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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 調べ物

自宅のベッドサイドにゴチャッと本が置いてありまして、気が向けば手にとってそのまま眠りに落ちるわけです。店に持ち込む気にならない本、繰り返し読みたい大事な本、調べ物途中の音楽関連書籍などなど、そこにある理由は様々です。

ヘッダー写真がその一部ですが、コルソン・ホワイトヘッドの「地下鉄道」は繰り返し読みたい本としてそこにありますが、本来なら店に置いておきたい一冊です。…もう一冊買えばいい話ですけどね。ま、その帯に「ピュリッツァー賞全米図書館賞受賞作」という文字が見えています。眼鏡をはずして置く場所なので、毎晩、毎晩、ベッドに行くたび、この文字を目にしておりまして、「嗚呼、調べなきゃ」と思いながら、その瞬間眠りに落ちるわけです。…もう何ヶ月も脳みその隅にとどまっておりました。…ようやく吐き出せます。ピュリッツァー賞、Wikipediaでは以下のような解説が書かれております。

ピューリッツァー賞(ピューリッツァーしょう、: Pulitzer Prize)は、アメリカ合衆国における新聞、雑誌、オンライン上の報道文学作曲の功績に対して授与される賞である。

新聞出版業で財を成したハンガリー生まれのアメリカ人、ジョーゼフ・ピューリツァーの遺志に基づいて1917年に創設され、現在はニューヨーク市のコロンビア大学により運営されている。

21部門で賞の授与が毎年行われ、うち20部門で受賞者には賞状と現金15000USドルが贈られる(2017年の1万ドルから上乗せとなった)。ジャーナリズムの公益部門における受賞者には、金メダルが授与される。

参照:Wikipedia

ふーん、コロンビア大学がやってるんだ…、ふーん、21部門もあるんだ…、ジャーナリズムの公益部門は受賞しても賞金はもらえないんだ…、あげてもいいじゃん…。どうりで写真だったり、書籍だったり、音楽だったり、いろいろなところで名前を目にするわけだね…。沿革とか選考の方法とかいろいろ書かれていますけど、…予想外に面白くなかったですね。ジャーナリズムがメインなんですね。もう少し芸術に寄ったものかとイメージしていたので少々肩透かし、ガッカリとまでは申しませんけどね。何かもっと面白いストーリーを期待していた自分がいけませんでしたね。自分の脳ミソのメモリの容量を一部開放できただけでもよしとしますか…。

昔から気になることがあると調べないと気が済まないようなところがあって、一時「現代用語の基礎知識」は愛読書でした。インターネットの時代になっても、メインは印刷されたものですが、最近はWikipediaが充実してきたおかげで、スマホでフムフムが増えました。店で調理中にいきなり思い立って調べ出したりもする日常です。マナーが悪いと承知しておりますが、食事中であれ、つい調べたりするのでカミサンから面白がられていたりします。

加えて最近はグーグル・レンズなるものも面白くて、写真を撮るとそれが何か調べられるのですが、これは主に植物や花を調べるのに活用しています。…元々、花に興味があるような人間ではありませんので、花の名前は全然知りません。断言します、植物は弱いです。

コロナ禍以降、経営効率化も兼ねて、卸し業者の活用を取り止め、自分で買い出しに行っております。60過ぎの爺がやることではないと思いつつ、店に籠っているより精神衛生上いいだろう…程度に考えております。店から歩いて5分ほどのところにホームセンターのコーナンがあります。その建物の3階部分が食品館あおばという食品スーパーになっておりまして、ここの野菜が非常に新鮮で重宝しております。

以前市場の中で調達してくる卸業者を使っておりましたが、今の方が野菜に関しては鮮度も品質も高い気がします。肉はあおばとジャパンミートとハナマサの3軒を比較しながら、クオリティとコストで都度仕入れてくるようなことをしております。カミサンはオーケーとイキイキ生鮮市場担当、少しでも安くという部分でタイヘン強力な助っ人です。…中小零細、フットワークと協力的な家族が大事な武器です。

コーナンの上の食品館あおばには、ほぼ毎日行くことになります。…ウチのプレートはサラダもりもりですからね。そのコーナンの前庭に建築資材の砂利やブロックなどと並んで、鉢植えや苗などを売っているスペースがありまして、ここが実は楽しみだったりします。もの凄いレベルで季節感があるんです。観賞用なんでしょうが、いろいろな植物が並んでおりまして、目の保養をさせていただいております。

また、先日は「ミツマタ」なる植物を売っていて、社会科で習った「楮(こうぞ)・三俣(みつまた)」のアレか!!となりまして、さっそくカミサンに報告し、「ミツマタを売っているぞ」と騒いでおりました。…生まれて初めて見たものですからね。多肉植物ならまだしも、ネコヤナギとかケイトウなどという、実物をあまり目にする機会のないものを日常的に見られるのは有り難いと思っております。ここ数週間、新緑の季節と言うのでしょうか、このスペースが日に日にグリーンのボリュームが増して行くのが感じられるんです。これも面白いものです。

都会に棲んで、加えて狭い行動範囲の中で働く身にとって、自然は極々限られたものです。道端の姫リンゴの実が膨らんできたとか、木々の色の変化などといった話題が、実は結構貴重なものだということを最近認識しております。あまりに同じことの繰り返しの日常の中で、日々変化していく自然に目をやることで、意外なほどストレスを減じてくれるような気がしております。…月一回程度、所用で成田に行くのは大きな楽しみだったりもします。

まあ、深川・清澄白河あたりは独特の自然なんですけどね。よく聴こえる鳥の鳴き声といったらウミネコかカモメですし、コーナンに行く途中の橋の上から見えるのはプカプカ浮かんでいるクラゲだったりします。以前この橋の上で結構大きい水鳥に体当たりされ、エラく痛いおもいをしたこともあります。江東区は最近シカが出ただのと話題になっておりますが、近所でタヌキがいたりハクビシンがいたり、人間が歪めてしまった自然なのかもしれませんけどね。カメムシはカンベンだなぁとか…勝手な都合のいい部分だけの自然ですが、…夏が近いななどという感覚は、以前より敏感になったかと思います。実は絶対に郊外や田舎には住めないなという程度に虫嫌いでしてね。都会の歪められた自然、案外性に合っているのかもしれません。

今なら、ピュリッツァー賞とミツマタに関してはかなり詳しく解説できますぜ。カフェのオヤジ、雑学も必要なスキルなのです。


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