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岩手〜鳥取へ取材とフィールドレコーディングの旅 花巻編

2022年3月15〜18日岩手県、3月20日〜22日鳥取県の日程で取材とフィールドレコーディングの旅に出かけました。

3月の早春の音を集めにまずは岩手県へ。

行きのフライトでは上弦の月を見ながら眼下に木曽山脈の白と青の美しさに息を呑み。



永らく憧れだった場所、岩手は花巻から出発です。早起きしてイギリス海岸まで歩いて歩いて、はじめての土地ではとにかく歩きまわることにしています。土地の声と音が聞きたくて。

イギリス海岸は青白い凝灰質の泥岩が続く、かつての海だった場所。今では北上川は上流にダムができてしまったため賢治さんが描いた白い岸は見ることができなくなっています。

修羅の渚(イギリス海岸の歌)

青じろい頁岩の盤で(煙/春と修羅)

プリオシン海岸(銀河鉄道の夜)

この海岸ができた第三紀は約6430万年前から260万年前のことで(縄文時代は1万年前)、生きた天体が、生きて形を変えながら悠久の時を過ごしているのですよね。わたしたちはその針の先にも満たない点に存在して触れながら、考えたり風に吹かれている。初めて白鳥の群れが飛ぶのを見ました。

ヒトがヒトとして存在するはるか昔の記憶。体内に遺された星の欠片を丁寧になぞりながら歩く。

こちらは宮沢賢治記念館にあるポラン広場。

宮沢賢治記念館ではたくさんの展示物とことば、資料が広範囲にわたっており(音楽、宗教、化学、鉱物、農業、芸術)あまりの増殖ぶりに脳がオーバーフローしてしまい考えたり感じたりする時間がかかりすぎてギブアップ。あらためて賢治さんの宇宙の奥行きに驚異しました。

童話村にて。

花巻最後は宮沢賢治の弟、清六さんの曾孫宮澤和樹さんご家族が経営されている喫茶室林風舎まで。

娘さんの香帆さんに会いに行きました。彼女とは昨年の神戸市外国語大学での講演で知り合い、今回の花巻の旅でお会いする約束をしていたのです。

この春から盛岡にある小学校に赴任が決まり、長らく過ごした花巻の最後の日々を過ごしておられました。なんとなく面影を感じさせる佇まい。

花巻では彼女の「声」を記録させてもらいました。こちらは東京で管啓次郎さん、柴田元幸さん、小島ケイタニーラブさんから始まった声のリレー「真空溶媒」の録音です。

春と修羅の中では「小岩井農場」「青森挽歌」に続いて最も長い詩を、さまざまな年齢や職業の一般の方々に読みつないでもらい、「声の星座」を描いています。

香帆さんの声が入り、賢治さんに最も近い「血の周波数」を映しとる。

その声を収録したときには、やはり感激で鳥肌が立ちました。

旅は盛岡へ続きます。

kawole

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