出口のない入り口に入る
あるコーヒーショップで
ぼくの左側に白髪の老夫婦が座った
男が切り出した
今年は神輿が出るらしいよ
女性はそうといい
興味なさそうにアイスコーヒーの氷をくるくる回している
男は話しかける
女は目の前のサンドイッチを食べる
ただそれだけの光景だった
きっと
永遠に
こんな風で 入り口しかない
わかったし わからない
わかったような それも違う
そんなふうにない出口を求めているのかいないのか
入り口があるのだから出口があると信じて
そんなふうに よくわからない時間だけが
空間を埋めていくのか
なんの意味もないことが 雑踏ではある意味を持ち 意味のあることを訴えても 風のように消えていく
意味の中に無意味があり
無意味の中にはなにかの意味があり
それはきっと愛だったり
愛じゃなかったりの
それはただの一日
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