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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : The Whoの謎盤

以前ロッド・スチュワートの「マギー・メイ」のシングル盤について書いたことがありますが、今回も同様の謎盤についてです。

今回はザ・フー。問答無用のブリティッシュ・ロックの大御所です。しかし、彼らもシングル盤の情報に関してはアウトです。そもそも日本語版Wikipediaには、現時点でシングル盤の情報が全くありません。必然的に英語版のWikipediaに頼ることになります。

ところが、ポリドールさんもマーキュリーさんと同様にやってくれます。日本独自シングル等があるようなんです。英米と同じようにリリースしてくれていれば問題はないのですが、やはりお国によって売れ線は違うということでしょうか、日本で受けそうな曲をシングル・カットしたのでしょう。とにかくザ・フーに関しては、英米での人気と比べると、日本ではイマイチかもしれません。あまり売れてないんですよねぇ。特に私の周辺では「フー好きは変わり者」という定説があるんですが…。そういえば、ザ・フーの来日公演のとき、演奏が始まってもうろついている人間がもの凄く多くて、しかもいつまでもそういう状態で、「何だこれ」と呆れましたっけ…。

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さて、手元に「ワイルド・ボーイ When I Was A Boy」という7インチ盤シングルがあります。正直言ってすぐに曲が思い出せるものではありません。細かく見ていくと、400円定価盤ですから1970年代前半ですね。1972年頃に発売になったもののようですが、どのアルバムにも収録されておりません。B面の「マイ・ワイフ」は名盤「フーズ・ネクスト」に収録されているジョン・エントウィッスルが作った曲です。盤を見るとA面の「ワイルド・ボーイ」もジョン・エントウィッスル作ですね。

ザ・フーの「フーズ・ネクスト」は1971年8月にリリースされた、文字通りザ・フーの最高傑作アルバムです。本来は「トミー」に次ぐロック・オペラ第2弾として構想された「ライフハウス」用に書かれた曲ですが、構想が壮大になり過ぎて頓挫したようです。その結果、バンドの曲の多くを書いているピート・タウンゼントは、「妥協と挫折の産物」として「フーズ・ネクスト」を嫌っていたというのは有名な話ですね。その「フーズ・ネクスト」を語るときによく言われる「ジョン・エントウィッスルが書いた「マイ・ワイフ」以外はすべて「ライフハウス」のために書かれた曲だった」という、その「マイ・ワイフ」がこのB面曲なんですね…。

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さてこのシングルですが、「※「ワイルド・アクション」に続くザ・フーの新曲」とスリーヴ裏面に書かれておりますが、…謳い文句にしては地味ですね。一つ前のシングルが「ワイルド・アクション」だったという事実を告げているだけですよね…。ところで「ワイルド・アクション」???調べてみて「おい、「Let’s See Action」の邦題かい!!」となるわけですが、「Let’s See Action」は「フーズ・ネクスト」からシングル・カットされて大ヒットした「無法の世界 Won’t Get Fooled Again」に次いでリリースされた、アルバムには収録されていないシングル・オンリーの曲でして、つまり「ライフハウス」用の曲でありながら、「フーズ・ネクスト」のアルバムには入り切らなかった曲なんです。…おっと、この曲のB面が「When I Was A Boy」つまり邦題「ワイルド・ボーイ」ではないですか…。

ここで普通なら「なんだ「Lifehouse」用の曲か」となりそうなのですが、ならないんだな。2000年にリリースされたピート・タウンゼントの「Lifehouse Chronicles」というCD6枚組のボックスも聴いてますけど、「When I Was A Boy」なんて曲は収録されていないんですよ。そういえば、これ、ジョン・エントウィッスルが書いた曲でしたね。さらに、そういえば「マイ・ワイフ」は「フーズ・ネクスト」には収録されていますが、「Lifehouse ~」には収録されていないんです。そう、結局のところ「ライフハウス」はピート・タウンゼントの構想であって、ザ・フーのものではないんですね。んじゃ、なんでこの「ワイルド・ボーイ」がシングルとしてリリースされるわけ?ポリドールの担当者がジョン・エントウィッスル贔屓だったとか…?

結局のところ、バンド内での力関係とか、忖度とかいったものが見えてきそうですが、ピート・タウンゼントが見たら嫌がりそうなシングル盤なわけですかね?まあ売れたとも思えないので、英日のWikipediaに登場しなくても仕方ないかもしれませんし、そもそも日本版Wikipediaはシングルの記述が無いわけですし…。Wikipediaのディスコグラフィって、英語版でも100位以内にチャートインしていないと除外されていたりするので、正確なシングル・カットのデータベースではないんですよね。そんなわけで、ザ・フーのファンみたいな方が見ても、「なんだこれ?」になる謎盤7インチ・シングルだったりするわけですね、これ。

最近、Wikipediaのシングル盤情報がお粗末なものによく出くわすもので、自分で書き込んでしまおうかなとか思うことが多いんですけどねぇ…、でもそんなヒマねーし…。おっと、それからちなみに、私はザ・フーは大好きですけど、演奏が始まったら集中しますし、ライヴ会場でうろついたりはしませんよ。…変わり者かどうかは、…自分では分かりません。…。…。…。


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