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テレワークが定着しない理由

初めに断っておきますが、これはあくまで個人の見解です。一社会人として、考えたことにすぎません。

私の職場ではテレワークの実施率なんてほぼ0%です。やってる人なんて、子育て中の方がたまーにやってるかなあくらいのレベル感。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時はテレワーク実施率が上がりました。このままテレワークは定着していき、満員電車とは過去のものになる、そんな予兆すら感じさせられた2020年4月頃。
しかし、定着はすることなく、緊急事態宣言が明けたと同時に待ってましたとばかりに皆が出勤、結局満員電車の緩和には繋がりませんでした。

何故でしょうか。
もちろん理由は色々あるとは思います。私も色々思いつきます。
ですが、ここでは私が一番だと思った理由を述べていきたいと思います。

それは、「テレワークではプライベートが充実しないから」です。

え?と思うかもしれません。
むしろ、テレワークをしていた方がプライベートが充実しそうですよね。

ただ、現実は違います。

テレワークにより、職場から得られる人との関係がなくなってしまい、プライベートが充実しなくなるのです。

職場からプライベートな関係なんて作らなくていいじゃないかと思う方も多いと思います。

でも考えてみてください。社会人の生活の多くを占めるのは仕事であり会社です。

「会社よりも趣味やネットなどの共通の立場での繋がりの方が充実してるからいい」と思う人であっても、残念ながら仕事以外での繋がりの時間は、限りなく少ないです。
これは以前の記事でも述べたとおり、学生が、いくら自分には他の世界があると言っても、大半を過ごすのが学校であるため、学校での繋がりが結局のところ一番であることと同様です。

テレワークは、子育て中の方などの特定の層には絶大な効果を発揮するという意見もあるでしょう。それはある意味で正解です。ただ、副作用も大きいです。正直、どっちもどっちだと思います。

考えてみてください。ずっと家にいるということは、自分の世界が家族だけになってしまうということです。
実はこれはかなり危険で、例えば家庭で少しでも嫌なこと、思い通りにならないことがあった時、他の場所で昇華することができなくなってしまいます。
すべて自分で抱えることになってしまい、他に当たる場所がなく、結果として家族に当たってしまうということにもなりかねません。

結局、愚痴を溢す場所が家族の他にないので、家族(多くは子ども)に当たるしかなくなるんですよね。もちろん、当人にとっては仕方ないことなのかもしれませんが。
また、職場内で情報を得るということもできなくなります。職場内に同じ子育て中の方や子育て経験のある方がいれば、情報交換なんかもできるはずです。また、子育て中の方でなくても、将来的に子どもが欲しいと考えてる方は多くいます。そういった方に子育ての状況を話すことで、話してる方も楽になることは大いにあります。
ところが、テレワークを進めることで、そういった機会すらなくなってしまい、子育ての大変さがさらに増してしまいます。

私の母親は専業主婦で、まさにそんな感じでした。
とにかく私への不満を私に当たり散らしてましたね。
これが、職場があって、そこで愚痴れたり他の子どもの情報を聞けたりしていたら、ひょっとしたら違っていたのかもしれないなと思います。とにかく周りが分からないので、子どもを責めるしかなくなります。

これは、専業主婦のデメリットとも言われてる点ですね。
子育てに集中するということは、実は危険なのかもしれません。

そして、働き盛りの独身の方。
職場に出勤していれば、職場の人と会話をしますよね。プライベートなことは話さなくても、業務上のことは話すと思います。
同期とも話すことはありますよね。その話の中で、「今度ランチ行こう」「今度遊びに行こう」なんて話も出てくるかもしれません。そこからプライベートって充実してくるものなんですよ。

それがテレワークだとどうでしょう。
仮にWeb会議なんてやってたとして、プライベートの話をするでしょうか。
テレワークは、必要最小限の会話しかしません。それが無駄を省くことになるという考え方もありますが、無駄から生まれるものを無視してはいけません。
「雑談力」という言葉もあるように、仕事に関係ない何気ない会話って、実は相当大切なんです。

職場で雑談をしている時に共通の趣味が見つかり、職場以外でも会うようになった、みたいな話もあれば、職場が出会いの場になったというような話もよくあるでしょう。
そこまでいかなくとも、職場内ではコミュニケーションをとることは当然のことです

言い方は悪いですが、こういった、職場から広がる「人との繋がり(プライベート)」というものをテレワークは奪ってしまうのです。

「学生時代に恋人ができて、今も付き合ってる」とか、「学生時代の友人と繋がりがあるから職場は仕事だけしてればいい」とかって人はいいかもしれませんが、そんなに多くはないですよね。

また、当然、学生よりも社会人の方が長いのですから、社会人で作った人脈の方が広くなります。学生時代以上に人脈を構築できるかもしれません。
「俺は一人が好きだ」と言う人も、ずーっと一人で黙々とやっているのではなく、やはり最低限の人との関わりが必要な人が多いはずです。一人で仕事をするようなものであったとしても、それが人に認められなければ意味がありません。残念ながら世の中は、他者あっての自分なのです。我々は、人との繋がりの中で生きています。

繰り返しになりますが、在宅勤務をすることによって、当人の意思に関わらず人生において比重が大きくなる勤務先が自宅となり、人との繋がりが限りなく減ってしまうのです。

私は人間関係が苦手で、学生時代にはいい思い出がありません。二度と戻りたいとも思いません。
それでも、人間関係を完全に放棄してしまっては、今度は自分が生きていくことができないのです。
苦手ながらも、できることはやっていく。それしか生きる道はありません。そうでもしないと、私はずっと一人で生きていくことになってしまいます。それは嫌ですし、そもそも無理です。

週一回ならいいのではないか、半日ならいいのではないか、と言った意見もあると思います。
ただ、週一回でも、平日5日が出勤日として20%を失うことになります。

プライベートを充実させるための手段が、かえってプライベートを奪ってしまう、そういった皮肉が起こってしまっているのではないでしょうか。だからテレワークが定着しない。

実は、テレワークを拒絶するのは、会社ではなく社員の方だという話を聞いたことがあります。なるほどなと思わずにはいられませんでした。
ずっと家にいるとストレスにもなりますしね。

人との繋がりを減らすような現在のテレワークでは、個人だけでなく、社会にとってもデメリットでしかなく、極論ですが推進なんてしない方が良いのではないかとすら思います。

では、どうすればテレワークが定着するのか。

これまでの内容を踏まえますと、テレワークであっても職場で勤務しているのと同様の状態、本当に隣に同僚がいるのと動揺の状態、といったような環境を作り上げていく必要があります。

これはかなり難易度が高そうです。
やはり、テレワークの定着は難しいのではないでしょうか。何しろ、誰も得しないシステムになっているのですから。

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