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FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 017:7インチ盤でフュージョン特集

さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第17回(2022年1月21日(金)20時~
(再放送:1月23日(日)19時~)

清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。しかも可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。

今週のお題は「7インチでフュージョン特集」、先月次のジャズ系の回は「J-Fusion」と申し上げましたが、「洋物まだじゃん」というお声をいただき、とりあえずJも出てきますが洋物からいくことになりました。

フュージョンの歴史を語るとき、やっかいなのが明確な原点がないことです。人によって言うこと違うわけで、60年代のラリー・コリエルだったり、ウェス・モンゴメリーだったり、バジー・フェイトンのフルムーンだったりします。高山的にはフルムーン支持ですが、7インチ盤がないのでお話しだけ。

1曲目
「ツァラトゥストラはかく語り Also Sprach Zarathustra」デオダート Deodato (1973)

リヒャルト・ストラウス作曲のクラシック曲ですが、1968年の映画「2001年宇宙の旅」のイメージが強い時代、こんな恰好いいカヴァーが出てきたときは結構ビックリしたんじゃないですかね。ブラジルの奇才ですが、ギターはジョン・トロペイ、ベースがスタンリー・クラークとロン・カーターのツイン・ベースです。ドラムスはビリー・コブハム、凄いです。

2曲目
「スーパー・スタッフ Super Stuff」ザ・クルセイダーズ The Crusaders (1974)

名門フュージョン・バンドというものがありまして、リターン・トゥ・フォーエバー、マハヴィシュヌ・オーケストラ、クルセイダーズ、ウェザー・リポートなどですね。テクニック志向が強いジャンルの中で、7インチ盤でリリースされるものは、ポップ志向になります。そこで、クルセイダーズ…というと「なんだ、ストリート・ライフかぁ」と言われそうなので、別の曲にしました。低音成分が凄いです。結構ポップな曲ですが、音だけで只者じゃない感が凄いです。ジャズ・クルセイダーズの時期のニュー・オリンズ丸出しの感じから脱却しようとしてし切れていない感じが好きだったりもします。

3曲目
「サム・スカンク・ファンク Some Skunk Funk」ザ・ブレッカー・ブラザーズ The Brecker Brothers (1978)

1970年代後半になるとフュージョンの名盤がごっそりリリースされ始めます。アル・ディ・メオラのソロとかもエスニックなテイストが面白かったのですが、ニュー・ヨークあたりの先鋭感がもの凄いブレッカー・ブラザーズが面白いアルバムを連発してきました。とりわけ1978年リリースのライヴ盤「ヘヴィ・メタル・ビバップ」がおススメです。ジャズとロックのフュージョンをさらに一歩進めたようなタイトルもいいですね。その盤の1曲目が「イースト・リヴァー」というハード・ロック・チューンと言っても過言ではない曲のB面です。

4曲目
「フィール・ソー・グッドFeels So Good」チャック・マンジョーネ Chuck Mangione (1977)

ここで、フュージョンが盛り上がってきた1976年頃の世相を語ります。アメリカの建国200年祭、カリフォルニア幻想、モントリオール・オリンピック、日本ではアントニオ猪木とモハメド・アリの異種格闘技戦、テレビはロッキード事件の報道に明け暮れていたような時代でした。日本ではジェフ・ベック「ブロウ・バイ・ブロウ」を袋に入れずに裸でレコード・ジャケットを持って歩くのが流行、イギリスではパンク・ムーヴメントという日米英で随分様相が異なる年でした。

アメリカではイージー・リスニングとどこが違うのか説明するのが難しいこの曲がビルボードでNo.1になり、スリーヴには「ザ・マン・オブ・フュージョン」などと謳っておりました。

5曲目
「ルーム335 Room 335」ラリー・カールトン Larry Carlton (1978)

フュージョンというフィールドでは、やたらとギタリストが人気で、日本では渡辺香津美、高中正義他、海外ではラリー・カールトンにリー・リトナー、アル・ディ・メオラにアール・クルー等々いっぱい人気者がおりました。ラリー・カールトンは1988年にレコーディング・スタジオ「ルーム335」の前で銃撃されて大怪我をします。腕に障害が残り、声帯にまでダメージを受けてしまいました。それでも頑張って復活、スティーヴ・ルカサーと一緒にツアーをやったり、いろいろ頑張っています。73歳、まだまだ頑張ってほしいです。

6曲目
「テル・ミー・プリティ・ライズ (Just) Tell Me Pretty Lies」リー・リトナー Lee Ritenour (1981)

リー・リトナーも非常に人気がありました。1976年にファースト・アルバム「ファースト・コース」をリリースしますが、77年78年79年の3年間で8枚のアルバムをリリースしております。まあ凄い人気でした。テクニックは折り紙つきで、ダイレクト・カッティングとか無茶やってます。この曲は81年のアルバム「RIT」からのシングルですが、ヴォーカルはエリック・タッグです。このアルバムに収録された「ミスター・ブリーフケース」なんて、MTVでクリップが随分流れておりました。ちゃんと演技もしてましたね。このアルバムから3枚もシングル・カットしてますから、人気のほどが知れますよね。杏里さんと婚約までして破談になったりとか、いろいろありましたね…。

7曲目
「ブラウン・アイズ Brown Eyes」ラーセン=フェイトン・バンド Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten (1982)

カッティングの名手、バジー・フェイトンですが、元祖フュージョンと言われる「フルムーン」のギタリストですね。相棒のキーボーダー、ニール・ラーセンは順調にソロ・アルバムをヒットさせておりましたが、彼はドラッグ中毒がかなりひどく、出遅れます。ラーセン・フェイトン・バンドで「フール・ビー・ア・フール・トゥナイト」がシングル・ヒットしてますが、迷った末に今回はこの曲をかけました。

8曲目
「オレンジ・エクスプレス」渡辺貞夫 (1981)

J-Jazzの回でもご紹介しましたが、守安祥太郎亡き後、渡米して戻ってからはボサノヴァの普及活動をして、70年代にはいると今度はアフリカン・ミュージックに傾倒してしまうナベサダさんです。76年の「マイ・ディア・ライフ」はまだ少しフュージョンの香りがする程度でしたが、この曲では一気に「日本はフュージョン天国だ」と言わんばかりにポップな曲をヒットさせます。ブラバスのCMがよかったですね。

9曲目
「スーパー・サファリ」ネイティブ・サン (1979)

キーボードの本田竹廣さんの曲ですけど、サックスの峰厚介さんのサックスがいいんです。ギター・ミュージックじゃないフュージョンのサンプルとしてご紹介しました。これもタイアップですが、「目を醒ませ、ミュージック・ピープル」というコピーが懐かしいです。この曲の7インチ盤は何枚も持っているのに、随分ノイズが入る盤を持って行っちゃいましたね。申し訳ありません。

10曲目
「ナイト・バーズ Night Birds」シャカタク Shakatak (1979)

ラストは日本で人気に火がついた英国のフュージョン・バンド、シャカタクです。「男女7人~」などで使われたり、80年代のバブリーな空気感に上手くマッチしていたのではないでしょうか。

次回は「サントリーCMソング」特集です。お楽しみに。
番組へのご意見やお便りをください。
voice@fm840.jp


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