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7インチ盤専門店雑記500「ダン・フォーゲルバーグ」

えー、ダン・フォーゲルバーグです。AORの大名曲「ロンガ―」が有名ですよね。ウィキなどによると「懐かしき恋人の歌 Same Old Lang Syne」の方が人気があるのかという書き方ですが、リアルタイムに聴いてきた限りでは「ロンガ―」の人ですよね。

一人CSNYとか言われてましたけど、当時と今とではCSNYに対する評価も全然違うので、この言われ方が今更にしっくりきません。…まあ「ロンガー」は名曲ですけどね。1979年という時代に、一服の清涼剤というと臭い表現ですが、その当時あまりなかった爽やかな歌声が印象的ではありました。

個人的には、ダン・フォーゲルバーグといえば1974年のセカンド・アルバム「アメリカの想い出 Souvenirs」ということになります。如何せん、大好きなジョー・ウォルシュがプロデュースしております。11曲中10曲でギターも弾いております。シングル・カットされた「はかない想い As The Raven Flies」が大好きだったりします。…アルバムは売れたのに、このシングルは売れませんでしたけどね。リリースされたのかなぁ…?アコースティックなギター・サウンドの後ろで、時々いかにもジョー・ウォルシュ的なスライド・ギターが唸っております。ただし、ここでは随分なクリア・トーンでして、単純にジョー・ウォルシュ的と言っていいものかという疑問はあります。でもフレーズやらいろいろ考えて、間違いなくジョー・ウォルシュですね。

あまり比べたことがないのですが、CSNYの「オハイオ」なんぞを聴くと、ニール・ヤングの引き摺るようなギターが唸りまくっているわけですよ。イメージ的には「青い眼のジュディ」的な美しいコーラスと爽やかな曲調ということになるのですが、案外そうでもない曲もあって、CSNY的と言ったときに何を連想すればいいのかと思いたくなるんですけどね。一方で、ここではジョー・ウォルシュがニール・ヤング的な役割を果たしていることは明白なんですが、外し方はニール・ヤングの方が強烈、ジョー・ウォルシュは実に上手く自分のギターの居場所を確保していて、破綻のなさで一枚上という気がしております。どちらも鼻声でどちらもウルサイ音のギターを弾く人なんですけど、共通点はそこだけですかね。

結局、ジョー・ウォルシュの音源として聴いてしまうのですが、ダン・フォーゲルバーグの歌詞がお好きな方は多いそうです。ちょいと考えてしまうものが多そうですね。手元にある「フェニックス」や「スーベニア」くらいしか知りませんから断言はできませんが、恋愛テーマであっても深い表現が頻繁に出てきます。この人の詩集があったら面白そうなんですけどね。

「ロンガ―」の後、特別にヒットした曲はなかったかと思うのですが、1984年の「Windows And Walls」は結構売れましたかね。政治的なメッセージが込められた歌詞ということで、スルーしてしまいましたけどね。それからヒットというほどではないかもしれませんが、ジェフ・ポーカロたちがバックについた1990年の「Rhythm Of The Rain」のカヴァーがよかったですね。アナログレコードで聴きたくなりますが、あったとしても時期的に極少数プレスでしょうか。見たこともありません。

数年間闘病の末、2007年に56歳で亡くなったということですが、ちょいと早すぎですね。


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