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中小企業の事業承継の実態と課題 日本政策金融公庫総合研究所主席研究員 村上 義昭

要約
中小企業経営者の高齢化が進展している。そこで、「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」を実施し、中小企業の事業承継の実態と課題を探った。
主な調査結果は次のとおりである。

①     事業承継に関する中小企業経営者の意向をみると、自分の代で廃業を予定している企業は半数にのぼる。

②     廃業予定企業の多くは従業者が少なく、金融機関からの借り入れがない。さらに、業績が劣る企業の割合が相対的に高く、事業の将来性の見通しも暗いなど、廃業を容易に決断できる環境にある。
これらの企業は経営者の高齢化に伴って、徐々に市場から退出していくものと思われる。その際に大きな社会的な問題が生じることはなさそうである。

③  未定企業は、決定企業と比べて従業者規模や、業績、事業の将来性に遜色はない。後継者が決定しているか未定であるかを左右するのは、経営者に就任したときの年齢や男の子どもの多寡という、経営者の属人的な要因である。

④     未定企業には、従業員や社外の人などへの事業承継や、企業の売却など、親族への事業承継以外に選択肢を広げている企業が少なくない。しかし、従業者規模の小さな企業では選択肢を広げるといっても限度がある。

⑤  事業承継に対する支援策を必要とするのは、決定企業よりはむしろ未定企業である。企業規模や事業内容などは決定企業と比べて遜色がないにもかかわらず、たんに男の子どもが少ないなどの要因によって未定企業が廃業することになれば、社会的に損失であるからだ。未定企業が親族への事業承継以外の選択肢を実現できるような支援策が求められる

総括

今回の論文は中小企業に焦点を当ててインターネット調査を行った結果だ。
中小企業の半数以上が自分の代で廃業を予定している。これには容易に廃業できる背景があることが背景にあることが理解できた。
最も重要視しなければならないのは、今後企業をどうするか悩んでいる未定企業に対して、適切な支援対策を行うことであり、企業の今後を決定する後押しこそ現在の日本に一番必要だと言うことがわかった。
今後は具体的な支援対策、有効性があって効率的な支援は具体的になにがあるのか調べることが必要だ。

untitled (jfc.go.jp)

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