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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 真夏の夜の7インチ・ジャズ

ようやくお盆休みにたどり着きましたか。お店は明日から9連休です。防犯上ずっと無人というわけにもいかないので、ほとんど店に居ることになるとは思いますが、やりたい作業等が山盛りで、どこから手をつけるかなといったところです。暑さのせいか、体調もイマイチなので、ずっと自宅で寝ていられたらとも思いますが、経営者にそんなヒマはありませんやね…。

さて、夏休みなのか、意識低い系のお客様が結構いらっしゃるので、対応に苦慮しております。マスクをできないお子さんを連れていらっしゃったときは、国の方針ではよくても、感染の可能性を少しでも低減させるためにはお断りします。私がコロナに感染したら翌日から営業できないわけですからね。それに、これだけ循環器系に不具合を抱えている身ですから、感染したらアウトでしょうからね。こちらは死活問題なんだということを、もう少しご理解いただきたいものです。

平気な顔して、アクリル・パーテーションを外してしゃべろうとする方たちも一定数いらっしゃいます。このご時世で、こういう感覚は理解に苦しみます。さっさとお帰りいただくように仕向けます。ロックダウンでもなんでも、もう少し厳しくやらないと、感染拡大は避けられないと思います。…現場からは以上です。

そんなわけで、非常に機嫌が悪くなってしまい、やりたい作業が山積みでも手につかない状況なので、没頭できるレコ屋作業をやっております。レコードふきふきしている限りは、何とか平静を保てるようですから、まあ単純と言えば単純です。誰にも会わずに独り作業をしている分には多分感染も防げるでしょうからね…。

さて、作業をしていて、面白い盤を見つけました。ゲッツ/ジルベルトなんですが、7インチのEP盤です。つまり33 1/3回転の4曲入りというやつです。大ヒットしたので7インチ盤があっても不思議ではないのですが、この盤の選曲が「コルコヴァード」「ヴィヴォ・ソアンド」「ソ・ダンソ・サンバ」「ドラリセ」の4曲なんです。そう大人気の「イパネマの娘」が入っていないんです。この盤から4曲選ぶとして、あの大名曲を外しますかね?

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とにかく気になって、もう一枚EPがリリースされているのかな?と思い、検索してみました。「日本グラモフォン」と「SKV-1004」と入れてみたところ、該当なし。「SKV-1003」では、ワルター・ワンダレイの「サマー・サンバ」が出てきました。「SKV-1005」としたところ、スタン・ゲッツとチャーリー・バードの「ジャズ・サンバ」が出てきてしまいます。執拗に「SKV-1001」としてみたところ、…出てきましたよ。「ザ・ベスト・オブ・アストラッド・ジルベルト第1集」ですか。「SK-1002」が第2集なんですね。アストラッド・ジルベルトの方が先だったんですね…。

それでも、このVerve盤、回転数のわりにいい音で鳴ります。実はそこが面白くて文章化しようと思ったわけですが、これ普通のLPやハーフ・スピード・マスタリングの高音質盤と比べても、こちらに軍配が上がるほど、何だかリアリティのある鳴りなんです。ホント、間近でゲッツが吹いているみたい…。そうか、バランスのせいかな?何だか妙にゲッツが前に出てきてますね…。

7インチ盤でも、33 1/3回転だと旨味がないわけで、時間あたりのトレース情報が豊富なわけではありませんからねぇ。強いていえば、7インチ盤の方が振動に強いですけどね。まあ一般的には12インチ・シングルの方がいい音に聴こえるわけですから、回転数の影響は大きいですよね。でも1960年代に多数発売された33 1/3回転の4曲入りEPは意外にいい音で鳴るものが多いとも思います。後の再発45回転よりもマスターのジェネレーションが若ければいい音で鳴るということなんですかねぇ?結構面白い世界です。

ついでにいろいろジャズものの7インチ盤の聴き比べをしてみたのですが、やはりゲッツ/ジルベルトに勝る鳴りの盤はありませんでした。ジャズものの7インチ盤って結構面白くて集めていたりするのですが、やはり曲が長いので、33 1/3回転が多いんです。フォンタナのアート・ブレイキーは遠くで演奏しています。フィリップスのディジー・ガレスピーは、如何せん録音が古いので贅沢は言えませんが、結構いい音で鳴ります。…面白い、実に面白いです。

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嗚呼、コロナのせいにばかりしていても詮無い話ですが、独り、真夏の夜の7インチ・ジャズ、満喫しております。

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