気付けば10年、同じゲーム実況者を追っている

突然で恐縮なんですが、週末って何されてますか?例の如く無闇に外出するのもあれなので、まぁ休日は暇を持て余している訳です。

語学学習を行ったり、積読本を消化したり。
そうした生産的な時間を過ごせればベターなんですけど、人間というのは弱いもので、ついYouTubeに手を出してしまうんですよねぇ。

脳みそほぼ止まった状態で、おすすめに上がっている動画をぽちぽちクリックして。
好きなゲーム実況者のプレイ動画や雑談動画をボケーッと流し見して。

そこでふと、気付いてしまったんです。

**10年前と同じゲーム実況者を見ている…! **


鬼のように暇だった大学時代。
当時寝る時間を削ってでも追いかけていたゲーム実況者を、社会に出た現在もなお見続けているという衝撃。

10年。
冷静になると恐ろしい数字です。

よくキャリアを考えるときに出てくる質問、「10年後、どんな自分になっていますか?」

夢に溢れた学生時代の僕は、10年後にどんな期待と想像を抱いていたでしょうか。

「10年後もまだ、あのゲーム実況者のダクソ配信を死んだ目で見てるぞ。」
…なんとまあ夢のない未来だ。親が泣く。

そう考えると、成長ってなに??という気になってきますね。

この10年の間に社会人になり、一応そこそこ頑張ってきました。
会議中に上司にブチ切れて机叩いたり、メンタルやられて会社行けなくなったり…。
色々苦労したり、回り道しながらも、自分なりに成長してきたつもりです。

それでも未だに口を半開きにしながら、
ゲーム実況動画に「www」なんてコメント打っているんです。

何やかんや後輩も増え、すまし顔で指導を行ったりしています。海外のマネージャーと英語で討論していると、おやおや一端のグローバルビジネスマンじゃないかぁ?なんて思う日もあります。

けど家に帰ると、口を半開きにしながら、
ゲーム実況動画に「www」なんてコメント打っているんです。

10年前も、ニコ生見ているとたまにいたんですよね。
アラサーにもなって必死にコメント打ってるやべー大人。

そんなやべー大人に、大きく成長したはずの自分が、いつの間にかなっている。

成長とは、大人になるとは、いったい何なんだよマジで。
そんな自問自答が、どうしても湧いてきます。

なんてことを考えていると、なぜか入社一年目、配属初日の歓迎飲み会の事を思い出してきました。

地方出身、実家も自営業の僕にとって、その日が「サラリーマン」という生き物との実質初対面。

朝から定時まで配属教育でびっしりなスケジュールにビビりつつ、まだまだ学生気分が抜けきらなかったあの頃。

歳の離れた上司たちが放つ、意味不明な言葉の羅列……。
一ミリも理解できず、手帳にひたすらサインの練習を続けていたのを覚えています。
(このサイン練習が海外駐在後に役に立つのは、また別の話。)

こちとら歴戦の就活を乗り越えてきたエリート学生様、そこそこの自信はあったはずでした。
だけど、初めて体験する「大人」の「仕事」の話に、どうしようもなく遠い距離を感じてしまったのです。

脳みそがパンパンになりながら定時をむかえ、休むまもなく歓迎会です。

「ビールを注ぐ時はラベルを上、ビールを注ぐ時はラベルを上、ビールを注ぐ時は…」
ぶつぶつと呪詛のように呟きながら、僕は居酒屋に吸い込まれて行きました。

ついに始まる、社会人の飲み会。

大学生は脳に特殊なチップを埋め込まれている為、「とりあえず生!」以外の言葉を発せないのですが、流石社会人は違いました。

最初から焼酎で攻め立てていくのです。

水割りのやり方は学んでいない!!とビビるのも束の間、最初から水割りの状態で出てきてホッとしたのを覚えています。

部長の長い乾杯で始まる、僕の歓迎会。
緊張して箸に手をつけられないまま、ひたすらにビールを流し込み、飛び交う会話に必死に食らいつきます。

…ん?

(…あれ?なんだこの違和感…?)

さっきまでグローバルの市場動向について語っていた室長は、延々と忘年会で踊る「恋するフォーチュンクッキー」の話を続けているようです。

「違和感に気づく嗅覚を持て。」

今朝習ったばかりのOJTの台詞を思い出しながら、違和感の正体を探ります。

「いやいや、さっしーはやっぱり部長でしょうがw」
『技術系と対等に会話できるスキルを磨くこと。』
そう熱く教えてくれた課長は、ダンスの配置に思案を巡らせていて。


これはもしかして…

会話のレベルが…低い…?

…低い、というのは語弊がありました。
正確にいうと、「俺らの飲み会の程度とそんなに変わらなくない?」です。

ギンギンに大人感を出して圧倒してきた上司たち。
それが会社を抜け出した瞬間に、本当にくだらない会話でわいわい盛り上がっている。
そのギャップに、えらく驚いたのです。

芸能界の話題や、中学生かよ!というような下ネタ、職場の恋愛事情…。
そんな取るに足らない会話のチョイスが、不思議と僕の緊張を解いていったのでした。

いよいよなんの話か分からなくなってきましたね。
この文章、実は、4月からの新社会人へのエールを書こうと思って筆をとったんです。
(なぜなら、先輩風を吹かすのは気持ちが良いから。)

それがなぜかゲーム実況の話になり、さらに上司の飲み会での会話をディスる流れになっています。
深夜の文章って怖いですね。

結局なにが言いたかったかというと、



みんなが思うほど、大人ってそんなに大人じゃないよ、ってことです。


この一言のために紆余曲折してしまいました。
(社会人になると最初に、「まず結論から話せ」と教わるので、この文章が社会人レベルに追いついていない可能性すら出てきましたね。)

ともかく、そういう事なんです。

やたらと怖い上司も、乃木坂46の熱烈なファンかもしれない。
すました顔して英語でweb会議している先輩も、夜な夜なゲーム実況にアンチコメントを連打しているかもしれない。

仕事のスキルや社会人としてのマナーは、もちろん年長者を見習うべきです。
だけど多分、プライベートの姿や根っこの考え方は、20代前半のみんなと、そんなにそんなに大差ないんです。

僕だってほら、どんなに偉そうな事を語っても、10年前と全く同じようにゲーム実況を追っかけながら「www」を打つ生活を続けているでしょう?

社会で経験を積むにつれ、段々と大人の顔が上手になる。
それだけの事だと思います。
いくつになってもマイクラ実況は面白いし、イチローの好プレイ集は無限に見ちゃうし、合コンで知り合った女の子は気になるし。

それに常に、何かに悩んでいるんです。
あなたの目の前の上司も、きっとそう。

だからあまり気負いすぎずに、同じ人間として周りの「大人たち」を見てみて下さい。
仕事一筋、邪念雑念一切ゼロ。
そんな化け物は、そうそういないはずです。

新卒一年目。
多分めちゃくちゃ失敗するし、怒られるし、上手くいかないし、やっぱり失敗すると思います。
だけど僕だって、未だにそんな感じですよ、くそうっ。
そんなフラストレーションは、社会のレイヤーをあがる度に、何度も何度も経験するんです。

学生とか、大人とか、社会人とか。
そんな事は関係なしに、みんな悩んで、苦しんで、だけどプライベートはダラダラ過ごして、華金には馬鹿話に盛り上がる。

そんなもん。 
大して高尚なラインなんて引かれていないです。
だから、上手くいかなくても思いつめずに、帰ってモンハン実況でも見ましょうっさ。

こんな感じでも、どうにかこうにか大人はやれてるよ、って話でした。

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