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「一生懸命頑張ります!」という女がオーディションで落ちるわけ

「私は車が大好きなので、車に携わる仕事に憧れていました。一生懸命頑張ります!」
例えば車のキャンペーンガールのオーディションで、こういった自己PRをする人がとても多いです。このフレーズをきくと、口こそには出しませんが、内心こき下ろしています。もはやこれは、自己PRでも何でもありません。
車が好きだから、車に携わる仕事がしたいだなんて単純すぎやしませんか?
誰だって好きなことに携わる仕事がしたいでしょう。そして「一生懸命頑張ります!」のは当然すぎ。仕事で頑張るのは言うまでもないことです。


「車好きを伝えるワンランク上の方法」

「車が好き」ということを伝えたいのならば、「車が好き」なあなたのライフスタイルを想像させ、「いいな」と感じさせることが必要です。「車が好き」とそのまま言葉にすることは、絶対にだめ。そんなことを言われれば、私のような、相手のあらを探すタイプの面接官に、「こいつめ、媚びやがって」と思われてしまいます。そしてオーディションであなたたちが使う「私は○○が大好きで」は、たいていみんな嘘だってことを、こちらは既によく知っています。それでも「車好き」をPRしたいなら、こんなふうに言いってみるのはどうですか。「休みの日には、よく車の運転をします。先週の日曜日は、父を助手席に、淡路島一周のドライブをしました。」このエピソードだと「車が好き」ということも伝わるし、「父を乗せて」というキーワードが、娘とのドライブを想像させて、娘がいるお年頃の面接官には、強く心に響くでしょう。オーディション上級者になると「ミッションの車で淡路島を一周しました。」と言ってしまえば、「車が好き」のレベルもワンランク上がります。


「女子力を伝えるワンランク上の方法」

オーディションでよく耳にするセリフをもう一つあげると、「私はお菓子作りが大好きです」というフレーズです。これはいったい何をPRしたいのでしょうか?おそらく、「かわいらしさ」や「しとやかさ」でしょう。なぜならば、「かわいらしさ」や「しとやかさ」と反対のイメージがある、バリバリの体育会系の女性が、「お菓子作りが大好き」だったり、ましてや上手だったりすると、「意外性がある」なんて言われます。男性のパテシエも沢山いて平成も終わろうとするこの時代でも未だ「お菓子作りが大好き」はかわいらしい、しとやかな女性につながる根が深いイメージが強くあります。だからこそ、しつこいですが、私はこの「お菓子作りが大好きです」と言う人に忌々しくさえ感じます。「何を今かわいらしさ、しとやかさのPRをしとるのだ」と思うからです。「お菓子作りが大好き」と言いたいのであれば、こんなふうに言ってみるのはどうですか。「子供の頃から、クリスマスや家族の誕生日には、母と一緒に大きなデコレーションケーキを焼きます」
こうすれば、お菓子作りが好きな可愛いあなたのPRに加えて、仲の良い家族と幸せに上品に暮らす、本当の女子力を感じてもらえます。

「これから一生懸命頑張る宣言より、本当に頑張ってみた宣言を!」

「一生懸命頑張ります」など社会人として当り前のことを言いたいならば、こんなふうに言ってみるのはどうですか。「キャンペーンガールとしてPRする商品について、歴代の商品名とスペックをすべて覚えてきました!」
「このオーディションにむけてトレーニングし、お腹が縦に割れました!」
そう、オーディションを受ける前に本当に頑張って、そこをアピールするのです。無駄な努力家もしれませんが、このオーディションのために時間を使って取り組んだことが確実に相手に伝わるでしょう。あわよくば誠実さや真面目ささえもPR出来るかもしれません。そして無駄なことゆえに、一生懸命の他に健気さすら感じてもらえるかもしれません。言葉で「一生懸命頑張ります」というのであれば、こちらの方がずっと有効だと思います。

人間が人間を選ぶことは、本当にいい加減なこと。学校の入試のように、点数で順位をつけることは出来ないので、好感度が高いとか、イメージがぴったりというのは、誰かがただそんな風に感じただけのことなのです。
オーディションでは、伝えたいことを直接的な言葉で言うのではなく、伝えたい言葉を感じさせる、あなたのライフスタイルを相手に想像させ「いいな」と感じさせるのです。その「いいな」と思われるあなたのライフスタイルが、商品イメージにあっていると、高得点を得られることは間違いなし。そして、仕事に誠実で、一生懸命とり組む姿勢を感じてもらえれば、「一緒に仕事をしたい」、「この人に任せたら安心だ」と思われます。
「一生懸命頑張ります!」と言うのではなく「この子なら一生懸命頑張ってくれるな」と思わせるのです。

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