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詩)サガイン管区エィンバウンダイン村の惨劇

ほんとうの惨劇は 誰にも知らず
記録もなく 歴史にも残らず
権力者は嘯くうそぶく
抹殺された数百万人は「数」だが わたしの名は残る

「敵をせん滅せよ。敵は民間人になりすまして隠れ反政府活動を継続しようとしている 区別することは意味を持たない。 全員を敵と見做しせん滅せよ」

密かに包囲は続いている
むら人はなに食わぬ顔で談笑している
作戦はこうだ 明日の市場に集まったむら人を
空から強襲し 逃げるところを包囲し 最終的に全て焼き尽くす

2022年8月11日 
少し日が落ち 市場はそろそろ終わり
むら人たちはところどころ集まり
夕食ゆうげのことやら今日なにも起きずに過ごせたことなど話して 去りがたく話し込んでいる
突然 バタバタバタと激しい回転音が遠くから響いたかと思うとロシア製mi 35攻撃型ヘリは空から市場の真ん中にミサイル弾を放った
声を上げる間もなく 倒れるむら人
それから3日間ミャンマー軍は村を包囲しせん滅作戦を実行した
村は遺体が腐るにおいで充満した
軍は村の家という家全てに火を放ち 住民を生きたまま焼いた
とらえた住民を「人間の盾」として使い抵抗を奪った
わかっているだけで18人が殺害され20人以上が連行され行方不明となった
サガイン管区だけで2万戸以上の住宅が軍によって燃やされた
地元の調査団体の政治犯支援団体(AAPP)によれば犠牲者は10月6日時点で2300人を超えている

ほんとうの悲劇は歴史に残らない
ミャンマーのどこかの村で 今日も惨劇が起き
誰にも知られず 誰にも記録されず
理由もなく殺され 理由もなく毎日殴られ
連れ去られ 重労働を強いられ 
欠席裁判で 消されていく


ドットワールドニュース ミャンマー人記者 ヌ・マウン 10/15記事参照

AAPPの資料によると、2021年2月から2022年9月の間に、少なくとも(780)軒の家や建物が軍政によって封鎖された。2021年2月1日の軍事クーデターと春革命の出現以来、民主化運動後の軍事弾圧により、合計(2361人)の人々、民主化運動家、その他の民間人が殺害されている。

クーデター以降、現在、合計(12672人)が拘束され、(1548人)が刑に服している。クーデター後の死刑囚は、2022年10月17日現在、合計(84人)である。(121人)が欠席裁判で判決を受け、そのうち(42人)が死刑を宣告されている。これで死刑判決を受けた人は合計(126人)。(22人)が保釈され、(3179人)がすでに釈放されています。これはAAPPが確認した数字です。実際の人数はもっと多いと思われます。

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