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7インチ盤専門店雑記365「演奏で聞かせる音楽」

歌詞で聞かせる曲については日本ではウケが悪いということは概ねご賛同いただけるようでしたが、演奏で聞かせる曲についてはどうなんでしょう?ジャズのように演奏で聞かせる音楽が殊の外受け入れられる日本という国の土壌として、演奏で聞かせる曲はウケがいいような気もします。ジェフ・ベック然り、といったあたりです。

アトランタ・リズム・セクションは元々スタジオ・ミュージシャンの集まりですから、演奏が上手いということは最初から言われておりますし、実際に上手いです。ライヴ盤でも上手いなぁという印象が強いです。ただ速弾きだの変拍子がどうのといった分かり易い部分の話ではないので、そこが難しいのかもしれませんけどね。まあ、ロニー・ハモンドのヴォーカルからして、めちゃくちゃ上手いんですけど…。

ヘッダー写真の「ソー・イン・トゥ・ユー」、彼らの知名度をグッと持ち上げたヒット曲です。ヒットした時のことをよく憶えているのですが、「渋い曲だな」というのが第一印象でした。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」がリリースされたばかりのことで、もっともっと聴き易いアメリカン・ロックが目の前にぶら下がっていましたから、売れるとは思えなかったんです。

でもベスト10まで上がってきて、直ぐに落ちて行くかと思いきや3週ほど留まっていました。途中から意外なほどロングラン・ヒットになるのかもと思い始めたほどでした。素性を含め、いろいろ紹介されたりして行く中で、どんどん気になり始め、徐々に好きになって行きました。とにかく、私よりも兄貴がハマり、家の中でしょっちゅう流れていたように記憶しております。

その頃、こういった演奏を聴かせるような曲は売れにくいということも話していたように思います。でも後々振り返ると、日本人は演奏が上手いのが好きなのかもと思い当たるふしもありまして、もっと、もっと、売れてもよかったのではと思うわけです。クイーンやチープ・トリックとかいった日本でまず人気になったバンドはみんな上手いですよね。

あらためて思うに、この人たちの演奏の上手さというのが分かり難いんですよ。実際にコピーでもしてみると予想外に難しいのではと思いますが、ギターのカッティングやらのメインのフレーズ以外の音に意識を持っていかれた最初の曲かもしれません。

素人にはわかり難い格好良さみたいなのって憧れましたねぇ…。楽譜にしても難しそうではなくて、コピーもできるんだけど、なんか格好良くならないんだよなぁみたいな音源、アメリカンなヤツに多くないですか?ブルースなんかもそうですね。…そうなると、ストーンズもそのクチかなぁ…。

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