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一点モノを所有する喜び

昨日、大阪の本町にてセレクトショップWalls&Bride主催のミタンの春夏展示会に行ってきた。

開催の4日ほどまえ、インスタのDMにてW&Bのオーナー森さんから、イベントのお誘いのメールをいただいた。

森さんとは、気づけばかれこれ7年くらいのお付き合い。

今は廃刊になってしまった関西のローカルオシャレ雑誌、カジカジでミタンを扱っているお店として紹介されてたので知って、それで訪れたのが初めてやったな。

ミタンは京都の衣類のブランドで「オシャレとしてではなく、日常的に使う道具としての衣服の提案」をテーマに、デザイナーの三谷さんが、日本や世界中の古くからある民族衣装を、現代人が着れる用にデザインして販売している、なんとも素敵なブランド。

化学製品を使わずに、草木や虫など自然界にあるものを使って染色していて、色合いがとても綺麗なのも。
ほとんどの商品が平面的なパターンやから、男女年齢問わず、様々なひとが似合うデザインなのも。

どれも良いんやけど、なによりも肌に優しい。

これが個人的に一番。

元々敏感肌で凄く肌が弱いから、化繊製品とかはめっぽうダメで(例えばユニクロのヒートテックとか繊維が肌に引っかかってめちゃくちゃ痒くなる)、歳重ねるほどに酷くなってるけど、そんなぼくでもストレスフリーで着れる。

扱ってるショップのひとたちも「素肌が喜ぶ洋服」とか「洗濯からあがってたら、真っ先に手に取っている服」とか、まあ、とにかく一度着たらわかる。

シャツやズボンなんか持ってて、気に入ってもう何年も着てるけど、使いこめば使いこむほどどんどん柔らかくなる。

で、そんなぼくの手持ちのなかにカディシャツという、インドのカディコットンと呼ばれる手織りの布で作られた、これまためちゃくちゃ柔らかいシャツがあり、ミタンでも人気のシャツがある。

これの「松煙染め」と呼ばれる、文字通り松の煤を使って染色した、灰色のような色のものを、6年くらい愛用している。

これ。正確にはこれは襟や前立て、袖をステッチで補強しているタイプ。そもそもカディコットンはとても繊細な生地で、破れやすいので、ランニングチェンジのような形で、現行のはこのタイプなのだ。でもぼくのはこれの前のなので、補強はない。


画像だと結構黒っぽい灰色やけど、6年も着倒して洗濯もしまくったから、だいぶ白っぽく色落ちした。

で、以前森さんから、ミタンは再染色のサービスもしてて、元のとは違う色にも可能。というのを思い出し、これはそろそろ再染色やな、と思った。

そんなことを昨年末に思っていたら、ちょうど京都の西陣にあるミタンの本社でオープンアトリエと呼ばれる、普段は一般解放されていない社内の一部が解放されて、直接ミタンで働いているひとたちと話せるイベントがあったので、これはと思って行ってきた。

外観がもうオシャレがすぎる。
めったにこんな機会ないからか、兵庫からわざわざきたとか、遠方から来られている方も多かった。さすが。

で、もちろんシャツも持参して、修繕担当の方に直接再染色の相談。

直前に、インスタのミタンアカウントで、凄い綺麗な緑色のシャツを見かけ、出来ればそれに出来ないかとお願い。

三谷さんに確認をとって、OKの返事をもらい、めちゃくちゃテンションがあがった。

詳しく聞くと「福木」と「琉球藍」の2色を使って、緑にしているそうな。

福木って聞いたことなかったけど、なんでも沖縄に自生している木で、これの枝から黄色に染められるそうな。

福木で染めたもの。綺麗。

これに琉球藍の藍色を足して、

沖縄で、デザイナーの三谷さんご自身が染色してくださり(これに限らず、ミタンの商品は三谷さんが自身で染色されることが多い)

無事染め上がったのが、これ。

おふぅ…っっっ!!!!!

思ったより緑!!!

先の画像にもあったように、薄くなったとはいえ、元が灰色系の色やったから、それと混ざったような色かなと思ってたけど、全然緑!!!

で、画像のとおり、第3ボタンらへんの前立ての生地の色ムラが結構すごいからと、修繕担当の方がステッチでぼかすことできますよ、と提案をいただいた。

この同じ緑色は用意出来ないから、シャツのイメージに合うようにと、紺色か水色で提案してもらい、写真を見て秒で水色を選択。

そして、ステッチ補正も加わったのが、これ。

直線的だと物足りないからジグザグにしてみました、と。そんな細かい心遣いも嬉しい。

最高of最高。
もちろん文句もなにもないので、これで返送をお願いし、こないだ無事帰ってきた。

光の当たり具合からか、こうして見ると元の松煙の灰色要素もちょっと感じられる。

そんなかっこいいシャツに仕上げてもらったお礼も直接言いたくて、展示会に行ってきた。

展示会はたくさんひとがいて、三谷さんも常に色んなお客さんに商品説明されてて、忙しそうにされてたけど、その合間をついて、お礼を言えた。

そしたら「もう一点物ですね!」と言ってもらえた。

その一言がすごい嬉しかった。

確かに、元の松煙染めのカディシャツは今も買えるけど、ぼくが6年間着てきて、それをこのタイミングで再染色して、しかもこのシャツのこの色では初めての色で、もちろん染めたときの色ムラもそのときどきやから、再現性も限りなくゼロ。

そういう諸々の条件を経てのこの仕上がり。

まさに、世界でぼくだけのシャツが出来あがった。

使えば使うほど、もちろん劣化はどんどんしていくけど、それすらもこうした形で、むしろ新品のとき以上の感動を得られる。

ミタンの衣服は、使いたおして修繕に出して、それがリペアされてからが、よりミタンの世界観を楽しめるな、と今回のことで確信。

そのあとも、展示会場ウロウロしてたら、やっぱりインラインには内珍しい色やから、他のお客さんからも話しかけられた。

今回の展示会で初めてミタンデビューした大学生と思しき男の子(大学生でミタンとかオシャレ偏差値高すぎやな)にも、こんこんとミタンの良さを語りたおした。

その後、シャツとズボン買ってた。
良いミタンライフを!

安く大量に売られている服たちも世の中に溢れてて、もちろんそれもひとつの選択肢としては、ありやとも思っているけど、どうせなら長く使い続けたい。

ミタンの服は決して安くはないけど、でも高くもない。
この値段でこの先何年何十年と着れて、破れたり色落ちしても、ちゃんと修繕などのケアもしてくれて、まさにすり切れるまで使える。

そういうことを思えば、むしろ安いくらいでもある。

ミタンデビューした男の子も、どちらかというと派手でエッジの効いたゴリゴリのデザインものが好きって話してて、ぼくもどちらかというとそういうのが好きやったけど、今も好きやけど、そういうの含めて、色んなタイプの服をとおると、ミタンにたどり着くみたい。

ともあれ、あれこれ長々と書いたけど、まずはミタンのホームページやインスタを見てほしい。
そこでミタンの世界に触れてみて。

あとは、ほぼ日でも詳しく紹介されてるのでこちらも。

これからも末永く、着まくって着倒して、生地がすり切れてもなんとか直して、そんな昔のひとたちが大事に着続けた、そんな服との向き合い方を教えてくれたブランド。

関西、特に大阪に住んでるひとは、大阪は南舟場にある大阪農林会館に入っている、Walls&Bridgeのオーナー森さんが、それはそれはミタンの良さを熱く語ってくれるので、ぜひ行ってみてほしい。


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