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7インチ盤専門店雑記146「Vic Dickenson」

ヴィック・ディッケンソン、1906年生まれ、戦前に活躍したトロンボーン奏者です。中間派ジャズの名手、1953年54年頃Vanguardに録音された彼の代表作です。…遅い。情報は正確か…???

時間があるときにじっくり聞いてみたいなという盤がいっぱいありまして、古いジャズのアナログ・レコードをしまい込んである段ボールがいくつかあるんです。中身は頂き物だったり、セット・オークションで落札したものに含まれていたものだったり、ジャケ買いしたものだったり、…つまりいろいろです。忘れられている盤とも言えます。

ジャック・ティーガーデンなんぞを聴いたりすると、もっといろいろなトロンボーン奏者のレコードが聴いてみたくなったりするのですが、直ぐに思い出すのはカーティス・フラーやJ.J.ジョンソン、カイ・ウィンディングといったメジャーなあたりですかね。もっと最近のトロンボーン・ショーティやロビン・ユーバンクス、スティーヴ・トゥーレあたりも名前は出てきますけどねぇ…。トロンボーン・ショーティはジェフ・ベックがゲスト参加した盤がありますけど、他は手元にあるのかないのか…。

アービー・グリーンとか、スライド・ハンプトンとかフランク・ロソリーノあたりも、探せば参加音源は何枚かありそうです…。あとはニュー・オリンズ系のキッド・オリ―もいますね…。これはアルバムが何枚かある。V-Discの音源もありますね。ボブ・ブルックマイヤーもある…。でもどんな演奏をしていましたっけ、という程度ですねぇ。

しかし、何なんでしょうね、このヘボいジャケットは…

そこで出てきたのが、ヴィック・ディッケンソンなんですが、なんかリラックスしたやつがあったなぁと…ね。やっぱり代表作はショウケースの1&2なんでしょうか。あれねぇ、ギターの刻みが気持ちいいんですよ。スティーヴ・ジョーダンというよく知らない人なんですけど、なんか気持ちよさげにザクザクザクザク刻んでいるんです。もちろんブルース・ブラザース・バンドのドラマーとは別人です。それから、クラリネットを吹いているのが、エドモンド・ホール、この人チャーリー・クリスチャンと一緒にやった名盤がありますね。10インチ盤で持ってたっけ…。ピアノはサー・チャールズ・トンプソン、よく知りません。いずれにせよ、戦前に活躍した人たちなんでしょう。

ハード・バップとかにハマり出した頃、元々木管楽器の音が好きではないので、古いジャズはなかなかよさが分からなくて、いろいろ入手してみても、後回しにしていたんです。そんな中でも、この盤は理由も分からず気持ちよくて、これはちょいと別に置いといて、…そんでもって忘れてて、10年か20年くらい経って、ハコを開けたら「こんなのあったねぇ」的に顔を出して、ニコニコニコニコ…みたいなやつですね。

そもそも中間派ジャズというあたりからして、よく分かっていないんです。油井正一大先生の書物によると、ビッグバンド中心のスウィングの時代からモダン・ジャズへの過渡期に、主としてスモール・コンボによって行われたスウィング・セッションを指すんですと。欧米ではメインストリーム・ジャズ(主流派ジャズ)と言われるとか。でも主流派って時代によって代わってしまいますからねぇ…。

さて、このヴィック・ディッケンソンですが、中間派ジャズはやっぱり1940年代に盛んに演奏されたものなんですと。それを、評論で有名なジョン・ハモンドがクラシックを主に扱うヴァンガードというレコード会社から委嘱されて、1950年代に入ってから中間派の連中を集めて、好きにやらせたものなんですと。道理でリラックスした演奏なわけだ。1950年代にしては音がいいというか、ヴァン・ゲルダ―的ないわゆるジャズの鳴りとも違うわけなんですね。そんな事情から、1953年54年頃に、遅れて出てきた中間派ジャズの傑作がドッとリリースされたというわけですね。

なんかね、ニュー・オリンズ系のテイストがそこはかとなくある音なんです。でも純粋にニュー・オリンズではなくて、普段はバップとかやっている人たちが、「ニュー・オリンズいいよね」とか言いながら、ニコニコしながら、やっている印象の音なんです。うん、コレ、好きだな。

そうなると、お次はキッド・オリ―あたり、聴きたくなるのかなぁ…。でも今そんなにヒマじゃないし…、ま、いっか。よーし、次行ってみよー。






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