見出し画像

7インチ盤専門店雑記623「アンクル・テュペロのシングル」

後にウィルコとサン・ヴォルトに分裂したアンクル・テュペロですが、1980年代後半、様々なジャンルでオルタナティヴな連中が登場するなか、オルタナ・カントリーとして注目された3人組です。曲の好みでは「Graveyard Shift」一択と言えるほど好きな曲があり、その他の曲になかなか目が向かないのですが、やはり好きは好きですから、7インチ盤4枚組のシングル・ボックスなどというものもあります。…その後のウィルコの活躍等も原因しているとは思いますが、物凄いお値段になっております。店ではなくて自宅保管にしております。

1987年デビューですから、7インチ盤に拘るべきアーティストではありませんけどね。やはりエポックメイキングでしたから、ポピュラー・ミュージック史の上で重要な存在です。先述の「Graveyard Shift」はデビュー・アルバムの冒頭1曲目に収録されておりまして、タイトな演奏と相俟って絶大なインパクトを与えてくれました。残念なことにシングル・カットはされておりません。

さてヘッダー写真の「the seven inch singles」というボックスですが、以下のような収録内容です。

  1. I Got Drunk / Sin City

  2. Gun / I Wanna Destroy You

  3. Sauget Wind / Looking For A Way Out (acoustic) / Take My Word

  4. That Year (1988 demo) / Pickle River (1987 demo)

4枚目は未発表音源ですね。3枚のシングルで過不足ないわけですが、どうも選曲に関しては、好みが違うようです。そもそもが1枚目のSide Bの「Sin City」はグラム・パーソンズのカヴァーですよね。実はこの辺が微妙なところでして、私個人はグラム・パーソンズがあまり好みではないので、この手の連中に関しても限界があるんです。バーズは初期が好き、フライング・ブリトー・ブラザーズはあまり聴きません。…イーグルスもジョー・ウォルシュやランディ・マイズナーが好きで聴くもので、おおよそのイーグルス・ファンとは聴き方が違うと言われますからね。結局、サン・ヴォルトよりもウィルコの方が遥かに好きな人間ですから…。

さて、件のシングル・ボックスですが、2012年頃のリリースです。リアルタイムで言えば1990年から92年頃の音源でして、アナログレコードで聴くという感覚が非常に薄い時期です。それが2012年頃は、復活してきてアナログレコードがブームと言われ始めた頃、やはりアナログレコードで聴きたかったという需要があったんでしょうね。そもそもウィルコは1995年からのバンドなのに、全音源をアナログレコードで聴けるわけです。ジェフ・トゥイーディがアナログ志向強めなわけです。ソロも収録時間からして、アナログレコード前提のようなものです。

結局、ウィルコ好きなノラ・ジョーンズもアナログ志向が強めですから、どうもアナログレコードに求めているものが共通しているのでしょう。アンクル・テュペロに関しても、ジェフ・トゥイーディのエッセンスを汲み取れればよしとすべきなのでしょう。

まあ、オルタナだなんだ言う前に、曲がいいという気もしますけどねぇ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?