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7インチ盤専門店雑記218「哀しみにさようなら」

ポール・サイモンの「Gone At Last」です。大ヒット・アルバム「時の流れに Still Crazy After All These Years」収録曲です。「そういえばフィービー・スノウが参加してたっけ」といったところです。このアルバムの中ではあまり目立たない曲という印象です。だって「恋人と別れる50の方法」とかタイトル・チューンのように、ヒット曲や好きな曲が他にありましたからねぇ…。グラミー賞もとっているんでしたよね…。

デビュー盤がいきなり大名盤だったフィービー・スノウは、お子さんが障害を持って生まれてしまったために、その後の活動が安定しないわけですが、とにかく大好きなシンガーです。すべての音源はチェック済みと思っていましたが、…まあこれも持っているわけで、チェック済とは言えますが、存在を忘れておりました。

ポール・サイモンはやはり才能がある人だと思います。サイモン&ガーファンクル時代の名曲群もいやというほど聴いてきましたが、70年代80年代のソロ名義のアルバムが、今更に名盤だらけです。「時の流れに」はその中でもとりわけ好きなアルバムです。「グレースランド」も凄いとは思いますけどね。

ただね、この人の曲、ブルースがないんだな。白人なんだから当たり前と言われるかもしれませんが、それでも、聴き続けているとやはりそこに意識が行ってしまいます。白人でもブルースを前面に出してくる人もいますし、無意識にブルースが顔を出す人もいます。黒人さんがバックを務めていてもそうだから、余計に気になるのかもしれません。

「時の流れに」の静謐な佇まい、一聴して名曲だと分かる存在感で、時の流れというものの重みを伝えてきます。何度聴いたことか…。何度涙を堪えたことか…。バックアップはマッスル・ショールズ系、バリー・ベケット、デヴィッド・フッド、ロジャー・ホーキンスです。一方の「哀しみにさようなら」は軽快なんです。リチャード・ティーにゴードン・エドワーズのバクアップがまた素敵です。「50 Ways ~」もあることを考えると凄いアルバムですね、やっぱり。

「哀しみにさようなら」の印象が薄いのは、他がよ過ぎるんだとしか言えません。収録するアルバムを間違えましたね…。


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