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7インチ盤専門店雑記137「マイ・ダーク・アワー」

スティーヴ・ミラー・バンドの「ブレイヴ・ニュー・ワールド」、1969年6月リリースのサード・アルバムです。ま、黄色いヤツで通じるかと思います。73年秋にリリースされた「ジョーカー」の大ヒットで知った連中ですが、少々間をおいての「フライ・ライク・アン・イーグル」や「ブック・オブ・ドリームス」の更なる大ヒットで自分の中では特別な存在のバンドです。如何せん、ジョーカーは中学生の時にほぼリアルタイムで購入したアルバムです。夜中にあのジャケットは怖かったですけど、思い入れはもの凄く強いわけで、好きなバンドです。

8枚目のアルバム「ジョーカー」以降の盤は、普通に、ディスクユニオンなどでも見かけるわけですが、それ以前の7枚はそれなりにレアだったりします。アメリカのアルバム・チャートでは、セカンドの「セイラ―」24位、ヘッダー写真のサード「ブレイヴ・ニュー・ワールド」22位、5枚目「ナンバー5」も23位と、結構売れているんですよね。日本や英国ではそんなに売れてはいないわけで、人気はあるんです。そもそも68年に2枚、69年にも2枚アルバムをリリースしているわけで、デビュー直後から評価はされていたんですよね。

この黄色いヤツ、意外なゲスト・意外なコラボのネタが隠されています。ジャケット裏面を見ますと、最後の曲「IN MY DARK HOUR」は、「まあレーベル見てみ」と書かれておりまして…。

2面4曲目、アルバム最終曲「MY DARK HOUR」は「With special thanks to Paul Ramon」と書かれておりまして、これがポール・マッカートニーが時々使う変名だということをご存知の方は多いかもしれません。…おい、曲名違っとるやんけ、「IN」どこ行ったん…。私はそこが気になってしまいますな…。

Get Backセッションの最終段階で、ビートルズが運営するAppleレコードの資金管理を任せる人間としてAllen Kleinと契約する際に、ポールだけがサインを拒み、ゴタゴタしたわけですね。大喧嘩のようになって、他のメンバーが帰ってしまった後、近くにいたスティーヴ・ミラーがポールの話の聞き役になったとかで、結局その日そのままセッションして一曲録音したということなんですが、これがその曲なんですね。ちなみにポールはドラムスを叩いているということは語っておりますが、ベースも弾いているらしいとか、いろいろお説があるようです。あまり思い出したくない一夜の音源、多くは語りたくないということなのでしょう。

これがねぇ、後の大ヒット曲「フライ・ライク・アン・イーグル」に似てるんだ、ホント。ウイングスのテイストがあるという人もおりまして、なかなか曰くつきの一曲なわけです。個人的には大好きなスティーヴ・ミラー・バンドですので、予備も持っている盤ではありますが、「オマエ、へんなところで有名なヤツだったんだ」というアルバムなんですね。


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