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FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 077:80sサントラ特集

さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第77回(2023年3月17日(金)20時~
(再放送:3月19日(日)19時~)

清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。

今週は80sのサントラ特集です。80sサントラは有名ロック・アーティストのオムニバス的なものが多かったのですが、ここでは忘れられてないかという盤を取り上げます。またロビー・ロバートソンやライ・クーダーあたりが作った渋いサントラもご紹介します。

1曲目
「The Train Kept A-Rollin’」Jeff Beck (1988)
2曲目
「I’d Die For This Dance」Nicolette Larson, Jeff Beck (1988)

まず、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「ツインズ」です。映画の中でステージにバンドがいるクラブ内でひと騒ぎ起こすシーンがありまして、そのバンドが問題なんです。如何せんギターがジェフ・ベック、ヴォーカルはニコレット・ラーソンです。さらにメジャー・デビュー前のアンドリュー・ローチフォードもいたりします。彼はこの映画の翌年に「カッドリー・トイ」という大ヒットを持っていますし、2000年代になると、マイク&ザ・メカニクスにクレジットされていたりします。ここではそのアンドリュー・ローチフォードをフィーチャーしたジェフ・ベックの「トレイン・ケプト・ア・ローリン」、そしてジェフ・ベックのギター・ショップ・トリオにニコレット・ラーソンが加わったかたちの「アイド・ダイ・フォー・ディス・ダンス」2曲続けてご紹介しました。

3曲目
「Wynken, Blynken And Nod」The Doobie Brothers (1980)
4曲目
「I Want A Horse」Linda Ronstadt and Wendy Waldman (1980)

お次は映画ではなくてテレビ番組の「セサミ・ストリート」です。「イン・ハーモニー」というサントラ的なアルバムが、豪華なラインナップで制作されました。カーリー・サイモンとジェームス・テイラーが中心になっており、サイモン&テイラー・ファミリーがこぞって参加しております。ルーシー・サイモンがプロデュースもやっています。ケイト・テイラー、リヴィングストン・テイラーといったあたりです。他にはドゥ―ビー・ブラザーズにリンダ・ロンシュタット、ベット・ミドラー、リビー・タイタス&ドクター・ジョン、ジョージ・ベンソン、アル・ジャロウといったあたりです。ここからも2曲ご紹介しました。

5曲目
「Donut City」Eddie Van Halen (1984)
6曲目
「Human Shout」Andy Summers (1984)

1984年の「ザ・ワイルド・ライフ」という映画のサントラです。クリス・ペン、リー・トンプソン、エリック・ストルツあたりが出演しております。ブラット・パック映画のはしりみたいな作品です。このサントラが面白いんです。ウィキペディアでは、エドワード・ヴァン・ヘイレンは、ヴァン・ヘイレン以外ソロ名義の曲は無いことになっておりますが、ここにあるんです。とにかく日本未公開、このサントラ盤も全然売れなかったみたいで、忘れ去られているのか、権利関係で宣伝できないのか知りようもありませんが、結構面白いものだったりします。まずエドワード・ヴァン・ヘイレンで「ドーナッツ・シティ」、そしてポリスのギタリスト、アンディ・サマーズのソロ名義で「ヒューマン・シャウト」の2曲をご紹介しました。いかにもポリスっぽい曲です。

7曲目
「It’s Not Easy」Charlie Sexton with Ron Wood (1984)

「ザ・ワイルド・ライフ」のサントラ版には面白い曲がもう一つ入っておりまして、チャーリー・セクストン・ウィズ・ロン・ウッドの「イッツ・ノット・イージー」という曲です。彼、ルックスがいいもので、チャリ坊とか言われて、アイドル的にデビューしてきました。最初のお仕事は16歳のとき、ドン・ヘンリーの「ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト」でギタリスト・デビューです。1985年のソロ・デビュー曲「ビーツ・ソー・ロンリー」は中ヒットしました。しかも、ジョン・ヒューズ監督の映画「恋しくて Some Kind Of Wonderful」のサントラにも収録されます。この映画もエリック・ストルツとリー・トンプソンとメアリー・スチュワート・マスターソンが主演なので、繋がりが深いようです。

彼、実は結構実力のあるギタリストでして、90年頃からはドイル・ブラムホール・ジュニアとアークエンジェルスという、素晴らしいバンドを結成してくれます。ここにはスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルのトミー・シャノンとクリス・レイトンもおりました。その後はボブ・ディランのバックバンドの屋台骨としてもう20年以上やっております。要はこの「ザ・ワイルド・ライフ」のサントラでロン・ウッドと共演しているのは16歳のデビュー前の少年なんです。しかもこの曲、チャーリー・セクストン・ウィズ・ロン・ウッド名義ですが、キース・リチャーズもギターを弾いているんです。しかもベースはマーカス・ミラーです。デビュー前にこれですから、もの凄い待遇です

8曲目
「Rained Out」Robbie Robertson (1980)
9曲目
「The Fat Man」Robbie Robertson (1980)

(残念ながら楽曲の動画はYouTubeに上がってませんのでトレーラーを掲載しておきます)

1980年の「カーニー」です。これは、ザ・バンドのロビー・ロバートソン制作で、出演もしています。サントラのジャケにもスターリングとして、ジョディ・フォスターとゲイリー・ビジーとロビー・ロバートソンの3人が書かれております。トラヴェリング・カーニヴァルというものがアメリカにはありまして、サーカス一座みたいな旅芸人の集団ですが、そこに同行することになったウェイトレスさんのお話です。

ゲイリー・ビジーは意外なゲスト・意外なコラボの3回目に、レオン・ラッセルの「鬼火」にテディ・ジャック・エディという名前のドラマーが参加しているんだけど、これがゲイリー・ビジーなんだということをご紹介しました。ここでは出演もしているので、そのままの名前でやっております。ちなみにキーボードはドクター・ジョンが弾いております。

10曲目
「Theme From Alamo Bay」Ry Cooder (1985)
11曲目
「Klan Meeting」Ry Cooder (1985)

ライ・クーダーも80年代はたくさんの映画のサントラを手掛けております。「ロング・ライダーズ」「サザン・コンフォート」「ボーダー」「ストリート・オブ・ファイヤー」「パリ、テキサス」「アラモベイ」「クロスロード」「ブルー・シティ」「ジョニー・ハンサム」といったあたりです。88年のトム・クルーズ主演映画「カクテル」では、エルヴィス・プレスリーの「オール・シュック・アップ」のライ・クーダー・カヴァーが収録されていたりします。ここでは、1985年の「アラモベイ」を取り上げます。ルイ・マル監督のベトナム移民排斥問題をテーマに持つ映画です。サントラの方は、中心になってやっているのはライ・クーダーですが、いろいろ名うてのミュージシャンが参加しております。ヴァン・ダイク・パークス、デヴィッド・リンドレー、ジム・ディッキンソンそれから、尺八のカズ・マツイさんといったメンツでやっている「テーマ・フロム・アラモ・ベイ」と「クラン・ミーティング」の2曲をまずご紹介しました。

12曲目
「The Last Stand」Ry Cooder (1980)

「アラモ・ベイ」からはもう一曲ご紹介しました。なんと85年の時点でジョン・ハイアットのギターをフィーチャーしております。しかもドラムスはジム・ケルトナー、ベースがなんとL.A.ゲッタウェイのクリス・エスリッジなんです。この後87年のジョン・ハイアットの名盤「ブリング・ザ・ファミリー」にライ・クーダーが参加していることや、91年のリトル・ヴィレッジに繋がっていく流れのキッカケが知れるようで、「なるほど」となって面白い曲だったりします。

13曲目
「Love And Affection」Martha Davis & Sly Stone (1986)
14曲目
「Soul Man」Sam Moore & Lou Reed (1986)

最後は1986年の映画「ソウル・マン」です。ラヴ・コメでありながら、シリアスな背景も持つストーリーです。要はC・トーマス・ハウエルが演じる白人の裕福な青年が薬で肌を黒くして、ハーバード・ロウ・スクールのマイノリティ用奨学金をもらおうと言う魂胆で奮闘するわけですが、肌の黒いレイ・ドーン・チョンに一目ぼれして、というラヴ・コメ要素もあるものの、まあ当然バレるわけで、何とも言えない後味の映画なんです。また当然ながら物議を醸すわけです。人種差別問題を笑い話にするのかということでも非難轟々でした。しかしアメリカ社会は、ブラック・ライヴズ・マターの問題は30年経っても全然改善されていないわけで、手段はどうであれ、繰り返し発信していくことも大事なんだと思います。

ここで聴いていただきたいのが、モーテルズのマーサ・デイヴィスとスライ・ストーンのデュエット曲です。60年代末から70年代前半にかけて大ヒットを連発したスライ・ストーンはドラッグ禍で潰れたわけで、70年代後半から80年代前半は全く評価されない時期を過ごします。この曲は86年の時点でA&Mが彼を何とか復活させようと、ソロ・アルバムを作る前提で慣らし運転をさせるために作った機会と言われております。「イーカブ―・スタティック・オートマティック」という新曲もこの盤に収録されているんですけど、これがイマイチで、結局その後隠遁生活に入ってしまいます。そこで、もう一曲、会社側が用意した曲をご紹介しました。また、ラストはサム&デイヴのサム・ムーアがルー・リードとやった「ソウル・マン」をご紹介しました。

次回は詩人特集です。お楽しみに。
番組へのご意見やお便りをください。
voice@fm840.jp

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