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7インチ盤専門店雑記677「別テイク3:The Wild One」

1974~75年頃、洋楽シーンはハードロックやプログレもあり、一方でシンガー・ソングライター・ブームもあり、グラムロックも人気でなかなか華やいでおりました。ちょうど中学生だった自分は、年齢的にもドンズバで、スイートにしろ、T.Rexにしろ、スージー・クアトロにしろ、出すシングルは次々ヒットして、もう全部レコードで欲しいくらいでしたが、そういうわけにも行かず、優先順位をつけて買っておりました。買えないものはエア・チェック・テープなどで我慢するわけですが、それでも楽しかった思い出がみんなこういう楽曲のBGMつきみたいなもので、やっぱり全部忘れられない曲ばかりです。

スージー・クアトロも凄い人気でした。出す曲、出す曲、良く売れました。まあ男子中高生向けというキャラで売っていましたし、Nicky Chinn - Mike Chapmanによる楽曲がとにかくポップで大好きでした。そして驚くほど量産してくれました。スイートやスージー・クアトロ以外にもMUDとかスモーキーといった連中の楽曲がことごとく彼らの手によるものでしたから、少し後になって、いろいろ事情が分かってきてからも、驚きに満ちておりましたね。本当に70年代のヒット・メーカーの筆頭でしょう。

そして、スージー・クアトロのシングルはかなり後になって集めましたが、通し番号が入っているので、非常に助かりました。「第〇弾」という文言が必ずスリーヴのどこかしらに入っているんです。今でこそWikipediaなどもあって、ネット上にはDiscographyという名のもとにリリース情報が必ずと言っていいほど載っておりますが、PCやネットが出てくる前、紙もののムックなどの情報を頼りに集めていくのは本当に大変な作業だったんです。…でもこの人の場合は少しラクさせてもらえましたといったところです。

ヘッダー写真は「陶酔の第6弾」「ワイルド・ワン」です。スピード感のあるポップなロックンロールは本当に魅力的でした。第4弾「悪魔とドライヴ」あたりからの延長線上にあるノリのよさは他にない魅力でした。出だしの煽るようなヴォーカルやら、分かり易いギター・リフ、タイトな演奏がよかったです。

そしてこの曲に関しては、別テイクとも言わないのですが、カヴァーと別テイクの中間あたりに位置するテイクがありまして、Boowyによるカヴァーなんですけど、&スージー・クアトロでやっているんです。ヒット曲「マリオネット」のB面に収録されております。これがまた愛すべき音源なんです。ヴォーカルはユニゾンですが、演奏はずっしりと重くなっており、スピード感はそこそこですが、「おや、ルーツはそこら辺ですか」と微笑ましくなる演奏です。スージーさんのヴォーカルは相変わらずでシャウトも決まっており、元気印のまんまです。一方布袋寅泰はじめBoowyの連中は、姐御を前にしてか大人しめです。…そこがね、何だかいいんですよ。


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