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13歳で痴漢にあった話ー「82年生まれ、キム・ジヨン」をみて

 「82年生まれ、キムジヨン」の映画をみた。以前に本を読んだことがあったが、映画をみて、より共感できた。なんだか泣いてしまった。声を上げることが大切だということがメッセージだったので、私も今までにされたことについて書いてみようと思った。

13歳、痴漢に遭遇する

 初めて痴漢にあったのは、13歳の時だった。都内の女子校へ電車で通っていたが、朝の通勤列車でスカートの上からお尻を触られた。後ろを振り向くと、スーツ姿の男性がならんでいて、誰がやったのか特定できなかった。勘違いかと思ったが、もう一度触られたので、痴漢だと確認した。ず犯人の可能性のある男性を複数人をずっと睨んでいたら、触られなくなった。

 それ以降、特に制服を来ているときに、度々痴漢に遭遇した。駅ですれ違いざまに、お尻をぺろーんと触ってくる人、地元で本屋で雑誌の立ち読みをしていると、スカートの中に手を入れて、走り去っていく人もいた。犯行はいつも一瞬で、一貫性もなく、捕まえようとしても人混みに直ぐ紛れてしまい、簡単には犯人の特定ができなかった。

盗撮、露出狂、いろんな痴漢に出会う

 接触される痴漢以外にも、たくさんの痴漢にあった。駅の乗り換えかえ時にすれちがいざまに「おち●ちん」と呟いてくる人もいた。振り返ると、前歯のない60歳ぐらいの男性が私のほうを10メール先からニヤニヤと見てきた。別の場所で2度同じことが起きたので、これ以降は、一人で行動するときは必ずヘッドホンをするようになった。これは今でもそうしている。 
  また原宿に友人と遊びに行った時に、ミニスカートを履いていったのだが、でかいビデオカメラで盗撮されてた(すぐ逃げた)ことがあったし、電車の中でわざとスポーツ新聞で裸の女性がデカデカと掲載されている欄をこちらに見せつけてきて、反応をニヤニヤと見られたり、午後の空いている電車でわざわざ隣に座ってきて、体を寄せるようにくっついてくる人もいた。犯罪ではないけれど、こうゆう嫌がらせみたいなものは日常茶飯事だった。

 一番怖かったのは、いつもは使用しない地元の駅のエレベータを使用した時に、若い男性と2人きりになったことだった。少し警戒して、エレベーターの中まで入らず、ドアの前に立っていた。エレベーターが閉まると、ドアのガラスに反射して見え後ろにいる男性の距離感が近いことがわかり、振り返えると、制服のスカートの下に携帯電話をいれられて盗撮(動画)されいた。これには勇気をだして「やめてください」といったけど、撮影をやめずに次は顔にカメラを向けはじめた。私は腕で顔を隠したときに、エレベーターのドアが開いて、男は走って逃げていった。

登校時を狙う変態

 学校のまわりにも時折、変態が出現してきた。朝、私たちが学校に向かっていると、私たちと同じ制服をきたおじさんが前方から歩いてきた。女装というよりかは、ただおじさんが制服を着ている感じだった。私たちが登校する時間を見計らって、ぼほ毎日出現していたことがあった。彼は制服を見せつけるように歩くだけで、特に被害はなかったが、生徒の中では話題になった。
 一番ショックだったのは、下校時間狙って出没した露出狂だ。下校時に使用する、一部道幅が1メートルほど少し入りくんだ道があるのだが、そこで下半身を露出し下校時の私たちに向かって自慰行為を見せつけてきた男性がいたことだった。
 この学校の周りに出没する変態については、学校も認識していたが、遠回りとなる別の大通りの道を通りように促すだけだった。問題がおきると一旦は変態はいなくなるのだが、また別の変態が出現するということが繰り返された。

容姿は関係ない

 痴漢にあったのはもちろん私だけではない。容姿にまったく関係なく、クラスメイトのほとんどがこのような被害にあっていた。 私も舐められないように、髪を短くショートカットにしたけれど、まったく効果なかった。学校では、「今日痴漢にあった、最悪」いう会話が、日常的に話されていた。
 私はまだ被害が少ない方だった。家が遠方で長い時間、通勤電車に乗らなければならない子はもっと大変そうだった。一番ひどかったのは、精液をスカートにかけられた子だった。朝のクラスルームの時間に、被害にあった女の子がスカートを持って先生に報告していて、体操服で授業をうけること許可をもらっていた。これにはクラスメイト全員が絶句していた。

なぜ訴えなかったのか

 上記のように被害にたびたびあってきたけれど、結局同級生と話を共有しただけで、親や先生に報告したことはなかった。ましては警察や駅員さんには一度も報告していない。
 訴えなかった理由としては、加害者が特定できないことだった。被害にあったり、不自然な動きがあったら、すぐに電車を降りていたし、満員電車では、人に紛れてすぐに加害者が特定できなかった。
  流行っていた青年漫画やドラマで、よく女子高生が男性に痴漢容疑をかけて、お金を巻き上げる描写が多かった。また痴漢冤罪のことがよくメディアで取り上げられていて、女子高生が痴漢を告発する=お金儲けを企む不良学生のような図式があって、もし本当に痴漢をされ告発しても、免罪だと主張され、お金目当てだろうと逆に疑われるのではないかと不安だった。そもそも告発するのに、痴漢された相手の手を捕まえることも無理だった。

 女性専用車両についても、当時実施されているのはごくわずかの線だった。私が通学に利用してた電車に女性専用車両ができたのは、大学生になってからだったと思う。それに、ネットで女性占領車両に乗る女はブスばっかりだというバッシングが何度も見ていて、女性専用車両にのっている女=勘違いしている女だということを気にして、学生のときは使用する気になれなかった。(今は積極的に使用している)

ある日突然、痴漢されなくなった

 大学生になって、髪を茶色に染め、化粧をして、好きな服を着たら、途端に痴漢に遭遇しなくなった。(校則で化粧、染髪は禁止されていた)まわりの同級生も同じく、全く遭遇しなくなったと言っていた。通勤電車に乗らなくなったからとも考えたが、社会人になりまた朝の満員電車を使用しているが、学生ときに受けていた、痴漢や嫌がらせには一度もあっていない。

私が痴漢にあっていた理由

あれから時がたって今私が思うのは、私が痴漢にあっていたのは、地味な制服をきて、おとなしそうな容姿をしていたことだと思う。本屋で、東京の女子高生の制服について図鑑のようなものが置いてあった。どうみても、これから受験を考える女子学生が手に取るものではなく、性の対象として、女子学生を制服で識別するために作られているように感じた。
 ある日学校から持ち帰る荷物が多く、うっかり1つの鞄を電車に置き忘れてたことがあった。すぐに鞄はみつかったのだが、中にはいっていた体操服だけ引き抜かれていて、戻ってこなかった。
 このことを同級生にはなしたら、私たちの制服はどこか怪しい店で高値で売られているらしいと聞いた。同級生は、卒業したらお金に困ったら売ろうかなと冗談をいっていた。自分の名前が記載された体操服が、どこかに回っていると考えるとゾッとした。 このことから、私たちの学生服にはある特定の男性にとって特別な意味があるのだろうなぁと理解した。

隣のクラスの担任が痴漢で捕まった

さらに私を絶望させたのは、卒業して何年かしたあと、隣のクラスを担任していた教師が女子高生への痴漢で逮捕されたことだった。驚いたと同時に、こんなに世の中に変態がいるのだから、一人ぐらい先生として紛れ込んでもおかしくないなと思った。本当に気持ち悪いけど。女子校だったので、生徒たちは全く警戒しておらず、無防備に着替えとかしていたので、まぁ着替えぐらいは確実に見られてただろうなぁと思った。

シンガポールで痴漢で捕まる日本人男性

 シンガポール駐在していた日本人の男が、ショッピングモールで女子トイレに侵入し、若い女性の胸を無理矢理触ろうとして捕まったのだ。驚いたのは報道の大きさと、罪の重さだった。犯人の顔がニュースサイトに大きく掲載され、事件の様子が詳細に報じられていた。この男性は結局6週間の禁固刑になっていた。このニュースをみたときに、なぜかすごく救われた気持ちになった。 今まで私に嫌がらせをした人達は、この男のように、6週間禁固刑になり、ニュースが大きく報じられることによる社会的制裁をうけて当然の罪になのだということを、シンガポール政府が示してくれたことが、私の過去のこれらの経験を浄化してくれた。

私と同じ思いをしないために

 少しでも不安があるひとは女性専用車両に乗ってほしい。勘違い女だと思われたくないために、大学時代に利用していなかったが、これは間違っている認識で、積極的に自分のもしものことを考えて利用することに後ろめたさを感じなくていい。
  痴漢と検索して、アダルトサイトや痴漢免罪の話が多すぎて正しい情報に辿り着けない。被害にあった人があつまれるような検索しやすい新しい言葉があってもいいのかもしれない。
 痴漢の問題として、同じように問題になる免罪の問題については、男性専用車両も検討してもいいと思う。そもそも満員電車を早く解決してほしい。


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