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旅行支援研修を受けてきた話②

去る2023年7月3~4日、株式会社 Re:habilitation主催のリハビリテーションツーリズム認定講座を受けてきました。

前回は、参加を決めるまでのお話。

今回は、実際の研修内容にも触れつつ、私の感想なども。



ざっくり、研修の内容は?

これまでは金沢での開催が中心だったこのリハビリテーションツーリズム研修。修了後、障害がある方の旅行に同行し支援するための資格が得られます。
この資格自体は民間資格ですが、医療関係の国家資格保持者を対象とした研修で、今回は作業療法士である私のほか、看護師と理学療法士の方が参加されていました。

また、この資格の特徴は、支援者を当事者と一緒に旅行先まで派遣するのではなく、各旅行先で支援者が当事者を迎え入れる形で同行すること。
地元の人が地元の案内をするほうが絶対にいい!のはもちろん、そうすることで当事者の方が支払う費用も抑えられるというメリットもあります。
こうして支援者とともに旅を楽しむこと、それ自体がリハビリになるという仕組みです。

金沢での研修は2泊3日だそうですが、今回の北海道研修は1泊2日で旅程が組まれていました。
1日目は定山渓温泉、2日目は札幌駅〜大通公園周辺で、実際に片麻痺当事者の方と一緒に歩いたり車椅子を押したりご飯を食べたり、ほんとに旅行そのものです。座学はありません。

北海道では初開催だったとのことで、モニター価格で参加させていただきました。10万円+税で11万円。通常の約半額のようです。

今後のPV作成のためのカメラ撮影も入っていただけでなく、北海道新聞やNHKの取材、ホテルスタッフの方、旅行会社の方などもいらして、おぉ~って感じ。
見た目に反して初対面の人とコミュニケーションとるのが得意でない私は、たくさんの大人たちが動いているのを見てその本格さ具合に若干尻込みする。笑



1日目

まずはホテルのお部屋をお借りして、転んだときを想定した床上動作の練習から。
初対面の患者さんといきなり床上動作なんて病院ではまず絶対やらないから、ある程度自立した方だとわかっていても緊張します。

みんなまだ慣れずちょっと緊張の面持ち


障害当事者の司(つかさ)さん、デモ+受講者の5人=計6回も各動作を繰り返さなくてはならず、本当に大変!

そしていくら医療従事者とはいえ、今会ったばかりのよくわからない人たちに自分の身体を預けるって、なかなかできることじゃないと思うんですよ。
すごく勇気がいる。めちゃくちゃありがたいことだなあと思いました。

そしてその後は入浴介助、屋外の車椅子押し、昼食と続きます。

普段入浴介助はやらないからすべてが新鮮
初ジンギスカンに喜ぶ面々がかわいかった
おいしく食べてもらえて道民としてうれしい限り


あらゆることに不安になりがちな私ですが、昼食が終わる頃にはだんだん緊張も解けてきて、楽しいなーと思えるようになってきた。
これは本当に司さんの人柄がなせる業だと思います。すぐ名前を覚えてくれて、いろいろと質問もしてくれて…そして何かするたびにありがとうと言ってくれたけど、むしろこっちが励まされる場面ばかりでした。

毎日押している車椅子でさえ、病院の平らな床とでこぼこのある地面とでは全く感触が違うの。
これは、障害を持った人たちが閉じこもってしまうのも仕方ないよなあと思った。誰かの力がないと、外に出るって、ましてや遊ぶって、ものすごいハードルなんだなあーと痛感しました。

昼食後は階段や不整地歩行の練習をして1日目の予定は終了。

…なのですが!
希望者は今回の研修場所だったホテルミリオーネにお得に宿泊させていただくことができまして。せっかくなので泊まってきました!
お部屋スペシャルだったしバイキングもおいしかったしお風呂気持ちいいしもはやただの旅行。
お酒飲みながらいろいろお話するのはやっぱり楽しいなあと思いました。

司さん+リハ職2人、皆ただの酔っ払い…笑


夜更かしもほどほどに就寝!
まずは1日おつかれさまでした!


2日目

2日目は場所を札幌市街に移して、地下鉄乗車やエスカレーターの乗り降り、観光スポット巡りを体験します。
今回はテレビ塔と時計台に立ち寄り、お昼はスープカレーを食べました。

もうすっかり司さんとも打ち解けていたし、このエリアは普段から行き慣れているということもあって、もうただ本州から来た友達に街案内をしているという感覚!
でも住んでるとなかなか行かないテレビ塔の展望台や時計台の中にも入ったりできて、自分も楽しかったなー。

ただし街中は人が多い分、気を遣わなきゃならないことも増えて車椅子押すのも歩行介助するのもさらに緊張感はありました。
ちょっとした段差やおしゃれな地面、点字ブロックも全部車椅子ユーザーにとっては障壁となりえるし、エレベーター乗るためにずっと迂回しなきゃならなかったり、移動は本当に時間がかかるんだなってことを実感した。

同時に、どこにエレベーターがあるとか、どこがより歩きやすいルートなのかとか、地元のことを知っている人が同行することでぐっと快適に、安心して旅できるなあということも感じました。
今後は少し街を視る目が変わりそう。

司さんお気に入りテレビ父さんポーズ!
家が神社というエピソードは何かと人生の役に立つ


そしてもう一つ思ったことは、支援者がいることで、一緒にいるご家族もいろんなこと心配したりたくさん体力使ったりしないでゆとりをもって楽しめるっていうこと。
病院ではレスパイト(介護者の休息)目的で入院を受け入れることもあるんだけど、離れて過ごすことだけがレスパイトじゃないんだなあと思いました。
共に楽しみながら、家族もほっとできる時間は作れるんですね。

時計台にて、クラーク博士と司さんご夫妻のスリーショット


最後は札幌駅の改札で本州チームをお見送りして研修は終了。
司さんの涙にもらい泣きするところでした笑
また会おうと約束してしばしのお別れです。

今度は金沢にも遊びに行きたいな~!



終わりに

学ぶ内容が盛りだくさんだったのはもちろん、本当に楽しく充実した時間となりました。

そもそも働くこと自体に消極的で、定時退社をモットーに生きている私ではありますが、せっかくなら誰かの役に立つ仕事がしたい気持ちはありまして。
そして根は真面目だから何かときっちりやりたい気持ちもありまして。笑

だからこそ今の職場で気づいたら10年も経ってたんだけど、そろそろ私も何か新しいチャレンジをする時期なのかもなーと感じています。

司さん、北海道は初めてだったそうですが、なんと障害を負ってからは飛行機に乗るのも初めてだったそうです!
果敢に挑戦する姿勢に、なんだか私も背中を押される思いです。

そして今回、医療職の方はもちろん、撮影や取材で関わってくださったさまざまなプロの方のお仕事を見て、当たり前なんだけど、いろんな仕事があるなあって思いました。

資格は縛られるためではなく、生かすためにあるんだな。
どう生かしていくのかはまだわかりませんが、なんかいいように未来が動いていったらいいな~。

…なんて言ってたら、ぼーっとしてたらなんも変わんないよって意識高い人たちに言われそう笑
だけどまあ急がず私なりのペースでやっていきたいです、私の人生だから!


ということで!
最後まで読んでいただきありがとうございました。

ちなみに第2回北海道研修の開催もすでに決定しています。
日程は8月27〜28日の2日間。
ご興味ある医療関係者の方、もしいれば連絡くださいね~!!

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