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7インチ盤専門店雑記693「ティラミ・ス」

アル・ディメオラ・プロジェクトの1987年のアルバム「幻想都市」です。リアルタイムではCDで買ったものでしたが、最近ひょんなことからアナログ盤が手に入ってしまいました。

どうしてもウチで買いたいという有り難いお客様のご要望で、新たに仕入れた盤がありまして、送料がもったいないので合わせ買いのブツを物色したところ、これを見つけてしまいまして、しかも格安で入手してしまいました。まいばすけっとで買うアイスクリームと同じお値段でした。…何気に30年以上探していたんですけどね。ビックリです。1987年のブツは簡単には手に入りませんからね…。

とにかく、プロジェクトです。どういう意味があるんですかね。キーボードはケイ赤城さんです。ベースがアンソニー・ジャクソンというのが嬉しかったりします。まあ87年のアルバムです。音が悪かろうはずがありません。めちゃくちゃ良い録音です。オーディオ機器の空間的な広がりを描出する能力を試したくなります。この人の場合、楽器の音のリアリティじゃないんですよ。上手過ぎるというべきか、音の粒立ちも良すぎて機械的に感じてしまいます。ギターの弦を擦る音が聴こえるとかいったことがないので、目の前で演奏しているような感覚は期待しない方がよろしいかと思います。

さて邦題ですが、「幻想都市」…いいですね。音の雰囲気は邦題に軍配を上げましょう。原題が何故か「ティラミス」なんですよね…。1980年代後半ってイタ飯ブームというのがあって、もの凄い数のイタリアン・レストランができましてね。ティラミスのブームもあったんです。私も大好きな味でしたから、忘れられませんよ。…で、なんでティラミス?まあインスト楽曲のタイトルなんて言った者勝ちですからねぇ…。

ふと気になって調べたら、イタリア語で「私を引っ張り上げて」という意味なんですと。転じて「私を元気にして」という意味なんですね。イメージ的には分かりますね。でもなんでマスカルポーネ・チーズとコーヒーのスイーツが、私を元気にしてなんですかね?言った者勝ちですかね?

ちなみにこの盤、1982年の大名盤「エレクトリック・ランデブー」の続編的なイメージを持っております。間にリリースされた85年の前作「天地創造」が大人し過ぎたこともあるからか、艶やかなレス・ポールの音が各所で鳴っており、リリース当時嬉しかったですね。この盤、ヘタなロックより煽られます。この人、フュージョンでもロック寄りの音を出すので好きなんですけど、長い活動歴とディスコグラフィを眺めると、民族の血を感じさせるようなアルバムも多く、実に多彩です。別にブレているとは申しませんが、もう少しこの手のアルバムをリリースしてほしかったとは思います。

ただし、「エレクトリック・ランデブー」ではギターをこれでもかというほど思い切り弾き倒しておりますが、「ティラミス」ではケイ赤城のキーボードがかなり前面に出てきます。つまり全体のバランスはこちらの方がいいのかもと思わせなくもない。でもディ・メオラなんだから弾き倒してくれていいんだけどとも思うわけでしてね…。まあ、お好みですかねぇ。






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