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7インチ盤専門店雑記621「ギャラクティックの聴き方」

ニュー・オリンズのギャラクティックをご存知でしょうか?ジャズ・ファンク的な曲調ですが、ジャムバンドほど即興性を打ち出しているわけでもなく、ニュー・オリンズ色も無いわけではありませんが、強く打ち出すわけでもなし、実験的なニュー・オリンズ風ジャズ・ファンクと言っておけばいいのでしょうか。

自分はスタントン・ムーアのドラムスが大好きなので、この辺のレコードにも手を出したりしますが、ローカル色が濃いというか、グローバルなマーケットに乗らないという印象で、Amazonなどでも売ってはいますが、簡単には手に入らない状態です。アナログはまだまだプレス枚数が少ないのでしょうか。どうしてもアナログで聴きたいかというところで疑問に思わなくもないですが、スタントン・ムーアの跳ねるリズムとリザウンドは、やはりアナログで聴いておきたいなと思います。

超絶テクで、いつの間にかニュー・オリンズを代表するドラマーになってしまったスタントン・ムーアですが、まさにビッグ・ビート、手首が強そうな音が実に心地よいものです。ソロや彼のバンド、ガレージ・ア・トロワでは普通に叩くのに、ここでは自分の叩いた音をサンプリングして重ねていったりして、実験的なことを楽しんでいるようです。こういうことをする人たちはジャムバンド的に即興演奏に行きそうですが、そうではなくて、ちゃんとしたリフレインのある曲を演奏しながらやっているところが面白かったりもしますね。

手元には2010年の「Ya-Ka-May」と2012年の「Carnivale Electoricos」というどちらもAntiからリリースされたアナログ盤があります。現代音楽の梁山泊的なAntiからアルバム・リリースしているところはさすがですが、果たして売れたのでしょうか?アルバムは10枚以上リリースされていますが、古いものは全然手に入りませんし、あまり売れているという印象もありません。ジョン・バティステのように、少しは売れたニュー・オリンズのミュージシャンもおりますが、ニュー・オリンズ・ローカルの連中はヒット・チャートもあまり関係なさそうですし、内輪ウケ的にある程度は売れるけど…的な印象があります。

スタントン・ムーアのソロは時々店で流していたりしますが、ギャラクティックはちょいと勇気が要りますね。これまで業後に自分で聴くためにかけたことはありますが、お客様とシェアするものでもありませんかね。この辺の音がお好きな方がいらっしゃらないとは申しませんが、敷居が高い音かもしれません。それでも、演奏に集中すれば面白いことをやっていますし、ポップな側面もあることはあります。個人的にはドラムスを聴く盤ですが、…家で聴けというヤツですかね?

ルーサー・ディッキンソンやデレク・トラックスといった南部の方の夜な夜なジャムバンド的な演奏を楽しんでいそうな連中の動画を追っていくと、スタントン・ムーアはよく見かけるのですが、他のメンバーは顔もよく分からないので、近況もへったくれもないのですが、それでもやっていることは面白いし、テクニックは凄いレベルですからねぇ。ちょいと変態ファンク臭が強いかもしれませんけど、お好きな方はお好きなのではないでしょうか。案外面白いですよ。

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