレア入試は受かりづらい」という印象を与えてしまうかもしれませんが、バカロレア入試にはチャンスが多いという特徴があります。一般入試の前期・後期とは異なり、バカロレア入試は各大学が独自の日程で行うことに加え、他の入試形態との併願も可能なので、単純に出願できる数は増えます。もちろん、だからと言って確率論的に合格の可能性が高くなるわけではありませんが(同一人物が複数の大学の枠をもぎ取っていってしまう可能性もあるので…)、仮にうまくいかなかった場合でも別のチャンスで挽回することができる、という点ではリスクヘッジになります。しかし、純粋に筆記試験の点数が合否を左右する一般入試に比べると評価基準を把握することが難しく、「なぜか不合格になってしまった」というケースも多々あります。このような点を総合的に考慮した結果たどり着いたのが、冒頭で触れた「ハイリスク」ではあるという結論です。

バカロレア入試と一般入試では「受かりやすさ」のベクトルが違っており、単純に比較するのは難しいですし、どちらのほうが合っているかは人それぞれだと思います。あくまで個人の主観ですが、バカロレア入試は効率的に準備することで受験に多大の時間と労力をつぎ込むことなく合格を手にできる可能性もある一方で、想定外の不合格をもらう可能性もあるものだと思っています。それに対して、一般入試のほうが努力が明確に反映される傾向にあるのではないでしょうか?一般入試で合格を手にするためには多大の時間と労力をつぎ込んで勉強に励む必要があり、その代償として課外活動に力を入れられなくなってしまうことが挙げられますが、バカロレア入試の場合は課外活動も継続しつつ、充実した高校生活を送りながら合格を手にすることも可能です。また、バカロレア入試においては共通テストを課さない大学も多く、早ければ年内に受験を終えることもできるというのも精神衛生上とても大きなメリットです。これらの点を鑑みて、バカロレア入試は「ハイリターン」ではないか、という冒頭の結論に達しました。

先ほども触れたように、ハイスコアを取れるのであればバカロレア入試は優位に進めることができます。ただ、IBスコアが伸び悩んだ結果浪人せざるを得なくなってしまった場合、IB Final の retake によってスコアを上げるのも難しい一方で、その時点から一般受験に切り替えて勉強するというのも困難です。自分がもし今もう一度受験をするとしたらどちらを選択するか、と聞かれた場合にはバカロレア入試と答えますが、個々人のIBとの相性その時のバカロレア入試の状況にもよるので、ご紹介した内容を参考に時間をかけて考えてみてください!

友人・先生との関係について

IBや受験で成功するためには、他の人と協力することが必要不可欠になってきます。例えば、CASや課外活動では複数人で取り組むプロジェクトも求められますし、IAなどの添削には先生の力が欠かせません。特にIBの性質上、決してスコアが校内(や国内外)の順位によって左右されるわけではないため、IB生同士は敵ではなく、共に歩む仲間ということになります。そのうえ、同じ科目選択の生徒は全員が同じ課題や試験に挑むことになるため、むしろお互いに助け合いながらハイスコアを目指していくことが理想的な形となります。また、先生の助けは特に文系科目やTOK/EEで重要になってきます。Essay の書き方やテクストの解釈、与えられた問いに対するアプローチなどは独学で身につけることが難しく、先生に添削をお願いしたりディスカッションに乗ってもらったりするのが最も効果的な方法だと思います。そのためにも、普段から気軽に会話できるような関係を築けていれば必要な時に躊躇することなく先生に声を掛けられるはずです。これはIBに限った話ではなく、受験に関しても同じことが言えるので、普段から友人や先生とのかかわりを大切にし、必要な時には早めに積極的に助けを求めましょう。

ルーティーン

私自身、これといったルーティーンを確立できないまま気が付いたらIB生としての2年間が終わってしまっていたため、残念ながらご参考になるアドバイスはできません。その代わりにというのもなんですが、私自身の経験を以下にご紹介するので、自分に合うか試してみるのも良いですし、反面教師にしていただいても構わないので、よろしければご参考にしてください。

作業時間は主に夜(たまに朝)

IB生時代、課題や課外活動に充てる作業時間は主に夜、食事等を済ませた後に確保していました。しかし、すぐに就寝して朝早い時間から活動を開始していたこともあったので、生活は決して規則的とは言えませんでした。振り返ってみると、IB関連の課題や学習に加えて課外活動(CASとして登録していなかったものも含む)に割く時間も確保するのがタイムマネジメントを難しくしていた要因だったので、自分のキャパに応じてうまく調整することで時間に追われ過ぎることなくIBを乗り切れると思います。

休日に一気に進捗を稼ぐ

IBではIAやEEのように規模の大きな課題をいくつか課されますが、個人的にはこれらに毎日少しずつコツコツ取り組むより、休日などにまとめて一気に進めてしまうほうが合っている気がしました。例えば、Chemistry IA は冬休み中の数日間で仕上げてましたし、Math IA に至ってはGW中のたった2日程で Draft を書き切ってしまいました。もちろん、構想を練る段階には時間をかけていましたし、小分けに分割して完成を目指す方法も決して悪くないと思いますが、何度も中断・再開を繰り返すとその都度進捗を軌道に乗せ直すのに労力が必要だと感じていたため、やると決めたらとことんやる方針を採用ました。

日常生活の合間に「考える」

これは個人的に強く推したいのですが、日常生活における何気ない「合間」に「考える」という行為を組み込むと非常に効率的です。この「合間」とは歩いている時や食事中、歯磨き中、入浴中、就寝前など何か作業をするのは難しい一方で特段頭を使わなければならないわけではない時間を指します。また、「考える」というのはTOKの問いに対する回答であったり、IAやEEのトピックであったり、ひらめくまで時間がかかる一方で机に向かったところで先に進めるわけではない場合を指します。例えばいざ TOK Essay を書こうと思っても、アウトラインが完成していないと着手するのは難しいですし、かといって机に向かい続けて必死に argument の方針を検討するのも時間を無駄にしてしまっている感覚に陥ってしまいます。このような事態を回避するためにも、普段から隙さえあれば「考える」という癖を付けておくと限られた時間を最大限に活用できます。

IB序盤はひたすら本読み

Language & Literature A では文学テクストを4冊(あるいはそれ以上)分析することになり、授業はディスカッション形式で進められていたため、特に11年生の初めの頃はそれに間に合うようにひたすら本を読み進めていく必要がありました。追いつかなくなってしまうと授業の意味合いが薄れてしまうので、まだ時間に余裕のあるIB序盤の間にできるだけ文学テクストの予習に取り組むことをおすすめします。

IB終盤はひたすら past paper 演習

特に理系科目、とりわけ Math AA に関しては Mock から Final にかけてとにかく past paper(や practice paper)を解きました。授業中は先生が準備してくださったものに取り組み、授業外でもそれを続けたり自分で用意したものを解いたりしていたので、最終的には一冊のファイルに入るかどうかくらいの量をこなしていました。時には Math の授業が2時間あったうえで自習時間にも Math に取り組み、放課後や帰宅後もそれを継続した結果、気付いたら数時間単位で Math の past paper に向き合っていたこともありました。結果的に理系科目では全て7を取り、Math AA に至っては想定外にも Paper 1 および Paper 3 で満点を獲得してしまったので、この past paper 三昧の生活は思っていた以上に効果的だったようです。

自習時間には期待し過ぎない

私たちがIB生だった頃には毎週3時間分の自習時間が確保されていたのですが、正直この時間は課題や学習を進めるための時間にあまり加味していませんでした。もちろん、この時間があったおかげで期限が迫っていた課題を進められた助かったこともありましたが、前の授業の内容を整理したりこれからやるべきことを洗い出したりしている間に気付いたら1時間が過ぎようとしている、ということが多かったです。そのため、私はこの時間をあくまで To-Do を整理する時間であって、大きな進捗を生み出す時間とは異なる、と捉えていました。

通学中にMCQ

私は普段、バスで登下校していたのですが、past paper 三昧だった頃にはその車中でMCQ(multiple choice question)に取り組んでいました。移動中に記述や計算機が必要な問題を解くのは難しいですが、MCQなら選択肢に印をつけるだけで回答できるので、バスに乗りながら勉強するにはピッタリです。普段の朝、バスに乗っている時間は20分弱とかなり短かったのですが、Chemistry の Paper 1 をひたすら解いた結果、問題のパターンを把握してしまい、大方 Paper 1(制限時間60分)を解き切ることができるようになってしまいました。

以上、繰り返しになりますがご紹介した内容を全て真似するべきだと捉えるのではなく、試してみる価値がありそうだと感じたものだけで全く問題ないのでご参考にしてくださると嬉しいです。

リクエストを送るには?

ここまで読んでくださりありがとうございます!
皆さんのコメントはとても励みになるので、ぜひ積極的に残していってください!
毎度のことですが、何か聞きたいことがある方はこちらの Google Form から匿名で送信いただけます。質問内容は受験やTOK/CAS/EE、IA/IO、定期テスト/Mock/Final についてでも、純粋に教科の内容でもOKです。お時間をいただく場合もありますが、皆さんが知りたい内容は積極的に記事にしていきたいと思うので、よろしくお願いします。

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