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7インチ盤専門店雑記031「ドライバ・マン」

「ドライバ・マン Driva' Man」マックス・ローチ楽団 Max Roach (1960)

マックス・ローチの大名盤、「We Insist!」からのシングル・カットということは直ぐに理解できるのですが、曲目が書いてないんです。A面が「ドライバ・マン」、B面が「フリーダム・デイ」なんですけどね。まあ、LPのジャケット・デザインを最大限尊重したということで…。

音を聴けば、アビー・リンカーンのヴォーカルが突き刺さってくるわけで、何だかもの凄く生々しいんです。なんでか「有り難く拝聴いたします」というスタンスになってしまいます。トランペットはブッカ―・リトルですが、彼の個性はさほど認められません。他の曲も含め、このアルバムの立ち位置についてや、黒人公民権運動などとの関係など、もう語り尽くされていると思うので、あえてここでは書きませんが、この7インチ盤が存在することの意味は、やはり考えてしまいます。

シングル・ヒットを狙ったものでもないように思いますし、この時代、日本はまだ戦後経済を引きずっており、国全体が貧しくて、LPを買って自宅で聴くような贅沢は一般的ではない時代でしょう。LPはジャズ喫茶などで聴くものだったのでしょうか?ジャズ喫茶のことを書いた書物によると、そういうイメージが強いです。シングルなら買えるかも?という思惑はあったのでしょうか。とにかく、この芯の強そうな曲を繰り返し聴くという行為は相当疲れたと思いますけどね。

裏ジャケのライナーノーツは、なんと植草甚一氏です。嬉しいです。


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